三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

グーグル「Pixel 7 Pro/7/6a」で撮り比べ、カメラ性能や写りはどう違う?

ケースを装着した愛用中の「Pixel」シリーズ3台

 スマートフォンのカメラ性能でナンバーワンとも言われるグーグルの「Pixel」シリーズ。望遠と夜間撮影に代表される描写の良さと、買いやすい価格もあり人気急上昇中だ。周囲でもライバル機から乗り換える人が多くなってきたのを感じる。

 フラッグシップ機の「Pixel 7 Pro」「Pixel 7」、そしてミッドレンジ機の「Pixel 6a」。すでに本連載で取り上げた端末もあるが、今回はこの3モデルを持ってブラブラと写真撮影した印象をお伝えしたい。各モデルの詳細については、本誌既報記事を参照していただければと思う。

現行「Pixel」シリーズ、カメラの特徴

 カメラ周りは「カメラバー」という独特の意匠で、横一列にカメラが並んでいるのが目を引く。遠くから見ても「あ、Pixelだな」とひと目で分かるデザインになっている。その画素数は下のとおり。「7」シリーズと「6a」とで広角カメラのスペックが大きく違っているのが分かるだろう。

「Pixel」シリーズの画素数
「Pixel 7 Pro」
  • 広角カメラ:5000万画素
  • 超広角カメラ:1200万画素
  • 望遠カメラ:4800万画素
「Pixel 7」
  • 広角カメラ:5000万画素
  • 超広角カメラ:1200万画素
「Pixel 6a」
  • 広角カメラ:1220万画素
  • 超広角カメラ:1200万画素

 「Pixel 7 Pro」と「Pixel 7」の大きな違いは望遠カメラの有無だ。この望遠カメラによる撮影は本当に楽しく、また仕上がりも素晴らしいものになっている。さすが光学的な望遠カメラはひと味違う。それにコンピュテーショナルフォトグラフィーとの相乗効果は過去記事で述べたとおりだ。

 さらに超広角カメラも「Pixel 7 Pro」の方が画角が広く、オートフォーカスかつマクロ撮影が可能になっている。スペック的に「Pixel 7 Pro」が真のフラッグシップ機と言えるだろう。

 チップセットもモデルナンバーの「7」と「6」でジェネレーションが異なる。グーグル独自の「Tensor G2」と「Tensor」となり、前者の方がGPUの性能アップ、電力効率が向上しているとのこと。実際にポートレートモードなどで処理の速さが体感できる。

ズバリおすすめの機種は?

 コストパフォーマンスを重視するならば「Pixel 6a」だ。画素数が少なく望遠カメラがないものの、写りは絶品である。ポートレートモードも切り抜きがキレイだし、夜景モードもライバルより美しい。ただ「7」シリーズを体感してしまうとやや動作速度がモッサリしているように感じる。

 写真撮影を存分に楽しみたいのであれば「Pixel 7 Pro」一択。超広角カメラから望遠カメラまでカバーする範囲が広く、さまざまな被写体を撮影可能だ。特に望遠カメラは超解像の30倍ズームがスゴい。スマートフォンでこんなキレイに望遠のカットが撮れるのか! と驚くほどである。動作もサクサクしており、気持ちよくシャッターを切りつづけられるだろう。

「Pixel」シリーズでブラブラ撮影を楽しむ

 まずは3機種のメインとなる広角カメラで撮り比べてみた。

 駄菓子屋で買い物中にササッと撮ったカット。やはり「Pixel 7」シリーズと「6a」との違いを感じた。画素数の差もあるがヌケ感というかリアル感の差が出た。

「Pixel 7 Pro」
「Pixel 7」
「Pixel 6a」

 夜景モードで停泊中の観光船を撮った。「6a」はシャドウ部を塗り絵的に処理しているが、「Pixel 7」シリーズはノイズ感があるもののディテールを再現しようとしているように感じる。3機種ともやはり低照度は強い印象だ。

