三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

グーグル「Pixel 6a」はコスパ最高なのに写り抜群、そのカメラ性能をチェック

 グーグル独自のチップセット「Google Tensor」を搭載したリーズナブルなAndroidスマートフォン「Pixel 6a」が登場した。

 5Gに対応し、なんと驚きの5万3900円(Google ストア)といううれしい価格設定なのだ。それでいてカメラ性能はあの「Pixel 6」シリーズの素晴らしさを受け継いでいる。さっそくブラブラと撮影を楽しんでみたが、その写りはライバル端末以上だと感じた。

販売元価格端末購入プログラム利用時(最低負担額)
グーグル5万3900円
au5万3270円2万7830円
ソフトバンク6万7680円3万3840円

必要十分な2眼カメラ

 「Pixel 6」シリーズから採用された意匠、「カメラバー」に搭載されているカメラは2つだ。

 12.2メガピクセル F/1.7 広角カメラと、12メガピクセル F/2.2 ウルトラワイドカメラだ。画角はそれぞれ77度、114度となっている。35ミリ版換算でおよそ27mm、16mm相当であろうか。

 カメラアイコンをタップ、もしくは電源ボタンをダブルクリックで瞬時に立ち上がるカメラ機能。スクリーンには左にホワイトバランス調整バー、中央に水準器、右側に明るさとシャドウを別々にコントロールできるデュアル露出補正バーが表示される。左上ギアメニューをタップすれば、RAW撮影など、より詳細な設定も可能だ。

 シャッターボタン下にはカメラの切り替えアイコンが並ぶ。「.6x」はウルトラワイドカメラ、「1x」は 広角カメラ、「2x」はデジタル超解像ズームになっている。右にスライドさせれば最大7倍までデジタルズーム可能。

 それでは、それぞれの写りをチェックしてみよう。なお、記事内の作例はすべて、タップもしくはクリックで元ファイルへアクセスできる。

 ウルトラワイドカメラは実にのびやかな写り。屋外での開放感を増幅してくれる。描写も精細感溢れており発色も好ましい。

 広角カメラも同様だ。ビルのシャープさ、木々の立体感、河川敷の人々が何をしているかちゃんと分かるほどの写りである。

 2倍はややデジタルズーム感が出ているが、パソコンの大画面など等倍で見なければ問題のない写りだ。SNSへの投稿やスクリーン上で見ている限り満足のいく描写ではないだろうか。

グーグル「Pixel 6a」でブラブラスナップ!

 大分名物「やせうま」をクローズアップで。かかっているきな粉のリアル感がスゴい。室内だったがホワイトバランスも的確で料理を撮るのも得意そうである。

 夜景モードで深夜の商店街を撮った。多くの店が閉まっているが、その雰囲気を的確に「Pixel 6a」は写し撮ってくれた。無理に色補正せず、肉眼で感じた色合いを再現していて好感が持てる。

 飛行機の窓越しに雲海を狙う。アクリル3枚越しなのでピントが迷いやすいケースだが、しっかりと機外の様子にフォーカスしてくれた。翼のライトがダブって写っているのはアクリル窓のせいである。

 発色は派手すぎず地味すぎず自然な印象だ。昔のAndroid機は高彩度であったという印象だが、「Pixel 6a」の色再現は見た目に近い感じで気に入っている。

 2倍のデジタルズームでひまわりを。やや線が太くデジタルズームらしい絵になったが、端末価格を考えると上出来といえる写りだと感じる。

 薄暗いトンネル内も明るく撮影できた。「Pixel 6a」ならば低照度のシーンでも安心してシャッターを切ることが可能だ。画面下部のメニューで夜景モードを自分で選べる点もいい。

 1200万画素の「Pixel 6a」だが、しっかりと大麦の粒を解像してくれた。ひと粒ごとのディテールも良好である。

 「Pixel 6a」は意外と逆光に強い。太陽をフレーム内に入れても球形のゴーストが発生しにくいのだ。なのでフレーミングの自由度があがって思った通りに撮影できるのがうれしい。

 もちろん条件によっては発生するので、グーグルの写真編集アプリ「Snapseed」などで消すことも必要だろう。

 古民家にあった精霊馬を撮った。ちょうど日光が当たるところと日陰のところにあったのだが、「Google Tensor」はハイライト部とシャドウ部を飛ばさず潰れず上手に再現してくれた。さすがコンピュテーショナルフォトグラフィーのパイオニア、グーグル製の端末である。頼もしい限りだ。

 川に立ち込んで釣りをしている人をデジタルズームで。手ぶれ補正機能も良好で、スマートフォンの望遠撮影に不慣れな人でも安心して撮影できるだろう。

 釣り人を指先でタップするとフォーカスが追い続けてくれるので、画面右に配置してシャッターを切った。「Pixel」シリーズのこれがとても便利に感じている。

 「Pixel 6a」はカメラのレスポンスも良好で、レンズのキレもいい。また発色が自然な風合いで実にいい。ビルの壁面を撮ったが、ヌケ感と精細感が同居しておりいい印象である。

ポートレートモード

 「Pixel 6a」のポートレートモードはボケ味が自然でいい。また撮影後に「Google フォト」アプリでピント位置とボケの量を変更できるのも使い勝手良好だ。紫陽花の境界判定もまずまずではないだろうか。

 風に揺れる風鈴。「Pixel 6a」は風にそよぐ短冊もしっかりと切り抜いて背景と分離してくれた。細かい被写体もしっかりと認識して判別してくれるのでポートレートモードが使いやすい端末である。

 こちらもチョコマカと動き回るノラネコを撮ったものだが、なかなかしっかりと背景と切り分けてネコを浮かび上がらせてくれた。ただ葉のエッジ部分にややおかしな点も見られる。

消しゴムマジック

 おなじみの消しゴムマジックももちろん使えるようになっている。撮影したカットを「Google フォト」で開き、「編集」→「ツール」→「消しゴムマジック」と進み、「消去」をチョイス。

 指先で消したいものを囲めばご覧のとおり消し去ってくれる。余計なものを写真から取り除きたいときに便利な機能だ。

 人気の消しゴムマジックに加わった新機能が「カモフラージュ」だ。上記と同じように進み「カモフラージュ」を選択して、カメレオンの保護色のようにしたい部分を囲むか塗りつぶすと高級車もご覧のとおり。アイディア次第で有効に使えそうな新機能である。

グーグル「Pixel 6a」はずばりオススメ!

 5万3900円(Google ストア)というプライスなのに、この「Pixel 6a」のカメラはとても優秀なものに仕上がっている。

 ウルトラワイドカメラと広角カメラという構成で望遠カメラを装備していないが、ほとんどの人が満足できる写りを提供してくれる端末だと感じた。素早くカメラも立ち上がるし、写りの色味、シャープさ、コントロールしやすい補正機能、美しい夜景モード、賢いポートレートモードなど「お値段以上」の仕様である。

 シャッター音が耳障りでないのも好みだ。望遠カメラが必須でなければ「買い」のAndroidスマートフォンである。

 また、待望のアクティブノイズキャンセルワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds Pro」も登場して、シリーズでデジタルライフを満喫できるようになったのもうれしい。

この「Google Pixel Buds Pro」を「Pixel 6a」と組み合わせて、アクティブノイズキャンセルを効かせてブラブラと写真撮影するのがとても楽しかった。

 5万3900円という超リーズナブルなプライスだが、「Pixel 6a」はトップクラスのカメラ性能のスマートフォンであると言えよう。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau