石野純也の「スマホとお金」
スマホにもついにメモリ高騰の波。端末価格はどう変わる? 新モデルの事情と今選ぶべき機種
2026年6月18日 00:00
AIサーバーなどの需要急増に伴い、メモリやストレージなどの価格が高騰している――そんなニュースを目にしたことがある人は多いかもしれません。これらはスマホの主要なパーツでもあるため、端末価格には影響を及ぼす可能性があります。実際、5月、6月に発表されたスマホでは、いよいよそれが価格に反映されるようになってきました。
以前、本連載で取り上げたシャオミの「Xiaomi 17T」および「Xiaomi 17T Pro」はその1つ。Xiaomi 17T Proの値上げ幅はそこまで大きくなかったものの、Xiaomi 17Tは大きく価格が上がっています。
同様に、FCNTの「arrows We3」とシャープの「AQUOS R11」も、その価格設定を見ると、メモリやストレージのコストがアップした影響が大きいことがうかがえます。その詳細を見ていきましょう。
望遠カメラ搭載でチップやAIも進化したAQUOS R11、価格は約5万円アップに
シャープのAQUOS R11は、AQUOSシリーズのハイエンドモデル。“Pro”がつくほどの超高スペックモデルではありませんが、チップセットにはクアルコムの「Snapdragon 8s Gen 4」を採用。昨年モデルからは、CPU性能で13%、GPU性能で40%ほど向上しています。ライカが監修したカメラを搭載している点も、ハイエンドならではです。
AIの機能も進化しており、被写体に合わせて適切なズーム倍率を自動で選択する「スマートフィットズーム」や、身分証明書などの文字を自動で隠してくれる「プライバシーセーフ」といった、AQUOSにしかないような機能にも対応します。背面カメラの中央部分が光る「アカリウム」も、新機能の1つです。
一方で、その価格は前モデルから大きく上がってしまいました。“素の価格”が出やすいオープンマーケット版で比較すると、昨年発売になった「AQUOS R10」が512GB版で10万7800円だったのに対し、同容量の「AQUOS R11」は16万3900円と、5万円強の値上げになっています。
もちろん、メモリやストレージだけでなく、ベースとしての機能もAQUOS R10は「Snapdragon 7+ Gen 3」でクラスが1つ下だったり、望遠カメラを搭載していなかったりと、よりハイエンドモデル志向が強まったAQUOS R11とは厳密な比較はできないものの、メモリやストレージの影響が大きいのは間違いありません。
また、オープンマーケットモデルのAQUOS R11には、AQUOS R10の時にあった256GB版がなくなり、512GB版のみとなっています。256GB版はドコモ版とソフトバンク版のみの展開です。
AQUOS R10の時には、ストレージを抑えて10万円を下回る9万9770円で販売されていました。こうした事情もあり、価格だけを取り出すとかなりの値上がりになったようにも見えてしまいます。
シャープによると、オープンマーケット版はよりスペックを求めるコアなユーザーが多く、AQUOS R10の時も初速では512GB版の方が売れ行きがよかったといいます。
また、ここまで価格が上がってしまうと、わずかな価格差でストレージが半減するよりも、きちんと512GB載せておいてほしい人が多くなるでしょう。
ストレージを256GBにすることで“10万円切り”を打ち出すことができ、価格的なインパクトを出せるAQUOS R10に対し、値上がりしたAQUOS R11ではあえてその容量を採用するメリットが少なかった事情も透けて見えます。
エントリーモデルも値上げに、arrowsはオープン版のストレージが減少
業界関係者によると、512GBのストレージだけで昨年と比べ、調達価格が数万円単位で上がっているといいます。これを聞くと、AQUOS R11の価格が5万円強上がってしまうのはやむなしと思えるかもしれません。台湾の鴻海(ホンハイ)グループ傘下であるシャープの調達力をもっても、値上げは避けられない事態だったと言えます。
よりスペックの高いハイエンドモデルでは、Xperiaも値上げしており、6月に発売した「Xperia 1 VIII」はオープンマーケットモデルが23万5400円と、前モデルの「Xperia 1 VII」から約3万円の値上げになっています。AQUOS R11ほどではないものの、やはりメモリやストレージの価格高騰が影響していることが分かります。
