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そうか俺はABEMAで将棋チャンネルを見ればよかったんだ! 何が流行っているとか、あんまり気にしなくていいんだ!

 この原稿を書いているのが12月中旬ということもあって、ついつい今年1年を振り返ってしまいます。能登半島の地震、北陸新幹線の延伸、紅麹問題、新紙幣発行。2024年の前半だけでも、色々なことがありましたね。

 翻って筆者の個人的な話になりますが、コンテンツ消費の面であらたな発見がありました。「推し活って、こういうことなのか?」と。将棋に夢中になってしまいました。Netflixの「地面師」でもなく、“ふてほど”でもなく、ガンダムSEED FREEDOMでもなく、MLB中継でもなく、将棋です。ABEMAの将棋中継がヤバイです。

将棋界におけるアクスタこと、格言入り扇子をまさか筆者が買うとは、1年前は考えてもいませんでした。そのきっかけがABEMAです。動画配信は人を動かす

 きっかけは、仕事で将棋業界についてリサーチしたことでした。藤井聡太さんの大活躍はよく知られるところですが、調べてみるとイキのいい新人は沢山いる訳です。その1人、伊藤匠さん2024年5月、絶対王者の藤井さんから8大タイトルの1つ「叡王」を奪うかもしれない。そんなニュースに触れました。

 これはなかなかの事件だぞ。そういえばABEMAって色々コンテンツあるけど、将棋中継もしてたよね……という具合に、その時たまたま頭が回りまして、見たらもう激ハマり。伊藤さんは藤井さんと同い年。連敗が続いていたけど、ついに叡王戦第5局で勝ちきった! やった! おじさん、涙ちょちょ切れですよ。

 将棋中継は6時間超えが当たり前。平均すると8時間くらいでしょうか。ABEMAで中継される対局の多くは、その全編(!)に解説がつきます。現役のプロ棋士、女流棋士がその間ガッチリと、将棋の手筋にはじまり、棋界あるあるまで徹底的に喋り倒す。これはもう、自転車ロードレース中継と同じですよね。よって、「ツール・ド・フランスと将棋、ほぼ同一競技説」をここに提唱します(冗談ですよ!)。

2024年の叡王戦の模様は、ABEMAプレミアムに加入すれば今でも見られます

 ……自分語りが過ぎました。ここからは、動画配信サービスとしてのABEMAの仕様について、確認しておきたいと思います。まず料金ですが「リアルタイム視聴なら無料。見逃し配信は一部無料だが、基本的には月額1080円のABEMAプレミアムが必須」と考えておくべきです。何もかも無料という先入観は、ちょっと保留したほうがよいかと。

 視聴にあたっては、それぞれの「チャンネル」を選択しますが、将棋チャンネルは大抵の時間帯、過去対局の再放送が流れています。生中継は2週間に1~2回あるかどうか。視聴環境の面では、テレビ用の視聴アプリが大変充実しています。筆者にとってはスマホアプリ視聴は、バックアップ的な位置付けです。

 で、ABEMAプレミアム加入すると、これまでの膨大なコンテンツが楽しみ放題となります。将棋に関しては、オリジナルの超・早指し戦「ABEMAトーナメント」が過去7年分アーカイブされていますし、叡王戦をはじめ名人戦や竜王戦なども直近の1年分(1タイトルあたり最大5~7局)はだいたい視聴できるようになっています。その他に女流棋士トーナメントなどもあります。

 そしてABEMAは将棋だけではありません。隣接ジャンルだと麻雀のMリーグは、9月から翌年5月までのシーズン中、夜19時から3時間超えの生中継を週4日体制で実施しています。こちらも、プロ棋士・プロ雀士の二刀流で知られる鈴木大介九段の存在をきっかけに、かなり見るようになりました。

 ちなみに、Mリーグも動画のアーカイブ量がハンパないです。あと最近ですとプロレスのWWEも楽しめます。これらを踏まえれば、ABEMAプレミアムは相当割安なサービスと言えるでしょう。

オリジナルの将棋コンテンツのアーカイブはこんな感じ。絶対量はもちろんですが、7年分の重みもまた感じます。伊藤叡王がイルカと戯れたりラーメンの食レポしている動画(https://abema.tv/video/episode/288-38_s10_p414)は必見

 かつて取材では、「ABEMAは若者向けの恋愛リアリティ番組が人気」なんて話をよく耳にしていました。なら40代後半の筆者はお呼びでないんだろうなー、と思っていたら、実際はこのハマリっぷりですよ。やはり先入観持ちすぎるのはいけませんね。

 ABEMAにはもう本当に感謝です。将棋の配信と言えば、かつてはニコニコ動画でしたが、その時は全く筆者に刺さりませんでした。

 しかし、伊藤叡王の誕生をABEMAで見届けてからというもの、日本将棋連盟のWebサイトに日参し! オンライン将棋対戦アプリ「将棋ウォーズ」を嗜むようになり! YouTubeチャンネル「将棋放浪記」を毎日のように浴び! 千駄ヶ谷の将棋会館のカフェへお茶しに行ってグッズを買い! 三浦弘行九段が伊藤叡王へリスペクトを示すたびに胸熱!……そんな日常へと一変したのですから。

 このままだと、三軒茶屋へ激辛ラーメン食べに行ったり、叡王戦最終対局の会場となった山梨県の常磐ホテルへ泊まったり、雑誌「将棋世界」を定期購読してしまいそうです。

 とまぁ、色々話が横滑りしましたが、好きな物は人によって違うよね、という話でした。動画配信というと、なんとなくドラマ、オリジナル映画の話に集約しがちですが、そんな枠にとらわれる必要はありません。「なにか1つサブスク登録しとこうかな」なんて発想は不要。見たいものを見、見たくなくなったらそっと離れる。気負いなく、コンテンツを楽しみましょう!

このほどオープンした新・将棋会館のカフェ「棋の音」にて。筆者にとってはコンカフェ