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“スマホ運転免許証”で誰がドライバーか特定、店舗利用の新体験など 九州大学で実験

 トヨタ・コニック・アルファとジェーシービー(JCB)は、モバイル運転免許証などの技術を活用してモビリティデータ利活用を高度化する「クルマウォレット連携」の実証実験を3月後半に九州大学伊都キャンパスで行う。

 実験では、超広帯域通信(UWB)とBluetooth Low Energy(BLE)、モバイル運転免許証(mDL)を活用して、ドライバーが誰かを正確に把握する。サービスとの連携で新たな顧客体験の創出につなげる狙い。実証はレンタカーで出かける際の「UWB/BLEによる測距とmDLを活用したドライバーの特定」「クルマウォレットを活用した自己主権型データ連携」「UWB/BLEによるクルマ・店舗間のジャストタイム連携」の3つの状況を検証する。

 想定しているのは、mDLとデジタルキーにより、手続きをオンラインのみで完結する「手ぶら乗車」や飲食店と連携し、到着時間にあわせて調理、できたての料理を渡す「手ぶら決済」「ジャストタイムオーダー」などのサービス。また、ガソリンスタンドに到着と同時に油種や車内清掃の有無、決済情報を自動送信したり駐車券情報を自動送信し、スムーズにゲートを通過したりできるサービスの可能性を検討し、実際のサービス展開の方向性を模索する。

 店舗側は必要以上のユーザーデータを保持することなくサービスの提供ができるようになることや店舗の省力化・回転率の向上などが期待される。消費者としても、自らのデータの使われ方や管理ができることやサービス申し込みのオンライン化による利便性の向上が見込める。

 移動に関する情報は、プライバシー保護などの観点から利活用が進んでいない。そうしたなかで、トヨタ自動車と電通グループの合弁会社であるトヨタ・コニック・アルファとJCBは、モバイル運転免許証の国際標準規格をサービスと連携する「ゆるやか連携」を2024年4月から進めてきた。今回、JCBが進めてきた購買のワンストップ化プロジェクト「近づいてチェック」の知見をかけあわせ、新たな顧客体験の構築と効果実証を行う。