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「スマホ割引」にまつわる規制、グーグルやサムスンの意見とは

 総務省の有識者会合「情報通信行政・郵政行政審議会 電気通信事業部会 市場検証委員会 利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」の第4回会議が13日に開催、これにあわせて事業者からの資料が公開された。

 端末購入補助に上限額を設けるなどにより公正な市場環境の整備を目的とする「電気通信事業法第27条の3」の効果検証などが目的で、第4回の会議では、JCOM、リユースモバイル・ジャパン(RMJ)、グーグル(日本法人)、サムスン電子ジャパン、アップル(日本法人)からのヒアリングとなっており、本稿では各社の資料を紹介する。ただし、アップルの資料は構成員限りとされ、一般には公開されていない。

JCOM「規制対象事業者の見直しを」

 「電気通信事業法第27条の3」のガイドラインでは、事業者間の適正な競争環境に及ぼす影響が大きい事業者として、MNOおよびその特定関係法人および、利用者数(シェア)が4%を超える独立系MVNOが規制の対象としている。

 2025年7月1日に告示された規律対象事業者は、ドコモグループではNTTドコモビジネス、NTTビジネスソリューションズなど7社が、KDDIグループではジェイコム地域会社の11社やビッグローブなどが、楽天モバイルでは楽天コミュニケーションズがMNOの特定関係法人として、規律対象事業者に指定されている。

 JCOMは、同社がパブリックコメントなどで見直しの要望を続けている。しかし、競争環境などに変化がないことから、特定関係法人の見直しについてこれまで具体的な議論が行われておらず、結果として独立系MVNOよりもシェアが低いにも関わらず、特定関係法人であることを理由から規制対象となっていることから、自由な競争が行えないと主張する。

 なお、JCOMの地域会社は本来規制の対象となる企業ながら、KDDIがその報告を怠っていたと指摘され、総務省より改善するように2021年に指導された。

RMJ「残価設定プログラムによる囲い込み」に懸念

 中古端末などを販売する事業者による団体リユースモバイル・ジャパン(以下、RMJ)は、2019年の電気通信事業法改正により中古端末市場が活性化し、6年連続で中古スマホの販売台数が過去最高を更新していることを明かした。

 電気通信事業法(第27条の3)の改正により、過度なキャッシュバックや値引きの抑制によって一定の透明化が進んだとしながらも、MNOによる残価設定プログラムや、認定中古端末への値引き施策が、新たな歪みや中古市場への影響を生じさせていることに懸念を示した。

 残価設定プログラムについては、その対象機種がハイエンドの人気機種が中心で、こうした機種がキャリアへ集中してしまうことで、中古流通への影響を及ぼす懸念があるという。

 こうした懸念から、残価設定プログラムによる支払い免除と、契約に紐付く割引の二重適用を禁止したり、短期返却を促すインセンティブ禁止を対応案として提出している。

 また、認定中古品については、新品端末と同額の値引きを禁止したり、中古品販売に対する割引の上限額を設定するなど、市場価格の過度な崩壊を防ぐ規制を対策案として求めた。

 RMJが会員企業に対して行ったアンケート結果もまとめられており、短期解約問題について当事者(事業者)による自主的な対策を講じることは「歴史を振り返り、不可能と考える」など、通信事業者自身による対応は期待が薄いことがアンケートで示されている。

グーグル「全てのスマホを4~6年で償却」を提案

 グーグルは、現在の残価算定方法について、課題と対策を示した。

 具体的には、折りたたみスマホなどのイノベーションや、AI技術の導入、OSの長期間サポート、バッテリーの高寿命化など進化しているが、現在の残価算定ルールは過去の買取価格を参考にしているため、現在の価値を正しく反映できない。

 こうした経緯から、メーカーの発展的な開発の阻害や競争環境の硬直化をもたらすと問題視した上で、将来的にユーザーが自由にスマートフォンを選ぶ機会を失うリスクがあると指摘した。

 新たな残価算定方式として、全てのスマートフォンを4~6年で償却する提案した。これは、スマートフォンが所得税法上は「電子計算機」または「通信機器」に近いと考えられ、こうした機器の法定上の耐用年数が4~6年に設定されていることが根拠となっている。

 グーグルは、国内の規制環境について「諸外国と異なる厳しい規制」が適用されているが、本来はユーザーが最新技術を手頃な価格で早く享受できることが求められるとまとめた。

サムスン電子ジャパン「短期解約は割引返還を」日本の規制を問題視

 サムスン電子ジャパンは、主要国における割引と短期解約時のペナルティを比較し、日本以外では料金プランに応じた割引の適用や、途中解約時には割引額の返還や、契約期間までの通信料支払いを求めることなどが一般的であるとした。

 日本では、ガイドラインの規制により期間拘束のあるプランの途中解約時の違約金の上限は税別1000円に制限されている。

 その上で、通信契約による割引が適用されたにも関わらず、短期解約をしても割引額の返還を求めない仕組みによって、未使用端末の転売が現在も続いていると課題を指摘した。

 具体的には、通信事業者によって一括1円に割引販売されたスマートフォンが、メーカー版よりも安い価格で転売される事例が散見されるとした。こうした事例では、ユーザーはメーカー版であることを期待して購入するが、通信事業者向けに販売されたモデルが販売される例もあるという。

 その他の課題として、RMJの平均買取価格が「形骸化している」ことを指摘した。残価率のグループ化がキャリアの裁量で算出されるため、同型端末であってもキャリアによって残価率が異なるほか、新しいタイプや革新的な製品の残価率に既存端末の残価率を適用することが適切か議論すべきと主張する。

 残価率については、グーグルと同様に発売からの経過期間に応じて一律に減価する算定方式によって、各社が全ての機種に対して一律適用できる計算式を採用すべきと提案している。

 また、「廉価端末」の定義である、端末価格2万円以下の機種については、資材価格が高騰している状況下では、メーカーが利益を削って通信事業者への採用を目指しているとして、端末価格により割引上限が規定される現在の規制に対する緩和を求めた。