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スマホ“ホッピング”対策の規制緩和はMNOとMVNOに温度差、総務省の有識者会議

 総務省は20日、「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」の第6回会合を開催した。利益還元を目的に携帯電話回線の契約と解約を短期間に繰り返すホッピング(短期解約)問題への対処や、端末購入プログラムの残価率算出ルールの見直しなどが議題に挙がった。あわせて、消費者保護ルールの適正化に向けた方針も検討された。本稿では、20日の会合で公開された資料を紹介する。

短期解約問題への対処と各社のスタンス

 ホッピング行為への対処として、通信事業者は総務省に対し、通信事業者に課されている継続利用条件に関する規制の緩和を求めた。NTTドコモは30カ月が最も望ましいとしつつ、仮に24カ月や12カ月のように短く設定するのであれば、利用者間の不公平をなくすために利益提供上限額(現行2万円)をそれぞれ1万6000円、8000円に引き下げる必要があるとしている。

 ソフトバンクは2年程度、KDDIは1年以上を要望。楽天モバイルは1年を超えない期間が適当だという見解を示した。全国携帯電話販売代理店協会は継続利用条件の緩和に加え、短期解約時の違約金引き上げを提案した。

 一方で、MVNO委員会やオプテージは過度な囲い込みを懸念し、許容される期間は数カ月から最長でも6カ月にとどめるべきだと主張した。悪質な短期解約の目的を外形的な事実のみから完全に特定することは困難だという認識が大勢を占めたものの、ソフトバンクやオプテージからは統計的・傾向的な把握は可能だという意見も示された。

割引ルールの見直し

 長期利用者の還元を目的とした継続利用割引について、全国携帯電話販売代理店協会はルールの緩和を求めた。しかし、資金力のあるMNOとの競争への影響を懸念するMVNO委員会は現状維持を求めた。

 また、新規契約を条件としない通信料金割引に関して、楽天モバイルは同一事業者内のプラン変更を例外とする現在の仕組みを問題視。ユーザー基盤に左右される不公平な市場競争を生んでいると指摘し、ルールの回避を抑止するための例外規定廃止を要望した。

端末残価率の一律化案とアップルの強い反発

 端末購入プログラムの残価率算出ルール見直しについても議題に挙がった。全機種や全キャリアで一律の定率を適用する案に対し、NTTドコモやソフトバンク、グーグル、サムスン電子ジャパンが賛同した。制度のシンプル化や、中古市場における下取り価格の硬直化回避などがメリットとして挙げられた。

 対して、アップルは一律の残価算定案に強く反対した。長持ちする高品質な製品を作り出すメーカーへの不当な扱いで市場を歪めると非難し、残存価値は画一的なモデルではなく市場によって決定されるべきだと主張した。

 KDDIや楽天モバイル、MVNO委員会、オプテージ、リユースモバイル・ジャパンなども一律化案に慎重な姿勢を見せ、利用者の利益が損なわれることに懸念を示した。なお、JCOMは競争環境の適正化につながるルールにすべきだと要望し、全国携帯電話販売代理店協会は意見を述べる立場にないとして回答を差し控えた。

廉価端末特例と中古市場への影響

 端末代金の値引き上限に関する廉価端末特例についても意見が交わされた。NTTドコモ、ソフトバンク、楽天モバイル、MVNO委員会、オプテージ、JCOMは現状の2万円上限からの見直しは不要だと主張。

 対して、KDDIとグーグルは端末価格の高騰などを理由に上限の引き上げを求めたほか、全国携帯電話販売代理店協会とサムスン電子ジャパンからも特例の見直し要望が提出された。

 また、MNOによる認定中古品の大幅な割引販売に関して、リユースモバイル・ジャパンは「中古市場の価格形成を歪める」といった懸念を示した。これに対し総務省は、利益提供規制は中古市場の保護・促進を主眼とする位置づけではないためルールの厳格化には慎重に考えるべきとする一方で、中古市場の動向については引き続き注視していくべきだと論点を整理した。

消費者保護と説明義務の拡充

 電気通信サービスに関する苦情相談についての分析結果も報告された。2024年度の調査結果によると、年間の苦情相談件数は6万9448件に上る。過去10年間で2割以上減少したものの、依然として高水準となっている。

 MNOのサービスに関する苦情相談のうち、通信料金の支払い(心当たりのない請求など)に関する内容が25.7%と最も多く、次いで解約の条件や方法が22.0%、勧められての新規契約や事業者変更が21.1%を占める。意図しない高額な契約や、解約の条件が適切に伝えられていないケースが多く報告されている。

 これを受けて、オプション提供を含めた説明義務のスコープ拡充や、解約手順の分かりやすい情報提供などの必要性も挙げられた。