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第316回:UWB(Ultra Wideband) とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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■ UWBとは
UWBは、米国連邦通信委員会(FCC)の定義によれば、比帯域幅が中心周波数の20%以上、または500MHz以上という極めて広い帯域幅を利用して送受信を行なう無線通信方式です。
最大数GHzにわたる非常に広い帯域に、弱い電波で、ごく短い時間のパルス状の信号を送ることで、短距離内での高速なデータ通信を可能とします。たとえば、この無線通信方式を使った規格のひとつ、WiMedia UWBでは、半径数メートル以内の機器同士を無線接続し、3.1GHz~10.6GHzの周波数帯を用いて、最大480Mbpsの通信速度でのデータ通信を行なうことができます。
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UWBは、500MHz以上、最大数GHzに渡る非常に広い帯域を使う無線通信だ。たとえば、携帯電話が1.25MHz~、HSDPAでも5MHz帯域を複数束ねて使用する程度であることを考えると非常に広い帯域であることがわかるだろう
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UWBという名前は、「超広帯域」を意味する、Ultra Widebandの略です。米国Time Domain社のLarry Fullerton氏によって1960年代から軍事技術として開発が続けられてきた技術です。
3.1GHz~10.6GHz帯という非常に広い帯域を使い、ほかの無線ですでに使われている周波数を共用する形になるため議論はありましたが、2002年2月14日、米国連邦通信委員会(FCC)から民間利用の認可が下り、それ以来、いくつかの団体の推す方式で実用化や標準化が模索されてきました。
その中でも、マイクロソフト、インテル、ソニーなどが加盟するWiMedia Allianceの推すMultiBand OFDM方式と、フリースケールやモトローラによるUWB Forumの推すDS-UWB方式が標準として有力視されていましたが、根本的に方式の違うこの2つの方式を、IEEE802委員会の下部組織である802.15.3aタスクグループでは一本化することができず、2006年1月に標準仕様策定が断念しています。
そのため、UWB製品でも、方式に互換性のないものが複数、現在市場では存在しています(その後、WiMedia Allianceが推進するWiMedia UWB仕様が、ヨーロッパ標準仕様ECMAによって標準化され、また、2007年3月、このECMA規格がISO/IECによって国際標準として採用されたことを発表するなどもあり、各業界団体による標準化採用の努力が放棄されているわけではありません)。
UWBを使った規格のうち、WiMedia UWB仕様が、USBを無線化するWireless USBとして利用されており、また、Bluetoothの仕様を策定する団体、Bluetooth SIGによって、UWBはBluetooth規格との統合も発表されているので、いずれはこの技術を利用した規格を採用した携帯電話が出てくることもあるかもしれません。
■ 位置特定も可能なUWB
UWBによる通信機器の特徴は、先にあげた「超広帯域無線による高速通信」のほかに、
・マルチパスに強い
・低消費電力
・位置特定が可能
といった特徴が挙げられます。
今現在携帯電話に使われている無線通信などでは、たとえばビルの谷間などで電波の強度があるにも関わらず圏外となってしまうことがあります。この原因のひとつは、電波が直接届いたり、いくつかのビルなどに反射して届いたりと複数の経路、つまりマルチパスで届いてしまい、正しく内容を解釈できなくなってしまう「フェージング」という現象にあります。
UWBは、1ナノ秒以下という極短パルス波を利用するため、このような現象に大変強いという特性があります。
また、UWBは1ナノ秒程度の超短パルス波を利用するため、信号を出すために電力を必要とする時間が非常に少なく、このため、これまでの無線方式と比べると、消費電力が低い機器を作りやすいというメリットがあります。消費電力は、無線方式のみで決まるものではないため、この方式を採用した機器が即低消費電力というわけではないですが、対応製品が増えるにつれて、従来のモバイル端末に比べてはるかに低消費電力、長時間使用に耐えられるような機材が増えてくるでしょう。
最後の、「位置特定が可能」というのは、他の方式の通信にもありますが、UWBは、通信を主目的とした方式としては、非常に高精度で通信相手の位置を特定できるという、面白い特性を持っています。
これは、ごくごく短い時間でのパルス通信を行なうため、距離分解能が非常に高いことに由来しています。実際に、プレスリリースなどでは、UWBでの実験で、誤差十数センチでの位置検索が可能であったと報告された例もあります。
この特徴からUWB機器は単純に高速通信機器としてだけではなく、室内GPS等への利用も考えられています。
■ URL
WiMedia Alliance(英語)
http://www.wimedia.org/en/index.asp
UWB Forum(英語)
http://www.uwbforum.org/
(大和 哲)
2007/03/27 11:51
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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