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KDDI株主総会、株主らAI戦略やガバナンスを問う ローソンでのpovo販売は9倍に成長
2026年6月17日 16:39
17日、KDDIが第42期定時株主総会を開催した。会場で出席した株主は626人だった。株主からは、子会社の不正取引や通信サービス、AIの戦略などについて問う声があがった。
6G時代に向けたネットワーク、ローソンとの連携強化も
会場の株主からはこの先、さらなる高速・大容量通信が求められることを念頭に、ソフトバンクの「AI-RAN」やNTTグループの「IOWN」のような次世代の構想があるのかを問われた吉村和幸CTOは「デジタルベルト構想」について説明した。
データセンターとネットワークをAPN(オールフォトニクスネットワーク)でつなぎ、低遅延化するとともに、基地局でも2波のSub6帯を有効活用するほか、ミリ波向けでNTTドコモと京セラとともに中継器を共同開発していることを話した。松田浩路社長は、携帯電話の歴史に触れ「当初は電話がつながることが大事だった。データ通信ができるようになってからは、いかに速くつながるかが重要になった」と振り返る。
しかし、今後は「応答の速さ」がユーザー満足度につながる可能性を示し「AI時代になると、通信速度はそこまで速くなくても、よりレスポンスよく返すほうが、ユーザーにとっては価値が高くなるかもしれないということも見据えて、ネットワークの見直しをしている」と松田社長は語った。
また、今後普及が見込まれる「フィジカルAI」への取り組みを問う声も上がった。勝木朋彦CSOは、ドローンでのインフラ点検などで需要が広がっていることを説明。KDDIが本社を構える東京都の高輪でも、配送ロボットなどの実証実験に取り組んでいるほか、全国で自動運転車両にも取り組むなど、複数の用途や形でフィジカルAIの社会実装に取り組む。今後、ドローン1000箇所の全国配備に向けても歩みを進める。
ほかにネットワーク関連では「総務省に陳情して、TV局に割り当てられる分を譲ってもらってはどうか」という意見があった。これについては内山芳洋渉外・広報本部長がTVと携帯電話は利用する周波数帯が異なる旨、今後も増加が見込まれるトラフィックをどう収容していくか、法令などを踏まえて適切に対処していくとした。
さらに、共同経営に参画した「ローソン」とのシナジーを問う声も上がった。株主から「KDDIのSNSフォロワー数が少ない一方、ローソンは970万人ものフォロワーを持つ。その広報力を活かすべきでは」との指摘が飛んだ。これに対し、佐々木正見パーソナルコア事業本部長は、全国1万4000店舗のローソンが持つ顧客接点の強さを認めたうえで、現在ローソン店舗でオンライン専用ブランド「povo」のデータ容量を購入できるカードや、スマホアクセサリーの販売を開始していることを説明。同カードの販売は2025年に比べ9倍の成長を示しているとし、今後もローソンのアセットを活用して通信事業とのシナジーを拡大していく方針を示した。
子会社の不正取引について問う声も
会場で問う声が多かったのは、1月に発覚したビッグローブなどによる不正取引問題についてだった。
「循環取引」といわれる手口で架空の売り上げが計上されていたという問題で、その額は2400億円超に上った。このうち、329億円がKDDIグループ外に手数料の形で流出した。今回の循環取引に関係した代理店は21社で、このうちいくつかには損害賠償請求の訴訟を提起しており、不正を主導した元社員ら2人についても訴訟提起を進めている最中という。松田社長は「329億円が損害にならないよう、回収に向けて取り組む」と話した。
過去にも、KDDIが出資したDMXテクノロジーズ・グループ(香港)で不適切な会計処理が発覚したケースがある。これにもかかわらず、同様の事案が発生したことを疑問視する株主に対して最勝寺奈苗CFOは、当時の教訓は活かされており、再発防止策も一定程度機能していたとしつつも「DMXの事案は海外子会社での事案という認識が強く、国内での一気通貫した子会社管理を実現するという意識がパーソナル事業本部や経営層にも働きにくかった」と反省を述べた。
また、髙橋誠会長は「(自らの)社長就任後、管理を徹底して行ってきた。(傘下の)事業会社が多くなり、社外取締役からも『しっかりするように』と話があり、倫理観点について浸透を図ってきた矢先に今回の問題が発覚した。ガバナンス強化については、我々ももう一度初心に立ち返り、真摯に向き合っていく」と話した。
また、淡輪敏社外取締役は「KDDIのフィロソフィー(哲学)はしっかりしている。今回の事案が起こってしまったことは社外取締役としても、もう少し早い段階でつかみきれなかったかと反省すべき点」としたうえで「特別調査委員会の調査でも類似案件は見られない」と組織的風土が影響したわけではないとの見方を示した。
こうした不祥事の報告があった直後の総会ということもあり、役員報酬制度の改定議案(第4号議案)に対して「なぜこのタイミングで報酬を上げるような議案を出すのか」と厳しく問う声も飛んだ。これに対し最勝寺CFOは、新中期経営戦略の期間に合わせた業績連動型報酬制度の継続・改定であり、企業価値向上を日常的に意識させるための変更であると理解を求めた。
KDDIでは、経営責任として髙橋会長や松田社長らの月例報酬の自主返納(最大30%・3カ月)や、当該子会社社長らへの辞任勧告を実施したほか、グループ会社間での人事ローテーション導入や「ガバナンス推進本部」の新設など、再発防止に向けた体制強化を進めている。