「Pixel 7 Pro」
「Pixel 7」
「Pixel 6a」

 ここからは機種ごとにさまざまな撮影カットをご覧いただこう。

「Pixel 7 Pro」

 地方都市の飲み屋街。「Pixel 7 Pro」最大魅力・望遠カメラで大提灯を狙った。夜間にもかかわらずブレなくカラフルにキャプチャーできた。こんなカットが手軽に撮れるのだから本機は手放せない。

 城壁を撮った。石垣上で休むハトもしっかり写しとっているが、驚いたのは窓部分の金網まで描ききっているところである。屋根瓦と石垣はいうまでもない。

 切り通しを撮った。輝度差が激しく露出が難しいシチュエーションだが、「Pixel 7 Pro」はうまい具合にHDRを効かせて自然な風合いの仕上がりにしてくれた。シャドウ部を持ち上げすぎず彩度も高すぎず、コンピュテーショナルフォトグラフィーながら「写真」的な風合いを残しているところが好ましい。

 「夜景番長」の異名をとる「Pixel」シリーズ。手ブレ知らずでシャッターを押すだけでこのようなナイトショットが手にできる。「Pixel 7 Pro」なら超広角カメラだけでなく、広角カメラ、望遠カメラまで楽しめるので個人的に猛プッシュしたい機種である。

「Pixel 7」

 夕闇迫る横浜みなとみらい地区。「Pixel 7」はこの難しいシチュエーションをパッとキャプチャーしてくれた。空のグラデーション、建物の解像感、海面のさざ波までキレイに表現してくれた。ただ構えてイージーにシャッターを切るだけでこの仕上がりである。

 ポートレートモードの境界判定も素晴らしい。桜にググッと接近したカットだが、花の造りの描写と色合いが実にリアル。とてもいい雰囲気だ。

日が差す竹林。イヤなゴーストとフレアも感じさせず、ハイライト部からシャドウ部までクリアでさわやかな写真になった。さほど誇張もなく自然な再現性が好ましい
工事現場と青空。雲の立体感もさることながら、太いパイプの雨が滴った汚れ部分を克明に描ききっているのがスゴい。かなりの輝度だったが露出も正確で実にいい感じの明るさになった。

「Pixel 6a」

 「Pixel 6a」の自然な描写感が好きだ。古民家にあった昔懐かしいおもちゃを撮ったが、おはじきや輪投げのディテール感がいい。ボケとピントをあとから変更できるポートレートモードも使い勝手良好だ。

 ひと雨来そうな川面を狙った。水分を含んだ重苦しい雲と弱々しく差す太陽光。そして風で波立つ水面をしっかりと捉えてくれた。トーンも豊かだし色合いも見た目に近く好印象だ。

 木陰で寝転ぶネコ。電源ボタンダブルクリックで確実に立ち上がるカメラはこのようなシャッターチャンスに強い。木々の葉も瑞々しく、ネコの黒い毛も艶やかに描き出してくれた。

 風になびく竹林。スカッとした青空と、竹の葉一枚一枚を認識できそうなくらいな精細感が素晴らしい。「Pixel 6a」のカメラはミッドレンジ機とは思えない優秀さだと思う。

グーグル「Pixel」シリーズのまとめ

 現行3機種の「Pixel」シリーズでアチコチ撮影したが、どの端末も素晴らしいという印象を持った。どれを手にしても写真撮影を楽しめることに間違いはないが、上にも書いたとおりコストパフォーマンス重視なら「Pixel 6a」だし、スマートフォンフォトグラフィーを存分に楽しみたいのであれば「Pixel 7 Pro」をオススメする。

 超広角カメラの性能、望遠カメラの素晴らしさがあるので、自分はやはり「Pixel 7 Pro」を常に持ち歩きたいと思う。最近は「Pixel 7 Pro」にPeak Designのエブリデイケースを装着して、その上にShifCamのSnapGripを装着している。かなりいい感じなのでオススメである。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau