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総務省が楽天モバイルに行政指導、約130万人影響の9月通信障害で

 総務省は、9月4日に発生した楽天モバイルの大規模な通信障害に対して、12月9日付けで行政指導を実施した。

通信障害の概要

 楽天モバイルの音声通話とデータ通信が利用しづらくなる障害が、9月4日11時20分~13時26分までの2時間6分間にわたり発生した。

 影響を受けた利用者数は音声通話で約11万人、データ通信で約130万人と指定される。障害は全国のエリアに影響した。

 障害の原因は、データセンターに設置されているスイッチのソフトウェア不具合によって当該スイッチが再起動し、再起動で切断された端末からの再接続要求の集中によって、PCRF(ポリシー制御を実施する加入者データベース)に輻輳が発生したため、位置登録処理に失敗した端末の利用者の音声通話、データ通信が利用しづらくなった。

総務省の指導内容

 総務省は、楽天モバイルによる報告および総務省による立ち入り検査を踏まえ、再発防止に向けて複数の取り組みを行うように指導した。

 先述した9月4日の通信障害を引き起こした原因や拡大した要因は、複数存在することも、報告によって明らかにされており、それぞれの要因に対する対処も、総務省から示された。

 原因・要因としては、「ベンダーでは解消されていたスイッチソフトウェアの不具合を楽天モバイルが把握できていなかった」「コアネットワークの障害の影響が波及した」「輻輳を予防する装置が適切に動作しなかった」といった点が挙げられている。

ソフトウェアの最新情報を把握

 楽天モバイルが総務省に行った報告では、スイッチのソフトウェア不具合は、機器ベンダーでは既に解消されていたソフトウェアの不具合に関する情報を、楽天モバイルが事前に把握できていなかったことにより、コアネットワークにおけるデータセンタースイッチの予期せぬ再起動が発生したことで障害が発生したという。

 総務省は、使用中のソフトウェアに内在するリスク分析を定期的に実施することに加えて、大規模な障害につながり得る設備については、最新のアップデート情報の確実な取得や、他社の協力を得ることを含めた情報精査体制の強化などの対策を徹底することを楽天モバイルに求めた。

障害の大規模化の予防

 また、コアネットワークにおける設備障害が対向設備にも波及したことで大規模な障害に繋がったため、対向設備への障害の波及を抑える設備仕様やネットワーク構成への見直しに向けた検討など、障害の大規模化を防ぐ対策を徹底することを指導した。

障害時緊急モードの迅速化や自動化

 今回の障害は、端末から大量に信号の再送が繰り返され、PCRFが短時間で輻輳状態になり発生した。PCRFの輻輳を予防するために、PCRFを経由せずにデータ通信接続を継続する障害時緊急モードが用意されていたが、このモードの有効化が迅速に実施されなかったため、事故の長期化を招いた。

 総務省は、再発防止策として障害時緊急モードの短時間化に加えて、当該モードの完全自動化など、復旧手順の明確化や自動化を行い、事故の長期化を予防するための対策を徹底することを要請した。

利用者周知の徹底

 今回の通信障害は、緊急通話を含めた音声通話も利用しづらかった。総務省は、通信障害の発生時には、障害の状況や緊急通報などへの影響に加え、その代替手段、復旧の見通しなど、利用者が必要とする情報をできるだけ具体的かつわかりやすく提供できるように、周知連絡を徹底することを要求した。

他の事業者との情報共有

 このほか、同様の再発防止のために、事故の発生原因、措置状況、再発防止策などの詳細について、他の携帯電話事業者に説明して情報共有する機会を早急に設けることや、総務省の電気通信事故検証会議の分析の結果、追加の再発防止策が必要となった場合には追加の防止策にも取り組むことように指導した。

今後の報告について

 総務省では、これらの取り組みについて2023年1月末までに、12月末時点における具体的な実施状況を報告し、その後当面の間3カ月ごとに実施状況を取りまとめ、翌月末までに報告することや、新たな事実が判明した場合には速やかに報告することを求めた。