「iD(アイディ)」は、FeliCa対応の携帯電話(おサイフケータイ)や、非接触ICカード内蔵のクレジットカードを媒体として使用する、ドコモのクレジット決済サービスです。
am/pmやローソンなどのコンビニエンスストア、スーパーマーケットのジャスコなどを擁するイオングループの店舗、家電量販店のコジマなど、iDマークが示されている加盟店で、おサイフケータイをクレジットカードの代わりに使って買い物をしたり、あるいは対応ATMでのキャッシングなどに利用したりできます。
利用できる携帯電話は、NTTドコモの「DCMX」では、FOMAのおサイフケータイ全機種と案内しています。また三井住友カードではF900iC以降のFOMA端末とSH506iCなどのムーバ端末のおサイフケータイで利用できると案内しています。
「iD」という名称は、自己証明、存在証明を意味する"Identity"と、身分証明書を意味する"ID"から付けられています。
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「iD」のシンボルマーク(右)と、加盟店に貼られるマーク
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■ 電子マネーとの違いは「クレジットカード的決済」であること
「iD」と従来のクレジットカードとの違いを見ると、「iD」の場合、店頭に設置された読取機におサイフケータイをかざすだけで決済できる、つまり暗証番号を入力したり、サインをしたりすることなく、クレジットカードでの決済が利用できることでしょう。
iDでは、原則的に1万円(店舗やカード会社によって異なる場合あり)までは、暗証番号の入力やサインをせずに、かざすだけで買い物クレジットでの買い物や、キャッシングができます。
おサイフケータイで利用できる決済サービスには、「Edy」や「Suica」などの電子マネーがあります。これらとの最も大きな違いは「iDはクレジットカードで、プリペイド式ではない」ということでしょう。
EdyやモバイルSuicaは、プリペイド方式の電子マネーであるため、利用する前に一旦、使うだけに十分な金額を登録する「チャージ」という操作が必要です。つまり、現金やクレジットカードなどで一定の金額を支払って、それを電子化したお金としてEdyやモバイルSuicaという財布に入れる処理が必要になるわけです。
iDの場合、このような事前の操作は必要なく、信用での掛売りとなり、代金は後日クレジットカードの請求や、携帯電話の利用用金の一部として回収されることになります。たとえて言うなら、つまり、EdyやモバイルSuicaが財布を電子化したものであるのに対して、iDはクレジットカードそのものを電子化したものであると言えるでしょう。
■ 対応カードはDCMX、三井住友など
世の中には、さまざまなクレジットカードが存在しています。たとえばVISAやJCBは、クレジットカードの中でも「ブランド」と呼ばれる存在です。ブランド対応のクレジットカードを発行するのが「イシュア」という存在で、そのカードが利用できる店舗(加盟店)を開拓し、管理するのが「アクワイアラ」になります。このうち、iDはブランドにあたり、DCMXはイシュアに、三井住友カードはイシュアとアクワイアラを兼ねている、という形です。
ユーザーがiDを利用するためには、クレジットカード会社に申し込みを行ないます。その結果、携帯電話(おサイフケータイ)の中には、iDアプリと、それぞれのクレジットカード会社専用のアプリが常駐し、iDで買い物をした場合には、クレジットカード会社のアプリが利用者情報や利用金額などをカード会社に通知します。そして、カードの支払いはそれぞれが利用しているカード会社から請求されるわけです。
なお、iD対応のカードとしては、2007年3月現在、ドコモの「DCMX」、三井住友カードと銀行などを母体とするクレジットカード会社の加盟するVJAグループの発行するカード、イオンクレジットサービスの発行する「イオンカード」「スポーツオーソリティカード」、クレディセゾンの発行する「みずほマイレージクラブカード」などが存在します。
NTTドコモのDCMXは、この中でも、通常のクレジットカードサービスであるDCMXのほかに、「DCMX mini」が存在するのが特徴です。これは、iD専用のサービスで、プラスチック製のカードは発行されませんが、おサイフケータイで月間に最大1万円までのショッピングが可能できるというものです。ショッピングで支払った分の代金は、携帯電話の利用料金とあわせて引き落とされます。利用手続きも、iモードから簡単に行なうことができ、中学生以上(未成年は親権者の同意が必要)であれば利用できます。
三井住友カード、およびVJAグループカードの発行する銀行系信金系カードなどを持っている場合、iモードからオンラインでiDにカードを設定でき、追加料金などはかかりません。
これらのカードのiDは、おサイフケータイで利用するほか、申し込むと無料で、プラスチックのカードに内蔵する非接触ICに、iDを含めた「カードiD(クレジット一体型)」に切り替えることも可能になっています。
■ URL
サービス案内
http://id-credit.com/
(大和 哲)
2007/04/03 12:40
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