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Pixelの「シンプル設定」に思う。その心意気は買いたいが、シニアが今から3ボタンナビを覚え直すのは……
2025年3月24日 00:00
Pixelスマートフォンでは、「Pixel Drop」と題して定期的に新機能の追加が行われています。その1つとして昨年12月には「シンプル設定」が追加されました。
らくらくスマホ級とまでは言いませんが、よりシンプルな画面UIをPixelで実現するための機能です。80歳を超える親がPixel 7aを使っていることもあり、実際に同機能を試してみました。
今回はあくまで様子見なので、筆者私物のPixel 8 Proで試してみます。本体設定→ユーザー補助と進むと、シンプル設定の項目があるので、これをオンにします。基本的にはこれだけで、細かいオプションなどはありません。
まず一見して変わったと実感できるのが、テキストとアイコンのサイズです。フォントサイズは全7段階の下から3段階目、アイコン表示サイズは全5段階のうちの中央値(下から3段目)となります。デフォルト値はフォントとアイコンどちらも下から2段階目なので、ワンサイズずつ大きくなるイメージです。
ただ、Pixelではそもそもシンプル設定とは無関係にテキストとアイコンのサイズを調整できます。例えば老眼の方がフォントサイズを下から4段階目にしていると、シンプル設定に変更するとむしろフォントサイズは小さくなり、それを警告するメッセージも実際に表示されます。
そしてもう1つの特徴として、ホームボタン設定が「3ボタンナビゲーションに固定されます。画面下端に、戻る・ホーム・アプリ切換の3ボタンが実際に表示されるという、かつてのAndroidでお馴染みだった方式です。ボタン表示スペースの分、描画領域は狭くなりますが、操作すべき場所は直感的に把握できます。
ただ、現行のPixelは「ジェスチャーナビゲーション」が事実上のスタンダートとなっています。ホームボタンそれ自体は画面上にほぼ表示されないため、画面はスッキリ。画面下端から上にスワイプすれば、ホーム画面に遷移しますし、「戻る」操作は画面左端・右端からそれぞれ中央に向けて指をスワイプすればいいので、右手操作・左手操作にかかわらず指の移動量が減るメリットがあります。
振り返ってみますと、ジェスチャーナビゲーションは2019年9月リリースのAndroid 10から採用がはじまりました。
もう5年経過した訳です。ただ端末メーカーによって導入に温度差があり、今でもサムスンのGalaxyは3ボタン制を強く押し出しています。
正直なところ、筆者が親にPixel 7a購入を薦めたのは「iPhoneより安い。そしてPixelならこれから先、OSバージョンアップのせいで操作を丸々覚え直すような事態は発生しないだろう」という目論みあってのことでした。
3ボタンナビゲーションは段階的に縮小していき、よってジェスチャーナビゲーションとは生涯の付き合いになるだろうから、大変かもしれないがこの際慣れるべきではないか。むしろ、移行はいいきっかけになる。そう考え、デジタル全般に不慣れな親を粘り強くサポートしようと決心しました。
ですので、3ボタンが前提のシンプル設定は、個人的には“ナシ”というのが結論です。Googleの心意気は買いたいところですが、根本から仕様が変更されるものではなく、強いて言えば“設定の一括変更”くらいの感覚。なにより、ジェスチャーに慣れつつあるシニアユーザーにとって、3ボタン操作の覚え直しは酷です。
ジェスチャーナビゲーションには一定の合理性があると思いますし、現行iPhoneの操作と通じる部分も多いです。ジェスチャーナビゲーションのままで、フォントサイズなど個別の項目をいじるという判断は、十分“アリ”かと思いますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
最後に、蛇足ながら筆者の親のスマホ画面を晒しておきます。フォントサイズは下から4段階目(7段階設定の中央値)、アイコンは上から数えて2段階目(下から4段階目)です。
標準的なユーザーからするとビックリするようなサイズ感ですが、老眼が進んでいるらしくこれでも使いづらそうです。スマホやPCにおける表示サイズ調整の問題、もっともっと真剣に考えないといけないかもしれませんね。
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