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コマツの建機をリモート操作、僻地の病人も診察――ドコモの5Gで実現する新たな可能性
2018年1月24日 21:49
NTTドコモが、2020年頃に商用サービスが登場する「5G」を活用し、パートナー企業とともに日本のさまざまな現場に向けたソリューションを開発中だ。今回、新たに公開されたソリューションを取材する機会を得たのでご紹介しよう。
建設機械を遠隔操作
ドコモは、建設機械を手がけるコマツとともに、リモートで建機を操作する仕組みを開発している。これまでもそのコンセプトは紹介されていたが、実機が報道関係者向けに公開されたのは今回が初めて。その上、筆者自身も、遠隔操縦を体験することもできた。
超高速かつ低遅延という5Gの特徴を生かすもの。建機に備え付けたカメラから2Kサイズの映像をディスプレイ5枚分、離れた場所にいる操縦者の元へ伝送する。操縦者は、視界を覆うディスプレイの映像を見つつ、現場に行かずとも作業を進められる。4Gでは、操作が遅延するのはもちろん、大容量の高精細映像を送ることもままならない。5G経由で現場にいるかのような映像を目にできるからこそ、正確な作業を進められる。国内外のさまざまな現場に、より少ない人員で対応できると期待されており、人手不足を解消する一案になりそうだ。
僻地医療の一助に
和歌山県および和歌山県立医科大学とともに開発するのは、遠隔で診察できる仕組み。山間部などにある診療所と、都市部にある総合病院とを5Gで結び、医療関連の情報や患者の映像をやりとりすることで、若い医者が赴任しがちな僻地の診療所であっても、都市部の総合病院にいる熟練の医師の力を活用できる。
患者の外傷などを医療用カメラでとらえた映像を送るほか、超音波検査やCTスキャンの映像も扱える。開発当初はビデオ会議のような仕組みだったが、医療機器の情報を扱えるようにしたことで、遠隔診察が現実的になった。4Gでは、たとえば怪我をしていることがわかっても、出血中なのかどうか、といった現状を把握するには精細さが足りなかった。大容量のデータを送るという意味では、光ケーブル経由でも実現できそうだが、そもそも僻地にはそうしたブロードバンド環境の整備が行き届いていない場合も多い。5Gが全国津々浦々まで利用できるようになれば、どのような場所でも充実した医療サービスを受けられそうだ。
ロボットでテレワーク
凸版印刷とドコモが開発するテレワークの仕組みはロボットを活用するもの。ユーザーが自宅に居ながら、大型ディスプレイとカメラを設置し、離れたオフィスの同僚とコミュニケーションしながら業務を進めるというイメージ。
ロボットはオフィスに設置されており、そのボディには有機LCDと呼ばれる素材を用いた曲面ディスプレイや、周囲の様子を捉える複数のカメラを装備。自宅にいるユーザーの表情をリアルタイムでディスプレイに映し出してオフィスにいる同僚に示す一方で、オフィスの様子をロボットのカメラで映し、自宅へ送る。コストはかかるが、まるでその場にいるかのような現実感を演出する。テレワークで薄れがちなコミュニケーションの濃度を保つ効果が期待できそうだ。