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第390回:スマートキーシステム とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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■ 鍵なしで自動車のドア開閉、エンジンをかける
スマートキーシステムは、最近多くの自動車に搭載されるようになったシステムの1つです。ドライバーが、鍵(イグニッションキー)を車に差し込まなくても、ドアに近づいたりドアノブを触ったりするだけで、ドアを解錠できます。また、乗り込んでボタンを押すだけでエンジンをかけることもできます。電子キーシステムなどと呼ばれることもあります。
また、自動車メーカーごとに異なる商品名となっています。たとえば、日本の自動車メーカーの場合、
- 日産自動車:インテリジェントキー
- トヨタ自動車:スマートエントリー
- ダイハツ工業:キーフリーシステム
- 富士重工業:キーレスアクセス&プッシュスタート
- 本田技研工業:Hondaスマートカードキーシステム
- スズキ:キーレススタートシステム
- 三菱自動車:キーレスオペレーションシステム
- マツダ:アドバンストキーレスエントリー&プッシュボタンスタートシステム
というような名称で開発されています。
このシステムの要となっているのは、スマートキーなどと呼ばれる電子キーです。電子キーは暗号化された鍵データを、微弱な電波に乗せて発信しています。この電子キーを持ってドライバーが自動車に近づくと(ボタンを押すと)、自動車内の受信機が電波をキャッチし、車載コンピュータが電子キーから発せられたデータを自分のデータと照合します。照合した結果が正しければ、電子キーを持って近づいた人が正しい所有者であると認証して、ドア鍵を開けたり、エンジンスタートを許可したりする仕組みになっているのです。
同システムの電子キーは、装置を搭載した従来の自動車のイグニッションキーに内蔵されたり、あるいはカードキーという形で、自動車購入時に添付されているのが普通ですが、他の形状が用意されている車種もあります。たとえば、トヨタのクラウンやエスティマといった車種の一部モデルでは、オプションとして、スマートキー機能を内蔵した腕時計「キーインテグレーテッドウォッチ」を利用できます。この腕時計をつけたドライバーは、自動車に乗り込む際、時計側面のボタンを押すか、ドアノブを軽く触れるだけでドアの開錠ができ、また、エンジンをかける場合はエンジンスイッチを押すだけで始動させることができます。
■ 携帯電話と一体化
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日産・ドコモ・シャープが開発している「インテリジェントキー搭載ケータイ」
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また、日産自動車では、NTTドコモ、シャープと共同で「インテリジェントキー」機能を搭載した携帯電話を開発しています。
インテリジェントキーは、2002年にリニューアルしたマーチを皮切りに、ティアナ、フーガ、スカイライン、アルティマなど多くの日産車に搭載されています。インテリジェントキーを携帯するか、あるいはキーの開錠ボタンを押すと、自動車のドアの施錠・解錠ができます。またキーを持った人が自動車に乗り込んだ状態で、エンジンボタンを押すか、あるいはイグニッションノブを回すことで、エンジンを始動・停止できます。今回開発された試作機では、インテリジェントキーの役割を携帯電話と一体化したものです。携帯電話は、常に持ち歩く物ですから、インテリジェントキーと一体化することで、より便利に使えるでしょう。
インテリジェントキー機能搭載の携帯電話は2009年度上期の商品化に向けて開発が進んでおり、展示会「CEATEC JAPAN 2008」で各社のブースにて展示とデモンストレーションが行われる予定になっています。
■ 自動車のインテリジェンス化
スマートキーシステムが自動車のオプションとして登場した背景には、自動車内部の電子化、カーエレクトロニクスのインテリジェンス化の進歩が大きな理由として挙げられます。
自動車内にマイクロコンピュータが搭載されたのは、エンジンの燃料供給装置の電子制御化が進んだためです。それ以前は、自動車のエンジンでは機械式の気化器(キャブレター)が使われていました。しかし、1970年代以降、排気ガスが社会的な問題として取り上げられるようになり、エンジン内でできるだけ燃料を完全燃焼させることが求められ、燃料供給装置で電子制御されるようになったのです。この車載コンピュータは、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)、あるいは単にカーコンピュータなどと呼ばれます。
コンピュータの進化に伴い、自動車でもさまざまな部分でコンピュータ制御が利用されるようになりました。たとえば、走行中の高さなどを調整する電子制御サスペンション、急ブレーキ時にブレーキタイミングを制御するアンチロックブレーキングシステム(ABS)などは、代表例と言えるでしょう。
そして今日では、走行時の制御だけでなく、ユーザーの利便性を向上させる仕組みにも転用されるようになりました。よく使われている仕組みとしては、イモビライザー(電子盗難防止装置)や、キーレスエントリー(離れた場所からドアロックを解除する仕組み)があります。
今回紹介したスマートキーシステムは、キーレスエントリーを発展させた機能と言えます。キーレスエントリーではなんらかの形でドライバーが、キーの代わりとなる発信機のスイッチを押す必要がありましたが、スマートキーシステムでは、発信機を持って車に近づくだけでドアのロックが解除される仕組みなども含んでいます。また、キーを持つ人が乗り込んでいた場合は車外からのロックを解除できなかったり、キーを持っていなければエンジンがかからなかったりするなど、セキュリティ対策を実現している場合もあります。
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・ ドコモ・シャープ・日産、インテリジェントキー搭載携帯を開発
(大和 哲)
2008/09/30 13:10
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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