「Garnet OS」とは、Palm OS 5をベースに、QVGA(240×320ピクセル)、HVGA(320×480ピクセル)などの高解像度画面に対応し、日本語や簡体中国語のサポート、ダイナミックインプットエリア、Bluetoothなどの機能を強化した、携帯機器用のOSです。
もともとこのOSを「Palm OS Garnet」として開発していた米PalmSourceを日本のACCESSが買収し、現在では、ACCESSが提供しています。
ACCESSが主導する、Linuxベースの次世代ソフトウェアプラットフォーム「ACCESS Linux Platform」(ALP)の一部として、Garnet OSのソフトウェアが実行できる仮想マシン「Garnet VM」の評価版が、ノキア製スマートフォン「Nokia N770」「Nokia N800」「Nokia N810」向けに配布されています。
■ Palm OS、Palm OS GarnetからACCESSのGarnet OSへ
Garnet OSの前身となるPalm OSは、もともとPalmが同社のPDA用に開発したOSです。
Palm OSを搭載する端末は、社名と同じくPalmというブランド名で呼ばれ、手のひらサイズのボディにタッチパネルを持ち、スタイラスペンを使って操作するもので、現在のスマートフォンの礎となるような操作スタイルを確立したPDAでした。クレードルで母艦となるパソコンと接続し、パソコンに登録されている住所録やスケジュールと同期する、というようなビジネスユースでのスタイルも、Palmでは既に確立されています。
Palmは、1996年から米国で販売され、これらの操作スタイルの革新性、使いやすさ、価格の安さなどから、その後世界中でヒットしました。ハードウェアの技術として、それまでパソコンやワークステーションなどにも使われえていたモトローラ68000系CPU(Palm OS 5以降はARM)を利用し、ユーザープログラミングも可能となっていたため、数多くのソフトウェアが開発、販売されました。
また、HandSpring(後にPalmに買収)からはVisorシリーズ、日本のソニーからはCLIEシリーズなど、Palm互換機も発売されるようになりました。これらの互換機はPalm OSを搭載し、従来のPalm用ソフトウェアも利用できました。その後、ハードウェアを開発・販売するPalmOneと、OSなどのソフトウェアを開発・販売するPalmSourceに分社し、ACCESSがPalmSourceを買収し、当時、Palm OS 5の拡張版として開発されていたPalm OS GarnetがGarnet OSとなり現在に至ります。
Garnet OSは、Palm OSのメリットを引き継ぎ、豊富なソフトウェア資産と操作スタイルをそのまま携帯電話でも利用できることが特徴と言えるでしょう。ALPでもGarnet VMを利用すれば、Linuxベースの携帯電話上で、このソフトウェア資産を利用することが可能になるのです。
■ URL
Garnet OS(ACCESS)
http://jp.access-company.com/products/garnet/
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(大和 哲)
2008/03/04 14:38
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