■ 顧客あたり平均粗利のこと
AMPUとは、Average Margin Per User、つまり「顧客1人当りの平均粗利」の略で、アンプーと呼ばれることが多いようです。これは、企業がユーザー1人あたりから、得ている粗利を示す数値です。粗利とは、売上総利益ともいい、売上高から売上原価を引いた額のことで、「アラリ」と読みます。
携帯電話の場合、ユーザーは月単位で利用料金を支払うので、この数値は、1契約あたりの月間収入から、この収入を得るために事業者が支払ったコストを引いた額になります。たとえばコンテンツ配信で事業者が収入を得ている場合は、事業者がコンテンツ配信者に支払った額などを引いているわけです。
AMPUと同様に事業者が得た収入を示す数値には、ARPU(Average Revenue Per User)があります。こちらは純粋に、企業がユーザー1人あたりから平均いくらのお金を受け取っているか、つまり1契約あたりの月間平均収入額を示す数値です。
一般的には、携帯電話事業者の事業の好調さを計るための数値としては、こちらのARPUが使われることが多く、AMPUはあまり使われていません。たとえば、携帯電話事業者は、株主や投資家に対して、自分たちの事業がどのようになっているか判断してもらうために、IR(Investor Relations)情報を公開していますが、この中で、ARPUの数値を公開しています。たとえばNTTドコモの場合2006年第2四半期のARPUが6,720円であることが示されています。しかし、AMPUの数値は示されていません。
ただし、ARPUは直接的に事業者にとっての収益の大きさを表す数値ではないため、事業の好調さを示す指標としてこのAMPUを利用するべきだという意見も最近ではあるようです。コンサルティング企業のレポートなどでは、特に海外の携帯電話事業者の事業の好調さを計るために、このAMPUを示しているものもあります。
■ より付加価値の高いサービスを模索する携帯電話事業者
現在ではまだ、AMPUは指標としてはあまり利用されていませんが、注目されるようになった理由としては、ARPUが頭打ち、あるいは減少傾向になっているため、企業としてはその中での利益確保を追求する必要がでてきたからです。
特に携帯電話事業では、「電話をかける」「電話を受ける」といった音声サービスによる音声ARPUが、これ以上増える余地がほとんどありません。
それどころか、この分野に関しては価格競争に突入し、ますます減少するとする見方がされており、そのため、事業者は、より付加価値の高いサービスへの事業主体のシフトする傾向があります。
たとえば、企業向けモバイル情報システムのインテグレーション、電子決済、Eコマース、固定電話と移動電話のネットワークを統合したNGNなどが、最近の携帯電話の事業者の模索しているサービスの代表例と言えるでしょう。
これらは、サービスに付加価値を加え、コストを削減し、差別化を追及して初めて「成功」と言えるタイプのサービスであり、これらを評価するにはARPUよりもAMPUで計るべきだとする意見が最近では出てきており、レポートなどでも徐々に使われるようになってきているわけです。
(大和 哲)
2007/02/14 13:44
|