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通信関連5団体が協力して「電話事業者認証機構」(ETOC)を発足
電話回線を悪用する特殊詐欺の撲滅が目的
2024年10月5日 06:00
テレコムサービス協会(TELESA)、電気通信事業者協会(TCA)、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)、日本ケーブルテレビ連盟(JCTA)、日本ユニファイド通信事業者協会(JUSA)の、通信事業者系の5団体は、10月1日付けで電話事業者認証機構(Elite Telecom Operator Certification Body, ETOC)を設立し、電話サービスを提供する事業者の評価認証を開始する。
新たな団体の設立背景には、「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺の認知件数と被害総額が、2014年に過去最高の566億円となり、その後の取締り強化や官民連携の予防活動、犯行に使われた電話番号の利用制限などの対策によって、いったんは減少傾向となったものの、近年は再び増加基調にあり、2023年の認知件数は1万9000件、被害報告は453億円となった。
2019年6月の犯罪対策閣僚会議で決定された、「オレオレ詐欺対策プラン」等に基づき、官民が連携して特殊詐欺の犯行に利用された電話番号の停止を実行するなど、さまざまな対策が進められたものの、その後も悪質な事業者や悪質なグループに電話サービスを販売する事業者などが存在しつづけ、十分な抑止とならなかった。
近年は、電話サービスの卸提供を受けた事業者自身が、特殊詐欺に悪用されることを知りながらも、電話回線を提供したことで、詐欺幇助の罪で逮捕・起訴された事案も発生している。
こうした背景から、総務省は事業者などの品質を客観的に判断できるようにするためのあり方について、有識者の意見を踏まえた検討を行った。その結果、事業者などの適格性を外部機関が評価し、事業者間の取引時の信用確認に活用することで、不適正な事業者との電話回線や電話番号の取引を防ぐ有効な対策になるとの結論が得られた。
新たに設立された電話事業者認証機構(ETOC)は、こうした結論を参考にして5つの通信事業者団体が共同で設立した。同組織は、ネットワーク品質、サービス品質、セキュリティ対策、犯罪利用防止対策などの善良な通信事業者としての基準を制定し、基準を満たす国内の電話番号を取引する事業者に対して認証マークを付与する。認証の有効期間は1年間。