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ソニー、4K・120Hzディスプレイと可変式望遠レンズ搭載の「Xperia 1 III」を発表

 ソニーは、Androidスマートフォン「Xperia 1 III」を発表した。日本を含む地域で2021年初夏以降に発売される。

 Xperia 1 IIIは、ソニー製の最新Androidスマートフォン。特徴的な21:9のシネマスコープディスプレイはそのままに、スピーカーやカメラなどを強化した。

 デザインは上下左右のベゼル幅を均一にしたシンメトリーをテーマとしている。メタルフレームとフロストガラスで質感の高いさわり心地に仕上げられている。背面の指紋も抑えているほか、コーニング製の「Gorilla Glass Victus」をディスプレイ側へ採用。傷に強くIP68相当の防水防塵性能を備えている。

世界初可変式望遠レンズ搭載

 リアルタイム瞳AFやツァイスレンズは引き続き搭載。16mmの超広角レンズ(12MP F2.2 デュアルフォトダイオード)、24mmの広角レンズ(12MP F1.7)に加えて70mm・105mmの可変式望遠レンズ(F2.3・F2.8 デュアルフォトダイオード)を搭載した。デュアルフォトダイオードセンサー搭載のスマートフォンとしては、可変式望遠レンズを備えるのは世界初。

 デジタルカメラの購入基準としてオートフォーカス性能が求められることが市場調査から判明しており、デジタル一眼レフカメラ「α」で培ったオートフォーカスのスピード性能をXperiaへ投入している。

 Xperia 1 IIIでは、新たに70mmと105mmの可変式望遠レンズを搭載。ペリスコープ構造で内部にあるレンズが左右に動き、焦点距離を変更する。1/2.9のデュアルフォトダイオードセンサーにより、70mmでF2.3、105mmでF2.8の明るさを実現。オートフォーカス性能も向上したという。

 70mmと105mmは、日常の少し遠いところを撮影するという目的にフォーカスした選択。αの技術による高速なオートフォーカスと明るいレンズにより、他社製の焦点距離の長いスマートフォンよりも暗い場所に強く動く被写体も捉えやすい。

 すべてのセンサーがデュアルフォトダイオード対応となっており、すべてのレンズで高速かつ高精度なコンティニュアスオートフォーカスを実現している。加えて、被写体をロックオンしてオートフォーカスを追従させられる「リアルタイムトラッキング」に対応。任意の被写体をタッチするだけで自動的にオートフォーカスが追従する。

 一瞬物陰に隠れた程度ではロックオンは解除されず、被写体も人物や動物に限らず、車両でも認識する。AIを用いた色、模様、距離情報の解析によって実現しているという。

 秒間最大60回のAF/AE演算で秒間最大20コマの高速連写もXperia 1 IIから引き継がれている。今回のXperia 1 IIIでは、新たに連写撮影中に画像を複数枚重ねるノイズリダクション機能を搭載した。これにより、薄暗い場所での高速連写でもより鮮明な写真を撮影できるという。

カメラアプリはPhotography Proが標準に

 αを踏襲したカメラアプリ「Photography Pro」は引き続き搭載される。今回からは新たに「ベーシックモード」が備えられる。画面上のシャッターボタンやボケモード、セルフィやパノラマなど一般的なスマートフォンのカメラアプリに近い操作感を持つ。

 これによりXperia 1 IIでは搭載されていた標準のカメラアプリは廃止となる。シャッターボタンは、エンボス加工となり押しやすさを向上した。

 また、独自のAI処理により、デジタルズーム時に発生する画質の劣化を抑える「AI超解像ズーム」に対応。さらに、立体的なボケ感を演出する機能もあわせ持つほか「FlawlessEye」対応のハイブリッド手ブレ補正を搭載する。

動画撮影も進化

 動画撮影もさらに進化した。より高速な読み出しに対応するイメージセンサーとソニー独自のアルゴリズムにより手ブレ補正性能が向上。暗い場所でもより鮮明な映像を撮影できる。

