ニュース

5Gカバー率を23年度末に全国95%へ、政府が「デジタル田園都市国家構想」に向け5G整備など前倒し

 総務省は、「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けた、通信インフラ整備の計画をまとめた「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」を公開した。

 総務省が公開した資料では、通信インフラにおける現状や課題、今後実行される対策などがまとめられている。5G関連では、トラフィックの増大への対応として、周波数が現状の3倍となるよう、新たな5G用周波数を割り当てる。具体的には、2.3GHz帯を2022年度の早い段階で実施するとしており、条件不利地域の基地局整備を評価する指標を取り入れるという。

 2023年度末までには4Gエリア外の人口をゼロとして、ニーズのあるほぼ全てのエリアに5G親局(高度特定基地局)の全国展開を実現を目指す。その上で、2023年度末時点で、5G人口カバー率は全国95%、2025年度末には97%、2030年度末に全国・各都道府県で99%への到達が計画として見込まれている。

 5G中継用基地局なども制度化し、2022年度中にもその方針を具体化するほか、認定計画外の地域でも、特定基地局の開設を促す責務規定を設ける電波法の改正を創設するとした。

 加えて、インフラシェアリングにおいては国庫補助率のかさ上げや複数の事業者の回線をひとつの基地局で提供する技術の開発、基地局設置可能な施設のデータベース化などに向けて取り組む。

 さらに、Beyond 5Gや6Gと言われる次世代の通信技術について、2025年の大阪万博以降、テラヘルツ波技術やHAPS、仮想化・オーケストレーション技術などを実現、国際標準化を推進。必須特許の10%以上を確保し、世界市場で30%程度の確保。日本が開発をリードすると目標を掲げている。

 金子恭之 総務大臣は、29日の会見で「5Gは岸田総理からの指示を受け、基地局整備を加速するよう要請するなどしてきた」としたうえで「この結果、5Gの人口カバー率をこれまでの計画より上積みできる目処がたった」と2023年度にも人口カバー率95%を目指す新たな目標を設定したことを説明した。

 光ファイバーは2027年度末までに世帯カバー率99.9%を目指すとしているほか、5年を目処に地方に10数カ所程度のデータセンターを整備するとされている。

 政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」は、インフラなどデジタル基盤の整備や関連する人材の育成、地方の課題解決、デジタル化促進支援などの側面からICT技術の浸透を促進し、都市部と地方の格差を縮小しようとするもの。