■ 消費する立場だった人たちが作るメディア
「CGM」は、「消費者が生成するメディア」という意味の“Consumer Generated Media”の略です。この場合のメディアとは、情報媒体を指します。
一般的に、ニュースなどの情報媒体は、新聞社や放送局というニュースの作成者がおり、新聞の購読者やテレビ・ラジオの視聴者がニュースを得るという形で、一方的に消費する立場でした。
これに対し、従来のメディアでは消費するだけの立場だった一般の人たちが、情報を提供しているようなタイプのメディアが「CGM」と呼ばれます。
たとえば、口コミサイト、Q&Aサイト、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、ブログなどが、このジャンルに含まれます。いろいろな商品の評価や、イベントなどの情報、関心をもたれる出来事などさまざまな情報が、一般の人からパソコンや携帯電話を使って、インターネット上のこれらのサイトに持ち込まれ、情報が形作られていきます。
■ インターネットの情報双方向性と、ネットワーク効果がCGMを作る
CGMとされるメディアは、基本的にはインターネット上のものです。先進ネットユーザーたちが描くネットサービスの在り方を「Web2.0」と呼ぶことがありますが、CGMは、Web2.0的なものの1つとして捕らえられることもあります。
これまで、情報媒体に使われていた印刷物や放送では、その特性上、作成者から消費者に一方的に送られるという流れでのみ、情報を配信できました。これに対してインターネットには、情報を発信するサイトからユーザーという流れだけでなく、パソコンや携帯電話を使って、ユーザーからサイト側へも発信できる“双方向性”が高いという特徴があります。
これまでもホームページなど、個人が情報発信をできるような仕組みはインターネットにありましたが、さらにサイトのサービスとして、ユーザーとユーザーの情報を結びつけて情報の価値を高める、いわゆるネットワーク効果によって他の情報消費者にとっても価値のあるものにしていることが、CGMのもう1つの特徴です。
たとえば、CGMの典型である、口コミサイト、Q&Aサイトなどでは、掲示板のような形式で、ある人が「○×はよかった」「△□って何?」などと、テーマを作ります。それに対して他の参加者が、それに対して評価や回答を加えます。ユーザーが作るテーマが多数あり、大勢の参加者によるさまざまな知識が集積するのがCGMの特徴です。
また、掲示板にコンテンツそのものが集められるのではなく、たとえば、ブログのトラックバック機能のように、情報を指し示すポインタによってネットワーク化されている場合もありますが、いずれにしても大勢の参加者による集積やネットワーク化による情報や知識の増大によって、情報自体の価値が高まることになります。
なお、CGMと呼ばれるサイトに掲載される情報のうち、一般の参加者が投稿・作成したものは、その正確性などが保証されていません。一般的には、大勢の参加者によって情報がブラッシュアップされることで、ある程度、正確性の確保が期待されますが、悪意の情報提供者によって、情報をねじまげることも不可能ではありません。そのため、情報の利用者もある程度、情報を取捨選択する力やリテラシーが要求されます。これもCGMによって提供される情報の特徴の1つであると言えるでしょう。
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(大和 哲)
2006/12/05 11:17
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