石野純也の「スマホとお金」

MacやiPadの値上げに見るメモリー高騰×円安の現実、iPhoneも買えるうちに買うべきか

 アップルは、26日にMacやiPadなどの製品を一斉に値上げしました。特にメモリやストレージ容量の大きな上位モデルほど、その上がり幅が顕著で、16万8800円だった256GB版のiPad Proは、4万1000円アップの20万9800円に。アンダー10万円でハイエンドタブレットとしては手ごろだったiPad Airも、3万1000円値上がりして12万9800円になっています。

 Macも同様で、MacBook Proは27万9800円から33万9800円に、MacBook Airも18万4800円から22万4800円へと価格が上昇しています。iPadやMacBook Neoなどのエントリーモデルは値上げ幅を抑えているものの、それでも前者は1万6000円、後者は2万円の値上げを実施しています。現時点でiPhoneは価格を据え置いていますが、新モデルでの値上げは不可避になりそうです。

ハイエンドモデルとしてコスパの高かったiPad Airは、3万1000円も値上がりに

為替補正の2段階値上げも? 製品ごとに異なる値上げ幅

 日本市場という観点だと、アップルの値上げ(もしくは価格設定)には2つの要素が絡んできます。1つが、本体そのものの値上げ、もう1つが為替の変動による日本円のみの値上げです。ここ数年、為替レートの改定で徐々に値上げが続いてきたiPhoneですが、今回のiPadやMacの値上げはそれとは様相が異なります。

 ティム・クックCEOの「値上げは避けられない」というコメントが報じられていたように、メモリやストレージの高騰に耐えられなくなったというのが値上げの理由です。その証拠に、日本のみならず、アップルのおひざ元である米国でもiPadやMacなどの製品が軒並み値上げされています。

米ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで値上げに言及したティム・クック氏。そこからわずか数日での値上げになった。写真は25年9月のイベントで撮影したもの

 たとえば、iPadは349ドルから449ドルに、MacBook Neoも599ドルから699ドルへと100ドルアップになっています。日本でも値上げ幅の大きかったiPad Proは999ドルから1199ドルと200ドルアップ、MacBook Proは1699ドルから1999ドルと300ドル上がっています。発売済みのモデルを値上げするのは異例とも言え、こうした点からもメモリやストレージがいかに高騰しているかがうかがい知れます。

 もっとも、値上げをひも解いていくと、それだけではないことも分かります。たとえば、iPadは100ドルの値上げに対し、日本では1万6000円の値上げでした。これに対し、iPad Proは上記のように200ドルアップが4万1000円の値上げになっています。

 日本は税込み表記のため、それを除いて計算するとiPadの値上げぶんは1ドル145円ほど、iPad Proは1ドル186円ほどになっており、値上げにも緩急をつけている様子が見えてきます。

ドルでは200ドルアップだったiPad Proだが、円では4万1000円の値上げになっており、日本での値上げが目立つ

 エントリーモデルほど、価格にセンシティブな層が購入する傾向が強いため、値上げを最小限に抑えつつ、さらに日本市場では為替レートも生かして値上げを緩和しているというわけです。また、このタイミングに合わせ、製品ごとに設定されていた為替レートを一部変更していることも分かります。

一部製品は1ドル=160円に向かう、iPhoneやApple Watchはどうなる

 たとえば、値上げ前のiPadは349ドル、5万8800円でした。米国は州によって税率が異なるため税抜き表記、日本は税込み表記のため、本体価格で比較すると、1ドル153円程度に設定されていることが分かります。

 これに対し、値上げ後は449ドル、7万4800円になっており、1ドルあたり151円まで下がっています。日本市場での値上げの影響を最小限にするよう、為替でがんばったといったところでしょうか。

iPadの価格とドル円の為替レート。値段は上がったが、対ドルではやや安くなっていることが分かる

 逆に値上げ前が999ドル、16万8800円だったiPad Proは、1ドルあたり153円程度でした。ところが、値上げ後は1199ドル、20万9800円になっており、1ドルあたりの金額も159円まで上がっています。現状の為替レートは1ドルあたり160円前後を行ったり来たりしているため、その実態に合わせてきたと言えるかもしれません。

