みんなのケータイ
アンテナ最大なのに通信できない!? 地味に困る5Gの“パケ止まり”
【Xperia 1 II】
2021年5月27日 06:00
NTTドコモとワイモバイルのSIMカードを挿して使っているSIMフリー版の「Xperia 1 II」だが、最近、少々困ったことが起きている。特定の場所でアンテナピクトに「5G」と表示されているときに、通信がまったくできなくなる現象が起っているのだ。
4G時代のいわゆる“パケ詰まり”とは異なり、データがまったく流れる様子がない。いわば“パケ止まり”とも呼べるトラブルだが、春ごろから徐々に発生頻度が高くなっている印象がある。
パケ止まりが起るとどうなるかを、動画で記録してみた。以下は、Chromeで「ケータイ Watch」のトップページを開こうとしている様子だ。データ通信がまったくできず、エラーが出てしまったため、再読み込みを行ってみたが、それでもサイトは表示されなかった。ケータイ Watchが落ちているわけではなく、TwitterやらFacebookやらのアプリでも、通信ができていない。パケ詰まりとは様子が違うのがお分かりいただけただろうか。
この時は、しばらく放置していたら、いつの間にかつながるようになった。ほかのケースでは、フライトモードのオン・オフで、データ通信が流れるようになることもあった。ただ、サイトを見ているぐらいなら冷静に対処できるが、急いで通信しなければならない場所で急に通信が通らなくなると、かなり焦ってしまう。筆者の場合、コンビニで立ち上げたau PAYがうんともすんともいわず、レジ前で焦ったことがあった。夜で客が少なかったため、フライトモードのオン・オフで事なきを得たが、混雑時だったら、いったんレジを離れていたかもしれない。
パケ止まりを何度か経験していると、何となく傾向もつかめてきた。まず、発生場所が大体同じということ。自宅付近や事務所の通勤経路、さらに事務所付近も含め、パケ止まりが起る場所はほぼ変わらない。その場所にいると必ず起こるというわけではないのが厄介だが、日常的に行き来する場所が含まれているため、少なくとも1日に1回以上は、この現象が起こっている。当初はSIMフリー版の端末が原因かと思い、知人に聞いたり、Twitterの声を調べてみたりしたが、ドコモ端末やiPhoneでも発生している模様。少なくとも、特定の端末のせいではないようだ。
先に開催された、ドコモの発表会でも、このトラブルを把握しているかどうかを問う質問が上がっていた。ドコモによると、「伝搬の特性上、ご指摘いただいていることも含めて(パケ止まりの)可能性がゼロではないと認識している」とのこと。一方で、「個別の事象については、十分認識できていないところがあるかもしれない」と、明言を避けている。発生頻度の高さを考えると、何らかの原因究明をしようとしているところなのかもしれない。
パケ止まりが発生している場所で共通しているのは、5Gの電波が限りなく弱かったり、電波が元々入っていないということだ。たとえば、以下はパケ止まりが起った際のアプリの画面。基地局から離れた場所にいたためか、電界強度が非常に弱く、通信には厳しい強さになっていることが分かる。周囲は4Gなら問題なく通信できるため、5Gを切り離せばいいはずだが、端末の動作を見ていると、上りの通信を何度もトライして、失敗していることが分かる。
一般的に、携帯電話は基地局からの電波を受ける下りの通信より、端末から電波を発する上りの通信の方が、距離の影響を受けやすい。出力を上げやすい基地局とは違い、端末側からの発信には限界があるからだ。今回のケースでは、上りで通信しようと試みて失敗した結果、5Gの電波を離さず、下りで通信し続けようとしているように見えた。面でカバーしている4Gとは異なり、5Gはまだまだスポット的。セルエッジ(エリアの境界)が多くできやすいのが、パケ止まりが起る一因かもしれない。
上記はあくまで推測だが、仮に当たっていたとすると、基地局側の細かなチューニングやエリアのさらなる拡大が必要になり、完全解決には時間がかかるかもしれない。端末側で5Gをオフにすれば安定するが、ドコモの5Gは「瞬速」をうたうだけに、きちんとつながると非常に高速。5Gをオンにしているメリットもあるので悩ましい。ahamoのサービス開始もあり、5Gユーザーが急拡大しているだけに、早期に問題が解決されることを期待している。
【お詫びと訂正 2021/05/27 8:12】
記事初出時「4Gをオフにすれば安定する」としていた箇所がございました。正しくは「5Gをオフにすれば安定する」です。お詫びして訂正いたします。