ケータイ用語の基礎知識
第980回:「1インチセンサー」って結局なに? カメラの性能を左右する「センサーサイズ」とは
2021年6月15日 10:30
センサーサイズとは、スマートフォンやデジタルカメラといった、カメラ機能をもつ機械の「イメージセンサー」のサイズのことをいいます。
イメージセンサーは「撮像素子」などとも呼ばれます。つまり、画像を撮るときにレンズから入ってきた光を電気信号に変換する部品です。
徐々に大型化するスマホのセンサーサイズ
スマホでは、カメラ(イメージセンサー)の画素数は必ず明記されていますが、センサーサイズは公表されていない事がほとんどでした。しかし実は、写真の画作りに効いてくるのがこのセンサーのサイズです。
最近の例でいうと、シャープの「AQUOS R6」がアウトカメラに1インチ(13.2×8.8 mm)のイメージセンサーを搭載したことで話題になりました。
1インチセンサーといえば、たとえばソニーの「Cyber-Shot RX100VII」やキヤノンの「PowerShot G7 X Mark III」といったいわゆる「高級コンパクトデジタルカメラ」などには搭載されていましたが、これまでスマートフォンで搭載する機種はなかったからです。
たとえばiPhoneシリーズでは「iPhone XR」および「iPhone 11」の26mm側のアウトカメラで使用されているイメージセンサーのセンサーサイズは「1/2.5インチ」(5.7×4.3 mm)と呼ばれるサイズです。
2021年7月発売予定の「Xperia 1 III」では、アウトカメラの広角レンズに「1/1.7インチ」(7.5×5.6 mm)のセンサーを採用しています。
かつての「iPhone 5」は1/3.2インチ(4.6×3.45 mm)でしたから、AQUOS R6はそれと比べて7倍近い面積のセンサーを搭載していることになります。
大きなイメージセンサーを持つメリット
イメージセンサーは、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する装置であることは、前述の通りです。
スマートフォンの写真が高画質になるかどうかは、撮影されたあとの画像処理エンジンの処理などもありますが、まず元となる原画データ、つまりイメージセンサーから得られる光の明るさデータというファクターが非常に大きくモノを言います。
同じ画素数でイメージセンサーが大きければ、画素数辺りの拾える光の量は多くなりますから、当然ダイナミックレンジが広がり、高感度になり、自然なボケも描写できるようになるというふうに、表現力が格段に向上します。
ただし、イメージセンサーはサイズが大きくなれば、その分コストも高くなり、それに合わせてスマートフォンに使うレンズの大きさも膨らんでしまいます。ただ闇雲にセンサーサイズを大きくすればよい、というものでもないわけです。
焦点距離の「35mm換算」とは
焦点距離というのは、被写体にピントを合わせた際のレンズの中心からイメージセンサーまでの距離を示します。
さて、AQUOS R6のようなカメラに力を入れたスマートフォンのカタログにも「焦点距離(35mm換算)」という言葉が載ることがあります。この35mm換算とは一体何でしょう?
この数字は、カメラレンズにおける焦点距離の基準です。
焦点距離は、センサーサイズによって変化します。35mm換算というのは、1インチイメージセンサーのカメラでの焦点距離を35mmフィルムカメラのレンズの焦点距離に直すとこの位ですよ、と言っているわけです。ちなみに1インチですと、本来の焦点距離の2.72倍が35mm換算値です。
この値で計算すれば、AQUOS R6の場合、35mm換算で最大広角19mmですから、水平画角は38.31度(左右なので×2)、垂直画角は26.07度(同)、対角画角は45.31度(同)である、といったように、どのくらいの画角で写真を撮れるかを計算することもできるわけです。