三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

1/1.55型の大きなセンサーで快適な撮影を! シャープ「AQUOS sense7」を試す

 一定の支持を受けてヒットを続けているAndroid端末がある。シャープの「AQUOS sense7」だ。パッと見たところ派手さは感じられないデザインだが、手にするとまあまあの存在感があり、カメラを起動して写真を撮ってみるとそこそこ写りがいい。「むむ」と感じさせる出来である。そんなわけで今回はこの「AQUOS sense7」を手にブラブラと撮影してみることにした。

 いつもの通り、端末の仕様、スペックなど詳細は本誌別記事を参照していただきたい。

シンプルで好感が持てるデザインと高カメラスペックの「AQUOS sense7」

 いくつものカメラを搭載する端末が多い中、「AQUOS sense7」の2眼カメラはシンプルな印象を受ける。メインカメラと超広角カメラという構成だが、端末のセンターにドン! と大きなメインカメラが鎮座しているのでシングルカメラに見えてしまう。

 そのメインカメラが大きいのにはワケがある。ハイエンド機「AQUOS R7」の1型センサー、とまではいかないが1/1.55型と大きなセンサーを搭載したからだ。

 気になる画素数は5050万画素(隣りの超広角カメラは800万画素)。しかも画面全体で高速なピント合わせが可能な像面位相差オートフォーカス仕様だ。使ってみて「むむ」と思わされたはずである。

 ちなみに画角はフルサイズ換算23mm相当F1.9で出力サイズは通常モードで1250万画素となっている(50MP出力も可能)。

 「AQUOS sense7」は前述のようにセンターにメインカメラが配置されているため撮影しやすい。被写体と正対するときにこの位置関係が実にいい。カメラがオフセット配置されている端末だとどうしても微妙にフレーミングがズレてしまうことが多いのだが、この「AQUOS sense7」はそれがないのだ。

 さらにアルミ製のやや高級感があるボディ素材とセンターカメラデザインが相性良く、約158gという質量かつ適度なサイズ感とで片手でも扱いやすく感じた。見た目の派手さは皆無だが、手にするとそこそこの安心感がある。

「AQUOS sense7」のカメラを見てみよう

 さてさっそく写りを確かめてみよう。カメラの起動はそこそこ速い。オートフォーカスも俊敏である。画角はどんな感じだろうか。

 カメラ画面に表示される3つのプリセット倍率で撮ってみた。カメラの切り替えは多少時間がかかる。1倍と2倍はメインカメラにあるがさすがセンサーサイズが大きいだけあっていい写りだ。逆に超広角カメラ0.6倍はそれなりの描写となっている。

メインカメラ1倍
超広角カメラ0.6倍
メインカメラ2倍

 次にメインカメラのデジタルズームを見てみよう。

 キレイな画質で撮りたいのなら4倍程度までの使用がいいだろう。それ以上は割り切って使いたい。

メインカメラ2倍
メインカメラ4倍
メインカメラ8倍

 今回はAIとHDRをオンにして撮影したが、マニュアルモードでの撮影も可能だ。

 シャッタースピードやISO感度、ホワイトバランスなどを調整でき、自分好みの写真を撮影できる。

 「AQUOS sense7」はポートレートモードも備えている。ぼかしと美肌のコントロールができるので人物撮影で役立つだろう。

ぼかし最大でパンダの遊具を。浅い被写界深度をよく演出している
ぼかし「5」でコアラの遊具を。境界判定もしっかりしていていいボケに

「AQUOS sense7」でブラブラAIスナップを楽しむ

 さて「AQUOS sense7」を持って、港町や都内をブラブラとメインカメラで撮影してみた。常時オンにしたAIはだいたいのシーンにおいて正確に被写体を判別してうまい具合に写真を仕上げてくれた感じだ。オートフォーカスも高速だし、バッテリーの保ちも良好でミッドレンジ機としていい印象を持った。

とある駅前で夜間モード。複数の光源がある難しいシーンだが、概ね見た目通りの色再現となった。手ブレも感じさせず端末任せで問題ない写りに感じる

 名物「カツハヤシ」を撮ったが、皿の向きを変えると仕上がりがガラリと変わった。解像感とシズル感は良好だが、こんなにも皿の色が変わってしまうのは残念。AIがイマイチだと感じたのはこのシーンくらいであった。

港の朝市をブラブラと撮影した。新鮮な干物を撮ったがその様子を克明に「AQUOS sense7」はキャプチャーしてくれた
港内に浮かぶ遊覧船を2倍で撮影したが、大型センサーからの切り出しなので画質は良好だ。曇天の難しい色合いもちゃんとキャプチャーできた
遊覧船に乗った。船内は日陰になるわけだが的確なホワイトバランスで見た目に近い色再現性でカラフルな船内シートを写しとってくれた

 港近くの川でフレームに太陽を入れてシャッターを切った。球形のゴーストとフレアが発生している。どのスマートフォンもそうだが、強烈な点光源撮影には配慮が必要だ。

 アーケード奥にある鮮魚店で海鮮丼をアップで。オートフォーカスもパッと合焦して、今回は色再現性もバッチリだ。シズル感もよく、美味しそうに撮影できた。大型センサーなので近寄ればボケも演出可能である。

今度は富士山に近い鉄道駅でのカット。外国人向けの案内が掲示されていたのでそれを撮った。それぞれの質感と色合い、それにテープのディテールまでしっかりと捉えられた。1/1.55型センサーは素晴らしい

 外光が入るテラスでTKG(卵かけごはん)を。米と卵、そして醤油びんを精細にキャプチャーできた。ハイライト部もシャドウ部もディテールがあり、シャッターを押すだけでAIによってイメージどおりのカットになった。動作速度もまずまずで食事シーンでもサッと撮影ができる端末になっている。

多摩川近くの外環道工事現場である。空バックにメカメカしい建設現場を撮ったが、AIは両方のディテールを残しつつ重厚感あるカットに仕上げてくれた。リベットや汚れ感をしっかり捉えたが、ややノイズも感じられるか
民家園でのカット。竹製の籠に枯れ葉がたくさん詰められていた。その様子をポートレートモードで撮ったが境界判定もボケもイイ感じに撮れた。しかしポートレートモードでは後処理に時間がかかるのが難点だ。モデル撮影では間が持たないくらい待たされる。撮影のテンポが崩れること必至だ。ここは処理速度の向上を求めたい

 バーでマティーニを。薄暗い店だったがオートフォーカスも正確かつ高速でカクテルを捉えてくれた。やや明るめの仕上がりになったが、好みに応じて露出補正すればいいだろう。

「AQUOS sense7」のまとめ

 軽量コンパクトで携行しやすく、何よりも大型センサー搭載&像面位相差オートフォーカスでリッチかつ快適な撮影ができる端末だという印象を持った。

 AIもまずまず良好で、端末任せでほとんどのシーンで失敗のない写真を撮れることだろう。ただポートレートモードだけは後処理に時間がかかりすぎてダメである。それだけが残念だ。

 価格もカメラレイアウトもよく、ミッドレンジ機として写真撮影を楽しめる端末になっていると感じた。

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三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau