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第290回:SD-Binding とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 SD-Binding(SDバインディング)機能とは、SDアソシエーションが定めたSDカードの応用規格の1つで、データをSDカード内に保管する方法に関する規格です。この規格では、4C Entityが定めたCPRM for SD-Binding規格との組み合わせにより、SDカードやminiSDカードなどと、SDカード対応機器を機器側の固有データをもとに紐付けて、紐付けた機器以外ではデータを利用できなくすることで、著作権やプライバシーの保護を行ないます。

 画像データ、音楽データ、テキストなど含めて、ダウンロードコンテンツはデータの種類の制限なく、この規格で扱うことができます。

 「SDカードや対応機器とデータを紐付けする」ということは、携帯電話の端末そのものとしか紐付けできなかった、これまでの著作権保護付データと携帯電話との関係を大きく変えます。

 たとえば、著作権保護コンテンツ、たとえばレコードレーベルから提供される音楽データなどは携帯電話の内部メモリにのみ保存できました。しかし、SD-Bindingを利用すると、外部メモリであるSDカードやminiSDメモリカードなどに、著作権を保護しながらコンテンツを格納し、保存できるようになります。

 たとえば着うたでデータフォルダがいっぱいになったとき、さらに新しいコンテンツをダウンロードするには古いデータを消すしかありませんでしたが、SD-Binding機能が搭載されている携帯電話では、miniSDメモリカードを買ってきて、そちらに保存することで、いくらでもデータの保存できるというわけです。

 この機能はドコモのFOMA P902i、P702iとFOMA 902iSシリーズ、auのW21T、W21SAなどの携帯電話に搭載されています。なお、ボーダフォンでは「905SH」などで、SDカードへコンテンツを保存できる機能が用意されていますが、4C EntityのCPRMを使うという意味では共通の技術基盤に立ちながら、SD-Bindingとは異なる仕様が採用されています。


「UIM」「機種」などのデータをキーに暗号化

 著作権保護コンテンツを扱うためには、悪用されないために、SDカードに記録されたデータを勝手に複製されて、無断で配布などされないことが必要です。

 SD-Bindingの仕組みは、簡単にいうと、携帯電話の機種やUIMカード内に書き込まれている固有データなどと、SDカードのメディア識別データなどを利用し、これらの組み合わせを鍵にデータを暗号化/複号化を行ないます。SDカード上には暗号化されたデータが置かれるため、複製などをされても、コンテンツとして再生、利用できないわけです。

 SD-Bindingの具体的な利用方法ですが、たとえば、FOMAの場合は、


  • iモーションデータ
  • iモード網経由で取得したコンテンツなど
  • 画面メモ、メールの添付ファイルなど

での利用が可能となっています。

 なお、SD-Bindingによるデータと機械の紐付けは、携帯電話に内蔵されているアプリケーションだけでなく、iアプリでも利用できます。iアプリで使っているスクラッチパッド(データ保存領域)をminiSDカードに保存できます。もし、住所録やスケジュールなどを管理するなどのアプリケーションを作った場合でもプライバシー保護のためにデータを暗号化する場合に、SD-Bindingを利用するというようなプログラムにすることも可能になります。

 また、携帯電話のどのデータと紐付けするかですが、たとえばFOMAの場合には、


  • UIM+機種バインド
  • UIMバインド

のどちらかを選ぶことができます。

 「UIM+機種バインド」という紐付け方法は、携帯電話の機種データとUIMカード内の固体識別データを利用します。つまり、同じ機種で、同じ電話番号を使い続けていれば、そのminiSDカード内のデータを使い続けることができるわけです。

 「UIMバインド」は、UIMカード内の固体識別データのみを利用して行ないます。同じ電話番号を使い続けていれば、機種変更してもそのminiSDカード内のデータが利用できるのです。

 なお、データの紐付け対象は、iモードの場合、コンテンツ配信側で決定することができます。Webサーバーが携帯電話に送る“ヘッダ”というデータに「UIM+機種バインド」「UIMバインド」どちらのデータを配信するかを記入します。

 従って、配信者のポリシーによっては、SD-Binding対応データとして保存していても、機種変更した際に使えるデータがあったり、使えないデータがあったりする可能性があります。



URL
  SDアソシエーション
  http://www.sdcard.org/
  4C Entity
  http://www.4CEntity.com/
  NTTドコモ 外部メモリへのコンテンツファイル移行機能
  http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/drm/memory/


(大和 哲)
2006/09/19 12:26

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