インタビュー

「AQUOS R6」のインタビューで聞ききれなかったこと、一問一答

 本日発売のシャープ製Androidスマートフォン「AQUOS R6」に関して、本誌ではシャープへのインタビューを実施した。

 ただ、数多くあるAQUOS R6のセールスポイントについて聞いていくうちに、所定の時間では足りなくなるという事態に。

 そこで、インタビューで聞ききれなかったことを、後日メールインタビューという形で質問した。本記事では、その質問に対する回答を一問一答形式でご紹介する。

「AQUOS R6」

――放熱・発熱を低減する設計はどうなっていますか。

シャープ
 放熱設計のあり方は、基本的には従来から変わっていません。筐体内の熱源となる部品の配置を工夫することで、チップセットなどの熱源から筐体内へ効率的に放熱させ、熱を原因とするスマートフォンのパフォーマンス低下を防ぎます。

 AQUOS R6の放熱構造において、大きなポイントは2つあります。まず、金属プレートへの熱伝導率を上げる伝導材の活用です。

 続いて、基板構造です。AQUOS R6では2階建ての基板構造を採用したことにより、基板の「体積」をこれまでよりも大きくすることに成功しました。基板へ実装された部品からの熱を基板へ伝えやすくなり、基板実装部品の温度を低くすることができます。

――ディスプレイの端が湾曲タイプになった理由を教えてください。

シャープ
 デザインとしての表現を重視し、湾曲タイプのディスプレイを採用しました。AQUOS Rシリーズとして「これまでにない表情」を作り出すことと、ボディを薄く見せるための手法として有効に機能します。

 また、Pro IGZO OLEDという新ディスプレイの開発により、湾曲タイプのディスプレイが実現しました。これまで踏襲していたダブルノッチもなくなっています。こうした変更には、外観やデザインを「リボーン(Reborn)」させたいという企画的な狙いがありました。

 一方でディスプレイを曲げたことにより、特にゲームを楽しむ際に、画面端の誤操作を懸念する声もあります。そこで、AQUOS R6は、ゲーミング設定の中でタッチ領域を任意に設定できる「エッジコントロール」を新たに搭載しています。

――ストレージが前モデルより減った(256→128GB)ことが残念という声がありました。そのあたりの考え方を教えてください。

シャープ
 ここは非常に悩ましいポイントでした。最終的には、「お客さまへAQUOS R6をどのくらいの価格で提供したいか」という考えに基づいてストレージを決定しました。ストレージを拡張する方法として、microSDスロットも搭載しています。

 実際、AQUOS R6の発表後にストレージに関する反応もいただいていますが、「ライカ監修のカメラを搭載したスマートフォンがこの価格で!」というお声も多くいただいています。

 ストレージのあり方については、今後、お客さまの声や市場動向を鑑みながら、検討を続けていきたいと思っています。

――画質調整で苦労した点は何でしょうか。

シャープ
 ライカさんの画質基準は本当に厳しいものでした。たとえば、暗いシーンの奥の方にある小さな被写体を拡大して細かくチェックされます。我々としては「えー、そんなとこまで見るんですか」という感覚でした。

 また、「同じシーンで何回撮っても同じ画質で安定して撮れる」ことも重要です。シーンによっては光源が不安定で画質がブレるケースもあり、同じ画質で複数回撮影するというのは非常に難しい課題でした。

 撮影シーンも、原理的に撮影が難しいシーンを含めて種類が多く、そういったシーンでの画質を徹底的に評価されました。

――レンズ設計で苦労した点を教えてください。

シャープ
 1インチという巨大なセンサーが最大の課題でした。大型センサーの採用は画質向上に大きく寄与しますが、必然的にカメラモジュールの大型化にもつながります。

 カメラモジュールの薄型化という厳しい前提条件がある中、レンズの性能(F値、焦点距離、歪み、解像度、色収差など)に満足するまで、レンズ設計・光学シミュレーションを何十回も繰り返しました。最終的には、ライカさんの技術者の方にも太鼓判を押していただけるようなレンズ設計に到達できました。