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第45回:FOMAとは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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「FOMA(フォーマ)」は、NTTドコモが5月30日より試験サービスを開始する新しい次世代移動通信サービスです。方式としては、W-CDMAを利用しています。
このFOMAは、商用としてW-CDMAを使う世界で最初のサービスとなる予定です。
世代の違いは速度の違い
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FOMAの試験サービスでは、モニタに「スタンダードタイプ」「ビジュアルタイプ」「データタイプ」の3つのタイプの端末が貸与される。これはビジネスシヨウ2001で展示されていたFOMAのビジュアルタイプ端末「FOMA P2101V」。携帯電話版テレビ電話だ
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このFOMAの特徴は、第1に、データ伝送レートが非常に高速になることです。
W-CDMAという方式はIMT-2000(International Mobile Telecommunications 2000)という、ITU(国際電気通信連合)で策定された、次世代移動通信方式の規格のひとつでもあるのですが、このIMT-2000は、次のようなことを目指しています。
・高品質な会話
・マルチメディアに対応できる高速データ伝送
このFOMAも非常に高速なデータの送受信ができるようになっており、パケット通信で、下りで最大384kbps、上り64kbps(ベストエフォート)のデータ伝送が可能になっています。そのため、これまで携帯電話ではやりにくかったマルチメディア方面での応用がいろいろと期待されています。
たとえば、5月30日より始まるFOMA試験サービスでも、ふつうの電話での会話ができるスタンダードタイプの携帯電話、パソコンのPCカードスロットに接続するデータタイプの他に、会話をしながらテレビで相手の様子を見られる「携帯電話のテレビ電話」のような、「ビジュアルタイプ」端末が提供されます。
携帯電話に限らず、このような動画をやりとりするような場合、データ伝送速度が速ければ速いほど画像の動きはなめらかになります。つまり、データ伝送レートが速ければ速いほど、テレビ電話のようなマルチメディア端末には有利になるのです。
ちなみに、この「FOMA」という名前もFreedom Of Mobile multimedia Access(モバイルマルチメディアの自由、という意味)から取られていて、ここからもマルチメディア対応に力を入れていることがうかがえるでしょう。
なお、この「FOMA」という名称はシステムだけでなく、そのサービスを利用する製品名ともなります。NTTドコモでは、これまでのデジタル携帯電話ではたとえば「デジタルムーバF503iハイパー」のように「ムーバ」という商品名を使っていましたが、FOMAで使える携帯電話の製品名は「FOMA N2001」のようになります。
そのほかのFOMAの特徴
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FOMAで使われる「FOMAカード」。金属の端子が見える部分をカード本体から切り離し、端末にセットして使う。カード自体は物理的にはUSIM(universal subscriber identity module)カードという共通の規格のもの
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このFOMAの特徴には、他には、「FOMAカード」が利用できることもあります。
これは、USIMカード(UIMカードとも)という、電話番号や個人情報などが入ったごく小さなICチップの載ったカードで、たとえば、このカードをある端末から他の端末へ入れ換えることで、同じ電話番号を複数の端末で持ち回りなどをすることができるのです。
W-CDMA自体は世界各国で使われる予定の次世代移動通信の規格ですから、将来的には、例えば、海外旅行などをした時に、旅行先に現地で調達した携帯電話端末にこのUSIMカードを差し込めば、現地事業者と契約を結ぶことなく携帯電話サービスが利用できるようになる、などということも期待できるかもしれませんね。
なお、現在、欧州やアジアなどで使われている携帯電話の方式であるGSMでも「SIMカード」という番号を持ち回りするための仕組みがあります。USIMカードは、これと同様の仕組みですが、GSMのSIMとの互換性はありません。
また、他にも、FOMAでは映像配信サービス「M-stage visual」の携帯電話版などといったサービスも予定されていますし、PDC方式と同様のiモードもサービスされる予定です。データ伝送レートが速くなると今まで若干わずらわしかったiモードのデータの読み込み時間もかなり短縮されるはずです。
FOMAのサービス提供の予定
FOMAはまず、5月30日より東京23区と横浜、川崎の一部(横浜市は神奈川区、中区、西区、南区、鶴見区、港北区の一部、川崎市は川崎区、中原区、幸区の一部)で一般と企業から公募した計4500台のモニター端末で試験サービスがスタートされます(ただし、ビジュアルタイプ端末については、モニターへの端末提供が遅れ、遅くとも6月末までには提供、と発表されました)。
そして、現在のところ、本格的なサービスは試験サービス終了後の10月1日より開始される予定です。サービスエリアはその時点でエリアは首都圏半径30km圏内、ほぼ国道16号線内となる予定です。そして、12月には大阪・名古屋地区での提供も開始され、2004年3月には人口カバー率で97%のエリアをカバーすることを目指しています。
・ FOMAホームページ(NTTドコモ)
http://foma.nttdocomo.co.jp/
(大和 哲)
2001/05/29 00:00
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