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シャープ、1インチセンサーカメラの「AQUOS R6」発表、IGZO技術の有機ELディスプレイも
2021年5月17日 14:00
シャープは、1インチセンサーのカメラを搭載するフラッグシップの5Gスマートフォン「AQUOS R6(アクオス アール シックス)」を発表した。2021年の夏モデルとして、NTTドコモとソフトバンクでそれぞれ商品化される。
1インチセンサーのシングルカメラに加え、1Hz~240Hzで駆動するOLED(有機EL)ディスプレイという特徴を備える新機種となる。
「革新的カメラ」、1インチセンサー×Leicaレンズ
Android 11の「AQUOS R6」では大きな特徴となる1インチセンサーカメラを搭載する。
シャープでは、独ライカ(Leica)カメラ社と協力し、カメラのセンサー開発~レンズ設計、画質調整までライカの監修を受けている。ライカとは長期的なパートナーシップを締結しているという。
体力と知力を融合
「AQUOS R6」の開発にあたり、シャープでは一般的なデジタルカメラは大型センサーとレンズを備える“体力勝負”のデバイス、スマートフォンのカメラは高度な演算処理を得意とする“知力勝負”で進化してきたと定義する。
その両者の融合を図り、物理的に優れたセンサーとレンズと最高峰の半導体とアルゴリズムを組み合わせることを目指し「co-engineered with Leica」としてカメラを開発した。
その結果、「AQUOS R5G」の標準カメラで用いたセンサーサイズ(1/2.55インチ)の約5倍となる1インチセンサー(約2020万画素CMOS)を今回採用することになった。
たとえば暗い場所の撮影でのノイズは、「AQUOS R5G」よりも約40%低減できた。またデジタル処理では難しかった光学的なボケも実現できるという。
SUMMICRON 7枚レンズ
7枚構成のレンズは、ライカの「SUMMICRON(ズミクロン)」の名を冠し、F値1.9、焦点距離19mmというスペック。
AQUOS R5Gと比べ、解像性能は15%アップ、歪量は1/10(広角カメラの98度での比較)となった。
レーザーオートフォーカス
340点のレーザーオートフォーカス(ローライトToF)対応で、暗い場所でも正確に被写体を捉えられる。ピントを合わせる際にはレンズが動いている様子がわかる。たとえばカメラ機能を起動してその前に手をかざすと、手にフォーカスがあたる。手をどけると、別の場所にピントが合うことになり、そうした動きを試すとレンズの動きがわかるという。
シングルカメラでも超広角~望遠まで
ここ数年、スマートフォンのカメラは複数搭載されるトレンドが続いている。
「AQUOS R6」ではシングルカメラとなり、カメラの数だけ見れば、そうしたトレンドから距離を置いたように見えるが、「AQUOS R6」では、19mmの超広角撮影のほか、24mmでの標準撮影、望遠6倍(152mm、ウルトラレゾリューションズーム)での撮影もサポートする。これは1枚の写真が高品質であることを活かし、それぞれの画角で切り取った写真となる。
手ブレ補正は電子式。撮影時にはRAW形式でも保存できる。
IGZO技術を用いたOLEDディスプレイ
シャープ製のスマートフォンでは、これまで省エネ性能に優れた「IGZO(イグゾー)」技術の液晶ディスプレイが数多く採用されてきた。
IGZOとは、インジウム(元素名:In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)で構成された酸化物半導体。より明るい画面にできる一方、画面表示が静止した状態になると、駆動をほぼ止め、電力を消費しないといった特徴を備える。これまでシャープでは、IGZO液晶ディスプレイを126機種、2000万台以上に搭載してきた実績を持つ。
「AQUOS R6」では約6.6インチ、1260×2730ピクセル(WUXGA+)のOLEDディスプレイが搭載される。そのディスプレイには、酸化物半導体の特徴である、1Hz駆動(1秒に1回の駆動)と、高いスイッチング能力により画面をなめらかに描画できるという2点が盛り込まれた。これにより、今回のディスプレイは「PRO IGZO OLED」と名付けられている。
IGZOによる低消費電力に加えて、有機ELディスプレイの特徴も省エネに寄与している。有機ELは自発光、つまり黒く表示されている部分は消える。部分的に消灯することで、さらに省エネ性能が高まっている
その一方で、毎秒120Hz駆動に加えて、間に黒画面を挿入することで、240Hz駆動でのメリハリある表示を実現した。2019年冬モデルの「AQUOS zero2」でも採用されていた仕組みで、黒画面の挿入は「網膜残像効果の軽減」を実現する。網膜残像効果とは、「今見ていた絵とその次の絵を脳が勝手に混ぜ合わせる現象。
あわせて「リッチカラーテクノロジーモバイル」で、ディスプレイメーカーでもあるシャープならではのチューニングが施されており、記憶色基準、コントラスト基準、カラーボリューム基準といった画質指標をクリア。10億色表示、ばらつき補正、最大輝度2000nit、コントラスト比2000万:1、HDR映像のDolby VISION対応といったスペックとなり、ゲームアプリや映像作品など、コンテンツクリエイターが届けたい映像の色合いをそのまま再現できるとうたう。
これらの仕組みで、1~240Hzまで場面場面に応じて自動的にディスプレイの駆動が変わり、消費電力を押さえながら見やすいディスプレイに仕上げられた。
インカメラのパンチホールの大きさ
ディスプレイ上部には、約1260万画素CMOSセンサー、F値2.3、焦点距離27mm相当のインカメラが搭載される。
ディスプレイに穴を開けた、いわゆるパンチホールタイプとして搭載されているが、そのホールの大きさは、ステータスアイコン1個分となっており、目立たず画面に溶け込むようデザインされている。
主な仕様
バッテリーは5000mAh。その劣化を抑えるインテリジェントチャージにより、1年後の電池劣化は10%以下にできる。
チップセットは、クアルコム製のSnapdragon 888。メモリーは12GB、ストレージは128GB。最大1TBのmicroSDカードが利用できる。
IPX5/8準拠の防水性能、IP6Xの防塵性能を備える。
5G対応で、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)もサポート。Bluetooth 5.2、おサイフケータイ/NFCをサポートする。
項目 | 内容 |
OS | Android 11 |
大きさ/重さ | 約162×74×9.5mm/約207g |
チップセット | Snapdragon 888(2.8GHz+1.8GHz オクタコアCPU) |
メモリー(RAM) | 12GB |
ストレージ(ROM) | 128GB |
ディスプレイ | 約6.6インチWUXGA+(1,260×2,730ドット)Pro IGZO OLED |
アウトカメラ | 有効画素数 約2020万画素 CMOS、F値1.9レンズ(焦点距離19mm相当) ローライトToF、AF、電子式手ブレ補正 |
インカメラ | 有効画素数 約1260万画素 CMOS、F値2.3レンズ(焦点距離27mm相当) |
バッテリー容量 | 5000mAh |
生体認証 | 顔認証、指紋認証(3D超音波指紋センサー Qualcomm 3D Sonic Max) |
その他 | Wi-Fi(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.2、おサイフケータイ/NFC、防水(IPX5/IPX8)、防塵(IP6X) |