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KDDIとJR東日本、新宿駅でミリ波5Gエリア拡大の実証に成功 列車内でも1Gbps超

 KDDIとJR東日本は、JR新宿駅で安定したミリ波の通信エリアを拡大する実証実験に国内の駅で初めて成功した。混雑のなかでもミリ波で1Gbps超の通信速度を実現しており、通信環境の向上や鉄道業務のDXにつなげる。

ミリ波中継機の様子

 実証では、2024年に京セラとともに開発したミリ波中継機を、JR新宿駅のホームと周辺施設の合計4箇所に設置。1番線・2番線ホームと列車内で安定してミリ波通信ができることを実証した。窓ガラスを通すため通信環境が悪化しやすい列車の運転席でも、駅のホーム同様に1Gbpsを超えて通信できたという。あわせて、列車の往来や混雑で通信環境が変化する駅のホームでもミリ波中継機が最適なルートを選択して電波を中継、1Gbpsを超える通信速度を安定して維持できることが確認された。

 ミリ波通信で利用される28GHz帯は高速・大容量通信が可能な反面、遮蔽物で遮られやすい特性があり、駅構内などではエリアの拡大が難しい。こうした課題の解決のため、KDDIと京セラは2024年12月、ミリ波基地局からの電波を中継して自律的かつ連続的にエリア形成できる無線中継技術を備えるミリ波中継機を開発しており、今回の実証で用いた。小型で光回線が不要なため、設置場所が限られる駅でも利用できるという。

 実証実験は2月10日~4月11日の期間で実施した。KDDIでは、今回の実証の結果をもとに駅構内や沿線などで5Gの高速・大容量通信が可能なエリアの拡大を目指す。JR東日本でも、5Gの性能を活かした新たなサービス展開や業務のDXにつなげるとしている。