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スマホで新5G周波数割当検討など、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の改訂版

 総務省は25日、デジタル基盤の整備を取りまとめた「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の改訂版を公表した。本稿では同省が公開した資料をもとに主にモバイル通信関連での改訂のポイントをまとめる。

 同整備計画は2022年3月に初めて策定された。その後の取り組みの進捗や社会情勢の変化を踏まえて一分内容があらためられたかたち。25日の閣議後記者会見で松本剛明総務大臣は「『デジタル田園都市国家構想実現会議』で計画改定に係る総理指示があった」と発言し「国民の誰もがどこでもデジタル化の恩恵を実感できる社会の実現に向け改訂後の計画にそって自治体・事業者の取り組みを支援する」と説明した。

Sub6・ミリ波で新たにスマホ向けに割り当てへ

 5Gなどの無線通信については、新たな5G用周波数割当てとして4.9GHz帯のほか、ミリ波では26GHz帯と40GHz帯を携帯電話サービス用として割り当てることを検討する。

 このほか、主要道路などでの携帯電話サービス整備を加速する。インフラシェアリングの活用に加えて「更なる支援の在り方」も検討するとされた。また、国内外でのOpen RAN普及を狙い、O-RAN仕様の認証拠点である「Japan OTIC」の機能や取り組みを強化する。

 2021年度末における5G人口カバー率は93.2%。整備計画では2030年度末にも99%が目標とされており、高速道路については100%を目指す。5Gをめぐる現状の課題として「多くの国民が5Gの特長による利便性を実感できていない」と指摘されており、利便性向上などの観点から改訂版では道路カバー率も計画に含めた。

 また、5Gエリア拡大の支援として、基地局の電波を中継する「5G中継用基地局」のほか、フェムトセル基地局、省電力レピーターとあわせて遠くの基地局とも通信できる高出力な端末の制度化について今夏までにも制度化の方針を取りまとめる。

 さらに、Beyond 5G/6Gでは「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」で社会実装や海外展開を狙ったプロジェクトを重点的に支援。今後5年程度で関連技術の確率を目指すとされている。

 携帯電話サービス以外にも、ローカル5Gのほかさまざまな無線通信を組み合わせた地域のデジタル基盤整備とそれを活用したソリューションの実用化も進める。地域の課題解決に合わせたソリューションの実証や自動運転・ドローン活用のプロジェクトも連動するという。

衛星・HAPS活用を後押し

 人工衛星や高高度プラットフォーム(HAPS)での取り組みも支援を進める。

 2025年度以降の国内展開を見据えてHAPSでは、WRC-23の周波数拡大など国際ルール策定の推進や実用化に必要な国内制度の整備を進める。さらに、大阪・関西万博などでの実証やデモンストレーションなどの機会を見据えて海外展開を推進する。

 あわせて人工衛星を活用した取り組みでは、日本独自の衛星通信コンステレーション構築に向けて、サービスコンセプトやその通信技術について調査・検討を実施する。

新たなデータセンター整備支援

 東京や大阪を補完する第3、第4のデータセンターにおける中核拠点の整備を促進。当面は北海道や九州などとされており、グリーン化も含めて分散立地や拠点整備の支援を検討する。

 加えて、海底ケーブルでは国際的なデータ流通のハブとしての機能強化や国際海底ケーブルの多ルート化や陸揚局の安全対策を強化するとしている。