同様に、レノボグループの調達力を生かせるFCNTも、6月に発売したarrows We3を、arrows We2比で値上げしています。arrows We2発売時はオープンマーケット版の市場想定価格が3万6580円でしたが、arrows We3はAmazonで4万2000円と、5000円強の値上げになっています。
価格だけを見ると5000円かと思われるかもしれません。しかし、arrows We2はストレージが128GB搭載されていましたが、arrows We3は64GBでこの価格。ストレージを抑えつつも、値上げは避けられなかったことがうかがえます。逆に、ストレージを128GBにそろえると、5万6800円と2万円ほどの値上がりになっています。
もちろん、arrows We3も投入が2年ぶりということもあり、最大120Hzで6.14インチとコンパクトな特注の液晶を搭載していたり、カメラの画質が上がっていたり、レスポンスがよくなっていたりと強化されている部分は多いものの、価格を据え置きにすることはできませんでした。
Xperia 1 VIIIは超ハイエンド、AQUOS R11はハイエンドモデル、arrows We3はエントリーモデルと、それぞれカテゴリーは異なるものの、いずれのカテゴリーでも2万円から5万円の範囲で値段が上がっています。
arrowsのように、ストレージを削るという選択肢もありますが、いずれにせよ、昨年までと同じ価格で買えなくなっていることは間違いありません。
2026年に販売を始めたモデルの中にも、値上げしていないものはありますが、これは、メモリやストレージの価格が高騰する前に調達していた部材で開発された可能性があります。
どちらかといえば、年初に投入されてきたスマホより、直近のモデルの方が値上げ幅が大きいのはそのためです。5月、6月ごろから、その影響が本格的に出始めたといえるかもしれません。
相場が変わるスマホの値段、型落ちや中古も視野に
ここまで一斉に値上がりすると、各レンジの“相場”も変わってきます。エントリーモデルで安くても4万円ぐらいから、ミッドレンジも限りなく10万円に迫り、ハイエンドモデルは15万円を超えるという価格が定着する可能性は高そうです。
2万円台のエントリーモデルに規制ギリギリの割引を出して一括1円にするといった販売手法は、徐々に取りづらくなっていくはずです。
シャープやFCNTのように親会社の調達力が高い会社でも、ここまで値段が上がってしまっている以上、値上げは不可避といえるでしょう。メーカーを問わず全体的に値上がりしているため、相対的な価格競争力は変わらないものの、買い控えが起こる可能性が出てきても不思議ではありません。実際、カウンターポイントリサーチの調査では、2026年の出荷台数がグローバルで減少するとの予想が出ています。
では、今からスマホを買いたい人は、どのような選択肢があるのでしょうか。必ずしも最新のものでなくてもいいというのであれば、価格が高騰する前に発売された過去モデルを購入するのも手です。
AQUOS Rシリーズで言えば、AQUOS R10の256GBが10万円以下で販売されています。シャープによると、既存モデルの値上げは今のところ、考えていないといいます。
AQUOS R11と比べればスペック的に劣るところはあるものの、処理能力は高いので、望遠カメラがないといった点に目をつぶることができれば、こちらを選ぶ手はあります。arrows Weシリーズも、前モデルのarrows We2は販売中。
レスポンスの向上など、目に見えて快適になっている部分はあるため、悩ましいところですが、とにかく出費を抑えたいのであれば、前モデルを購入するという選択肢があります。
とはいえ、旧モデルの在庫がいつまであるかは分かりません。買い替えたいと思ったら、すぐに行動に移した方がいいでしょう。また、キャリアモデルはキャリアが価格設定をしているため、戦略的に価格を下げ、オープンマーケット版より安くなっていることがあります。
たとえば、ドコモ版のarrows We3は、本体価格が2万2000円。ストレージは64GBですが、オープンマーケット版の半額程度で販売されており、割引も受けられます。ハイエンドモデルであれば、性能の陳腐化がすぐには進まないため、中古市場に目を向けてみてもいいでしょう。スマホが軒並み値上がりする中、ユーザー側でも対策は考えておいた方がよさそうです。


