同じく値上がりしたiPad Proは、為替レートも現在の市況に近づいた

 一部製品は、恒例だった為替レートによる価格改定も忍び込ませた“2段階値上げ”になっているというわけです。特に価格が高くても買われる上位モデルほどその影響は顕著になっています。これは既存の製品の話ですが、基本的には新製品もここがベースになってくるため、待っていれば安くなることはありません。

 ただ、6月26日の価格改定にはiPhoneやApple Watchは含まれていませんでした。そのため、本稿執筆時点では、現行モデルは昨年の発表時と同じ価格で購入することが可能。家電量販店やキャリアなど、一部販路では値上がりしているものの、アップルの公式ストアでは価格を維持しています。

 もっとも、この価格がいつまでも続くとは限りません。販売台数で言えば、iPhoneやApple Watchの方が多く、どこかのタイミングで値上げに踏み切らないとアップルの収益に与える影響が大きくなってしまうからです。

 メモリやストレージをいつ調達したかにもよりますが、その時が近づいているのは間違いありません。価格戦略的にも、新モデル登場前に既存モデルの価格を上げておきたいはずです。

iPhoneは今のところ価格を維持しているが……

Proは20万超え? ほしい人は値上がり前の購入を

 日本では、ここに為替レートという要素も加わってきます。たとえば、iPhone 17は799ドル、12万9800円。1ドルが約147円に設定されており、円安が続く中、値上げを踏みとどまっていることがうかがえます。

 また、iPhone 17 Proは1099ドルから。日本円では、17万9800円で、こちらも1ドルあたり148円強と今の為替レートの水準からすると安めに設定されています。

 廉価版として今年の3月に登場したiPhone 17eは、米国での価格が599ドル、日本円では9万9800円に設定されており、1ドルが151円強とやや高めです。とは言え、いずれにしても現状の為替レートの1ドル160円前後よりは安めになっており、特にiPhoneは日本市場での価格設定をがんばっている様子がうかがえます。

アップルの主力製品とも言えるiPhoneは比較的円高寄りに価格設定されている。3月に登場したiPhone 17eも、1ドル151円程度だった

 もっとも、先行事例のiPad Proを見ても分かるように、1ドルあたり160円前後を適正レートと考えていることも透けて見えます。為替レートを見直して、対ドルでの価格が安くなった無印のiPadはむしろ例外。

 MacBook Neoも、元々は1ドルあたり151円強だったのが、155円台まで容赦なく値上げしていることを踏まえると、一般的な製品はこのぐらいの水準まで上げていく可能性があります。

 仮に、ベースモデルで799ドルのiPhone 17から、価格が100ドル上がったとして、さらに為替レートを155円で計算すると、その価格は15万3000円ほどになります。iPadを見ると、Proモデルはより値上げ幅が大きいため、これをiPhone 17 Proに適用すると、1099ドルから1299ドルへの値上げはありえるかもしれません。ここに1ドル155円の為替を適用すると、22万円を超えてしまいます。

仮にiPhoneがiPadと同程度の100~200ドル値上げされたうえで、1ドル155円のレートが適用されると、ベースモデルで15万円程度、Proモデルは20万円を超える

 とはいえ、これは非現実的なシミュレーションではなく、実際、Androidスマホではすでに新モデルの登場とともに、大きく値上げしたメーカーもあります。6月に発売したソニーのXperia 1 VIIIは、オープンマーケット版が23万5400円。シャープのAQUOS R11も、17万9520円と、軒並み先代モデルから価格が上がっています。iPhoneだけが例外ではないというわけです。

 既存のモデルを値上げしてから新モデルを投入するか、新モデルの投入に合わせての値上げになるのかは不透明です。ただ、確実に言えるのは、値下げされる可能性はないということ。値上げがいつ実施されるかはアップル次第ですが、ほしいiPhoneがあるのであれば、今の価格で買えるうちに買っておくのが得策と言えそうです。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya