「Conexus Mobile Alliance」は、アジア太平洋地域の携帯電話事業者が参加する、組織です。国際ローミングおよび法人向けサービスの分野で事業協力を進めることを目的に結成されました。
アライアンス名の「Conexus」は、通信を意味するCommunication、協力・協同を意味するCooperation、結びつき、連鎖を意味するNexusの3個の英単語から合成された造語です。
現在、NTTドコモ、台湾のFar EasTone Telecommunications、インドのHutchison Essar、香港・マカオのHutchison Telecommunications、韓国のKT Freetel、インドネシアのPT Indosat、シンガポールのStarHub、フィリピンのSmart Communicationsが参加しています。
■ 国際ローミングに関するアライアンス、総ユーザー数は約1億3,000万
アライアンスとは、英単語で同盟を意味する英単語“Alliance”のことですが、企業関係の場合は、連携や共同行動を行なう複数企業のことを指します。形態としてはさまざまなものがあり、たとえば結びつきの弱い関係であれば販売チャネルや物流の提携、ジョイントベンチャーの設立、結びつきが強くなると資本参加持ち株会社の統合まで含まれます。
Conexus Mobile Allianceは、特に国際ローミング分野での事業推進が目的とされたアライアンスで、結びつきとしては比較的弱いアライアンスということになります。
資本提携や共通持株会社の設立などは現在のところ行なわれていませんが、この分野でアライアンスのメリットが生かされるような活動を行ないます。
たとえばNTTドコモでは、9月30日まで、同社ユーザーがConexus Mobile Alliance加盟事業者を経由した国際ローミングを利用した場合、テレビ電話の通信料とパケット通信料を20%割り引くキャンペーンを実施しています。またシンガポールのStarHubは、同社ユーザーに対して、アライアンス各社でのSMSおよびGPRSのローミング通信料を半額にすると案内しています。
企業同士がアライアンスを組むことにより、そのスケールメリットを活かし、市場への影響力を増大させたり、国際標準化機関などへの発言力・影響力が増したりしますし、互いの得意分野を補完し合う、またはコストなどの負担軽減、互いのマーケットへのアクセスを可能にする、といったメリットが挙げられます。
携帯電話の国際ローミングサービスを実現するには、各社間の折衝といった事務手続きや、技術的な情報交換が必要となります。
日本とフィリピン、日本と台湾、インドとシンガポールと2社間で手続きや情報交換が行なわれるのは非効率ですが、これらがアライアンス単位で行なえるようになると効率的になり、サービス開始までの期間が短縮したり、コストを削減したりできるメリットを受けることができるでしょう。
携帯電話はすでに全世界で普及しており、利用者数の増加も頭打ちになりつつあります。ですが、Conexus Mobile Allianceの場合、参加事業者の合計契約者数は、約1億3,000万に達します。これが全て自社の利用者になるわけではありませんが、これだけのマーケットへリーチできることは参加事業者にとって魅力的でしょう。
ローミングサービスだけでなく、それに付随するサービスの共通化などを進め、利用者の利便性向上を図ることも、このアライアンスでは計画されています。
たとえば、一部の短縮ダイヤルの電話番号をローミング先でも利用できるようにしています。従来、国際ローミング中は、短縮ダイヤルはその国の事業者のものしか利用できませんでした。たとえば日本国内では「113」は故障受付番号ですが、この番号は海外では利用することができませんでした。
しかしConexus Mobile Allianceの加盟事業者間では、短縮ダイヤル番号の国際ローミング先での提供が始まっていて、現在、ドコモユーザーであれば、台湾、香港、シンガポール、インドネシアで、日本と同じように「113」をダイヤルすると日本のドコモ故障受付センターに直接繋がるようになっているのです。
■ URL
Conexus Mobile Alliance(英文)
http://www.conexusmobile.com/
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(大和 哲)
2007/08/21 12:43
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