石野純也の「スマホとお金」
UQモバイルの新割引「コミコミおトク割」の損益分岐点を検証、ゴールドカード年会費の元を取る条件と他社比較
2026年7月9日 00:00
メインブランドはもちろん、サブブランドも含めて値上げ一辺倒だったスマホの料金ですが、UQ mobileが突如、謎の新割引を発表しました。「UQコミコミおトク割」がそれです。割引額は660円と、コミコミプランバリューの料金を考えるとそこそこの大きさになります。ただし、一般的な料金プランの割引とは違い、恒久的なそれではなく、13カ月限定のキャンペーンに近い位置づけになっています。
一方で、au PAY ゴールドカードを契約すると、その割引が14カ月目以降も継続するなど、料金プランに組み込まれた割引に近い性質も持っています。とはいえ、ゴールドカードは無料で持てるノーマルカードとは異なり、年会費も必要になります。では、UQコミコミおトク割は、うたい文句どおり、本当におトクなのでしょうか。仕組みとともに、そのおトク度を解説していきます。
シンプルさは継続ながらPontaパスをセットして値上げに
UQ mobileの現行プランは、2本立てになっています。1つが「トクトクプラン2」。もう1つが「コミコミプランバリュー」です。前者は中容量プランと小容量プランを1つにしたような料金体系で、使ったデータ量に応じて料金が変動します。その閾値は5GB。各種割引適用前の基本料は4048円です。
ここに「自宅セット割」や「au PAY カードお支払い割」が入ります。2つの割引を適用した場合、5GB超が2728円、5GB以下が1628円になります。基本料が少し高めに設定されており、そこに割引が入ると安くなるという点では、スマホの料金の王道中の王道。割引の比重が低めのため、そこまで複雑ではないものの、料金が人によって異なり、より縛られる要素があった方が安くなることは間違いありません。
これに対し、コミコミプランバリューは冒頭で挙げた割引が登場するまでは、一切割引がなく、“素の料金”だけで勝負していた料金プランです。料金は3828円一択。データ容量は、トクトクプラン2の上限よりもやや多い35GBです。コミコミという名称のとおり、1回10分までのかけ放題サービスもセットになっています。
コミコミプランは、登場以降、紆余曲折を経て料金が改定されてきましたが、当初のターゲットはドコモのオンライン専用プランであるahamoでした。ahamoと同容量で、かつ1回あたりの無料通話時間が長く、料金は同水準といった特徴がありました。
と言っても、UQ mobileのプランのため、店舗での契約も可能。料金はわずかに高めになっていましたが、オンライン専用プランだったahamoの弱点を突いたような設定になっていました。
上記のように、25年6月にスタートした現行のコミコミプランバリューにも、こうした特徴は受け継がれています。ただし、Pontaパスが料金に含まれるようになったことで、前身である「コミコミプラン+」よりも料金は上がっています。
コミコミプラン+は当初3278円でしたが、11月には値上げされ、現在契約中のユーザーは3498円になっています。旧プランよりも、330円高くなっているというわけです。
期間限定割引で値上げ感を緩和か、新規契約のハードルを下げる
ただ、料金が高くなってしまえば、そのぶん競争力は低下します。特にコミコミプランバリューのように割引がない料金プランは、素の金額で比較されやすくなります。他社のサブブランドでは、Pontaパスのような特典をセットにしたものがないため、横並びにして30GB前後のプランとして比較すると、どうしても割高に見えてしまう側面があることは否めません。
そこで登場したのが、冒頭で挙げたUQコミコミおトク割です。割引名に「コミコミ」とついていることからも分かるように、これはコミコミプランバリュー専用の割引。新規加入が条件のため、すでにコミコミプランバリューを使っているユーザーには適用されません(ただし、プラン変更後、再度コミコミプランバリューを契約すれば適用されるそうです)。
割引期間は13カ月限定。対象年齢を絞った子ども向けやシニア向けでは比較的よくある手法ですが、どちらかと言えば、お試し的に契約することも見越した割引と言えるでしょう。割引額は660円。これを適用した場合のコミコミプランバリューは、3168円まで下がります。この金額、実は前身のコミコミプラン+の値上げ前よりも安くなっています。
値上げしたばかりで再び値下げか……と思われるかもしれませんが、やはり4000円に近づいていた金額が新規ユーザー獲得のネックになっていたのかもしれません。期間限定ながらも660円の割引を用意することで、とりあえず契約してみたい人の心理的なハードルを下げる効果はありそうです。
もっとも、固定回線や電気サービスなどとのセット割とは異なり、14カ月目にはこの割引が切れ、再び料金は660円上がってしまいます。その意味では、単純な値下げではありません。
縛りという観点では非常に弱い割引と言えるかもしれません。おもしろいのは、この割引が14カ月目以降も続く条件を用意していること。それが、au PAY ゴールドカードです。
割引のためのゴールドカードは本当におトク? 鍵になる年会費
割引が継続する条件は、au PAY ゴールドカードの保有。一般的に、各キャリアともメインブランドやサブブランドに自社のクレジットカードで支払った際の割引を設けていますが、それらとはやや性格が異なります。
クレジットカード割と考えると、比較的金額も大きめ。同じUQ mobileのトクトクプラン2は、au PAY カードお支払い割が220円に設定されていることを踏まえると、大盤振る舞いと言えそうです。
ただし、トクトクプラン2のau PAY カードお支払い割はノーマルカードも対象なのに対し、UQコミコミおトク割はゴールドカード限定。au PAY ゴールドカードには、ノーマルカードにはない年会費がかかります。
その額は、毎年1万1000円です。割引額の合計は、1年で7920円。年会費の方が高くなるため、この割引のためだけにゴールドカードを持つのは、あまりオススメできません。
一方で、ゴールドカードはゴールドカードとして使ってきっちり元を取り、なおかつ割引も継続して受けられるというのであれば、利用価値は高そうです。例えば、au PAY ゴールドカードには、auやUQ mobileの携帯電話料金に対し、10%のポイント還元を受けられる特典があります。
正確には、対象プランの1000円(税抜き)ごとに特典の90ポイントと通常ポイントを得られる仕組み。コミコミプランバリューの割引後だと、毎月180ポイントが付与される計算になります。1年の合計額は2160円です。上記の割引と合わせると、1万円を超えるため、少なくともゴールドカードにすることで“元”はほぼ取れる計算になります。
また、au PAY ゴールドカードは、各種条件を満たしてau PAY 残高にオートチャージして支払いをすると、最大で5.5%のポイント還元を受けられます(上乗せは5%)。
家族カードやETCカードを作り、かつauじぶん銀行で引き落としを行い、auでんきにも加入するといった条件はありますが、比較的、ポイント還元を受けやすい特典です。こちらは、毎月の上限が1000ポイント。比較的緩めな2万円の利用で、上限に達します。
このポイントアップリワードを最大限受けていけば、年会費以上に還元を受けることは可能。並行してUQ mobileの割引を受ければ、そのぶんだけおトクになります。au経済圏にどっぷりつかる意思があれば、悪くない割引と言えるでしょう。
ただ、シンプルなコミコミプランバリューを求めるユーザーと、あれこれ考える必要がある“ポイ活”は水と油のような存在。割引が切れるまでの間に、どうおトクさを訴求できるかで継続率が変わってくるかもしれません。