 写真撮影同様に4つの焦点距離により映像の構図の自由度が構造。「CineAlta」の技術を投入した8つのLookと風の雑音を除去できる「インテリジェントウィンドフィルター」により、映画のような映像とクリアな音を記録できるという。4K HDRで120fpsのスローモーション撮影も対応する。

 また、カメラ専用機で撮影した映像を有線接続で映し出す外部モニターとしても利用できる。

スマホ初の4K 120Hzディスプレイ

 Xperia 1 IIIは、スマートフォンとして世界初の4K 120Hz HDR対応有機ELディスプレイを搭載。X1 for mobileと「Creator mode」も引き続き搭載する。

 出荷時にはディスプレイをキャリブレーションしており、個体差による発色の違いを均一化した。

 本体に備えられるデュアルスピーカーは、構造の見直しによりXperia 1 IIと比較しておよそ40%ほど音圧が向上。ソニー・ピクチャーズエンタテインメントとの協業で独自チューニングの「Dolby Atmos」が搭載され、音の定位や立体感を忠実に再現している。

 さまざまな音源をハイレゾ相当の音質へ変換する「DSEE Ultimate」により、圧縮により失われる高音域や微細な音を再現。CD音質相当音源のアップスケーリング性能も向上した。

 3.5mmヘッドホンジャックも引き続き搭載され、変換ケーブルは必要ない。有線ヘッドホン使用時も音圧が最大で40%向上したという。

 さらに、ライブ会場にいるかのような体験を味わえる立体音響技術「360 Reality Auidio」を世界で初めてスマートフォンの本体スピーカーで再生できるようになった。独自のハードウェアデコードに加えてスピーカーのバーチャライザーを新規開発したことによる。

 対応しているサービスは、現時点でTIDALのみ。

 また、「360 Spatial Sound」により一般的な音楽ストリーミングサービスのステレオ音源から臨場感ある立体的な音場を作り出せる。

ゲームも快適に

 120Hz駆動ディスプレイは、240Hzの残像低減技術と高速タッチ検出で指の動きを正確に読み取り、FPS(ファーストパーソン・シューティング)などで有利なゲームプレイを実現する。

 新たに、L-γレイザーを搭載。暗いシーンを意図的に明るく表示し物陰に隠れる敵などの視認性を高める。また、オーディオイコライザーにより帯域ごとの音量調整が可能。足跡や銃声などほしい音だけを聞き取りやすくする。また、ボイスチャット時の最適化によりクリアな声を届けられる。

 加えて、ゲーム画面の録画機能も120fpsに対応しており、ボタンを押した約30秒前から録画する「RTレコード」を新たに搭載。「さっきの瞬間を撮っておきたかった」ということをなくせる。

 バッテリーは、4500mAh。3年使ってもバッテリーの残量80%が確保されるよう設計されており、ワイヤレス充電とリバースチャージングにも対応する。

主なスペック(グローバル版)

 出荷時に搭載するOSは、Android 11。6.5インチのHDR対応4KOLEDディスプレイ(120Hz)を搭載する。メモリーは12GBでストレージは地域によって256GBまたは512GBが用意される。チップセットはクアルコム製の「Snapdragon 888」。

 メインカメラは12MP、12MP(超広角)、12MP(可変式望遠レンズ)に加えて深度センサーの4眼構成。

 地域によってSub6のみもしくはミリ波対応のモデルが用意される。本体の大きさは165×71×8.2mmで重さSub6対応モデルが186gでミリ波対応モデルが188g。

 3.5mmヘッドホンジャックを備える。カラーバリエーションはフロストブラックとフロストグレー、フロストパープル。IP68相当の防水性能を備える。

専用ケースも容易

 Xperia 10 IIIとあわせて専用のケース「Style Cover with Stand」が用意される。抗菌コーティング仕様のボディに動画視聴時などに横置きできるスタンドが備えられる。カメラ周りはレンズに反射しないよう角度が設けられており、本体と密着する構造でケース非装着時よりも本体の温度を下げる効果がある。

 Xperia 1 III向けモデルは、一眼レフカメラなどのグリップをイメージしたシボ加工が施されており、質感を高めている。