「OpenKODE」は、Khronos Groupが策定した、携帯電話機などの組込機器向けAPIセットで、主にマルチメディア機能のAPIを規定します。
Khronos Groupは、さまざまなプラットフォームや機器上で活用できるメディア作成・再生のためのオープンな標準APIの作成を目指す標準化団体です。NVIDIAやインテル、ノキア、テキサスインスツルメンツなどが会員となっていて、「OpenGL」などのメディアオーサリングとアクセラレーションに関する標準を策定しています。
携帯電話に関連する規格ですと、2D・3Dグラフィックス描画のためのAPI「OpenGL ES」、2Dベクターグラフィックス規格である「OpenVG」、ストリーミングメディアの標準API「OpenMAX」、オーディオ用標準API「OpenSL|ES」などが同団体によって標準化された規格です。
標準化された規格を採用することで、たとえば異なるハードウェアで作られた機器が2種類ある場合、どちらもOpenGL ESをサポートしているのであれば、同じ方法で3Dグラフィックを描画できますので、プログラム移植の手間が省けることになるわけです。
■ Khronos策定の標準をまとめたOpenKODE
これら「OpenGL ES」、「OpenVG」(次期バージョンでは「OpenMAX」、「OpenSL ES」も)をまとめ、さらにOSの持っている機能であるファイル管理やデータ通信,それにデータの暗号・復号といった機能をコンパクトにまとめた「Open KODE Core」をまとめたのが、OpenKODEです。
つまり携帯電話用ソフトウェアメーカーなどは、OpenKODEを採用している携帯電話を開発していくことによって、データ通信やファイルの管理、2D・3Dグラフィックの描画、ベクターフォントなどでの文字描画、ストリーミングデータの再生、オーディオ再生など、各機種で同じプログラムを使いまわすことができるわけです。
これだけ描画、音楽、さらにOS機能も広くサポートされていると、携帯電話上で使われるユーザーインタフェイス部分はほぼ共通のプログラムを使いまわすことができるようになります。
たとえば、携帯電話の機能メニュー画面などを共通化することも可能になるでしょう。また、現在は端末機種別に対応しなければならない、携帯電話向けゲームなどでもほぼ共通のプログラムをそのまま再利用できれば、大きなメリットになると考えられます。携帯電話の場合、各機種共通のプログラムを開発するには、Javaなどを使うことになり、速度的や機能的に不利でしたが、ほぼネイティブで作成が可能になることで応用範囲は広いと言えるでしょう。
■ ソフトバンクの新プラットフォーム「POP-i」が対応を検討

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ソフトバンクモバイルのPOP-iで採用が検討されている
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OpenKODEは、2007年6月25日現在、「OpenKODE 1.0 Provisional Specification」という形で仕様が提案されており、各方面からの意見を受け付け、最終的な仕様が今年半ばには策定される予定になっています。
そのような状況ですので、規格として正式に採用された例はありませんが、「いくつかのポータブルメディアや携帯電話などが採用を検討している」とされています。
たとえば、日本の携帯電話では、ソフトバンクモバイルが2007年5月に発表した同社の携帯電話向け新プラットフォーム「POP-i(Portable Open PlatformInitiative)」において、OpenKODEの採用が検討されています。
「POP-i」は、メーカー間でアプリケーションやミドルウェアの共通化を志向した、ソフトウェアプラットフォームで、異なるOSやチップセットでも同じソースコード、ライブラリを再利用できます。また、ハードウェアが高度化してもその特徴を生かして利用できるようにすることを目指しています。
たとえば、3Dグラフィックチップの性能が向上したとき、プログラムは同じものをベースにしながら、よりリアルな画像を表示させるようにしたい、というわけです。そのような目的を達成するには、OpenGL ESを含むOpenKODEが力を発揮することは想像に難くないでしょう。
■ URL
OpenKODE概要(英文)
http://www.khronos.org/openkode/
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(大和 哲)
2007/06/26 13:24
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