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第305回:Napster とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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NTTドコモのD903iなどは、Napster対応
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Napster(ナップスター)は、コンピュータやデジタルオーディオプレーヤーで使える音楽データを有料で配信するサービスを行なっている米国の企業名であり、同社が行なっているサービスの名称でもあります。
日本でも、同社とタワーレコードが合弁で設立した「ナップスタージャパン」が、米国と同様のサービスを提供しています。NTTドコモと提携しており、携帯電話対応の音楽配信サービスとしても知られています。
Napsterのサービスを契約し、毎月、定額の料金を支払うことで、同社が提供する150万曲(2006年12月現在)の音楽データから、好きなだけダウンロードし、パソコンやWMA対応デジタルメディアプレーヤーで聴くことができます。また、1曲づつの音楽データに対して使用料を支払う契約方法を選んだ場合、CD-Rにその音楽データを記録することも可能です。このほか、ストリーミング形式の音楽配信サービスも利用できます。
なお、同社の現在提供している音楽データは、ダウンロード再生の場合、ビットレートが192kbpsというWindow Media Audio(WMA)形式で提供されており、Napster専用ソフトとWindows Media Player 10がインストールされたパソコン、またはWMA形式に対応のデジタルオーディオプレーヤーや携帯電話で再生できます。
試聴データを含むストリーミングデータは、ビットレートが128kbpsのWMA形式となっています。ただし、低速なインターネットアクセス環境の場合、Napster専用アプリの設定で32kbpsか20kbpsにビットレートを落として利用することもできます。
■ Windows Mediaを利用、取り放題
Napsterの音楽配信サービスの特徴としては、
- 定額制で聞き放題のコースがある
- Napster専用アプリを利用する
- Windows Media Audioの著作権管理を利用している
ことがあげられます。
Napsterによる、現在の音楽配信サービスが始まった際に、シェア獲得の原動力となったのが、「月々一定の支払いで音楽データを好きなだけ聴ける」というサブスクリプション料金プランです。
同サービスでは、パソコン用の専用ソフトを利用し、インターネットから音楽データをダウンロードし、パソコンや携帯電話上で再生しますが、このデータは、ユーザーがNapsterと定額制プランで契約している間、ずっと利用できます。逆に、定額制プランを解約した場合、一定期間をおいて音楽データは利用できなくなります。
このような仕組みを実現しているのが、Napster専用ソフト、およびデジタル音楽プレーヤーや携帯電話で利用されているWindows Media Audioです。Napsterでは、Windows Media Audioがサポートしている著作権管理機能をそのまま利用しており、専用ソフトは再生前にユーザーの契約状況をサーバーに確認して、契約が有効になっていれば再生できるようになっています。
携帯電話やデジタル音楽プレーヤーの場合、ダウンロードした音楽データを転送するためにパソコンに接続しますが、その際にパソコン内に記録された、契約が有効かどうかのデータを確認し、携帯電話内の音楽データを一定期間聴くことができるように設定します。
そのため、携帯電話内の音楽データを利用するには、ある一定期間内にパソコンに接続して、Napster専用アプリと通信する必要があります。
これらの技術的、米国Napsterが買収した、Pressplay社が提供していた音楽配信サービスとほぼ同じ方式をほぼ踏襲したものになっています。
■ P2Pサービスで知られた会社が、買収され……
そもそもNapsterは、かつては、PressPlayとは全く違うP2P(Peer to Peer)を使ったファイル交換サービス提供会社の名前として知られていました。
P2Pとはユーザー同士のファイル交換技術の1つで、当時のNapsterでは、ユーザーがCDなどからリッピングしたデータが多く交換されていました。ユーザー同士で音楽データを交換するため、無料で音楽データが入手でき、爆発的に利用が広がりましたが、その反面、やり取りされているデータの多くは著作者の許諾を得ていませんでした。このため、全米レコード協会(RIAA)などから裁判を起こされ、敗訴した同社は、ファイル交換サービスを停止しました。
その後、このNapsterを、米国のRoxioが買収し、トレードマークなどを含めた知的財産を手にしました。Roxioは取引のあった音楽データ配信企業のPressplayを買収して、同社の技術とサービスを基盤にした音楽データ配信サービスに「Napster」のブランドをつけて、音楽配信サービスを開始しました。
Pressplayは、Sony Music EntertainmentとUniversal Music Groupという音楽関連企業の合弁会社で、この2社に加えてEMI Recorded Music、Madacy、Matador、Navarre、OWIE、Razor & Tie、Roadrunner、Rounder、Sanctuaryといったレーベルと利用契約を結んでおり、権利的にもクリーンな音楽配信サービスでした。
Pressplayでは月額24.95ドルで、ダウンロード100曲、CD-Rへの書き込み20曲が可能でしたが、新生したNapsterでは月額で曲数無制限にダウンロードを可能としました。
新生Napsterは、P2Pではない技術を利用して音楽データ配信を行なっているものの、権利面をクリアして、有料ながらも昔のNapsterの特徴である「取り放題」というイメージとトレードマークなどを継承したサービスであると言えるでしょう。
■ URL
ナップスタージャパン
http://www.napster.jp/
(大和 哲)
2007/01/09 12:19
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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