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「AQUOS R6」、1インチセンサーカメラの構造とは
2021年5月17日 18:43
シャープは17日、ハイエンドスマートフォンの新機種「AQUOS R6」を発表した。シングルカメラながら、1インチという大型センサーを採用したモデルで、ドイツのカメラメーカーであるライカの監修を受けている。NTTドコモとソフトバンクから、6月中旬以降に発売される予定だが、価格は未定。
その大きな特徴は、1インチセンサーカメラや、省エネ製に優れたIGZO PRO OLEDディスプレイなど、いくつもあるが、今回は1インチというセンサーをどのようにスマートフォンに搭載したのか、その構造を紹介しよう。
ボディに組み込まれるカメラモジュール
シャープが披露した「AQUOS R6」の内部構造の一端を見てみよう。今回取材時に示されたものは、ディスプレイ側~背面をざっくり4つのパーツで示したものだ。
カメラモジュール部の周辺は、右にフォーカスで役立つTOFセンサーが用意され、アルミフレームで一体化されている。アルミで剛性を確保した格好で、もちろん落下に対する同社内のテストもクリア。レンズや画質、センサーについてはライカの監修を受けたとのことだが、モジュールをいかにスマートフォンに実装するか、という点はシャープの技術力が示される部分だ。
1インチセンサーのサイズ
AQUOS R6のセンサーは、約1年前に登場した「AQUOS R5G」のセンサーサイズ(1/2.55)と比べ、約5倍、大きくなった。
展示されていた実物を見ると、その差は歴然としている。しかし、ここで課題となるのは、レンズだ。シャープ パーソナル通信事業部の小林繁事業部長は「スマホの厚みの中に1インチセンサーを搭載できるような 焦点距離 を入れられるか、そこが難しい」と語る。
7枚構成のレンズ
いかに焦点距離を確保するか、シャープは今回、「AQUOS R6」で7枚構成のレンズを採用した。その断面を見ると、7枚のレンズが縦に積まれた格好だ。レンズの製造は、シャープの子会社で、世界的にも評価されているマイクロレンズユニットメーカーのカンタツが手掛けており、監修したライカの「SUMMICRON(ズミクロン)」の名を冠している。
カメラモジュールの断面を見ると、下は広く、上は小さく、7枚積み重なっており、全て合わせると山のようなシルエット。
AQUOS R6の背面にあるカメラ側が最も小さい凸レンズ。被写体を捉えた光が入ってくる入り口だ。その凸レンズを1枚目とすれば、一番下にある7枚目のレンズは、1インチセンサーに面する部分。外から届く光を7枚のレンズが、徐々に光を広げ、1インチセンサーの隅々に届ける、というかたちだ。
厚み9.5mmのボディに詰め込まれたレンズとその工夫が、1インチセンサーの搭載を実現した大きなポイントとなってる。
マルチカメラには、マルチカメラの良さがある、とした小林氏は、場面場面に応じて使い分けられるマルチカメラの利便性を挙げる一方で、多くのユーザーが標準カメラで撮ることがほとんど、とも説明。マルチカメラでは大型センサーを複数搭載することが難しいため、今回、シャープはユーザーへの新たな提案としてカメラはシングルにし、1インチセンサーの採用を決めた。ライカの監修に加え、コンピューテーショナルフォトグラフィーの技術も盛り込まれており、たとえば三脚に据え付けて夜空を撮影する場合では、HDR撮影と同じような仕組みで複数の写真を切り取って合成し、夜空にきらめく星々を撮影できるのだという。
6月中旬以降発売とあって、まだ1カ月以上、時間がある。最終的な製品版ではどのような仕上がりになるのか。本誌でも今後、その実力をご紹介する。