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第289回:ベストエフォート とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 ベストエフォートは、「品質を保証する工夫をしていない」通信方法やサービスを意味する用語です。“ベストエフォート型サービス”“ベストエフォート方式”というような使い方をします。

 英語ではBest Effortとなり、日本語としては「最善の努力」という意味合いになるでしょうか。「努力はしますが、保証はしません」というような言いまわしをすることがありますが、まさにそれがぴったりくる概念です。

 ベストエフォートの対語は「ギャランティー」。ギャランティーは英単語で「保証」を意味するguaranteeから来ています。そして、ギャランティー方式のサービスは、サービスを維持するための工夫がされているサービスです。

 ベストエフォート方式のサービスが保証をしない対象は、通信ネットワークの種類などによってさまざまです。通信速度のことを意味する場合もありますし、送受信しているデータの内容が正確であるかどうか、データが一定時間内に届くかどうか、機材の故障や点検でサービスが中断されることがあるかどうか、といった点でよく使われます。


ベストエフォートとギャランティーの違いとは

 ベストエフォート方式と、ギャランティー方式では、ユーザーにとって環境がどのように変わるのか、考えてみましょう。

 帯域に関してベストエフォートとなる方式では、回線をいつでも複数の人数で共有するサービスが考えられます。携帯電話のパケット通信がそれにあたります。

 パケット通信では、他のユーザーがいなければ1人で1回線分の帯域を使い切ることができますが、あるユーザーが0.2回線分の帯域を要求した場合、もう1人のユーザーにとっては最大で0.8回線分の帯域を使うことになります。すなわち、“最大で1回線分の帯域が利用できる”が、場合によっては1回線分まるごとは使えない、というサービスがベストエフォート方式になります。

 一方、ギャランティー方式は、携帯電話では1人だけが回線を使ってデータをやりとりできる、回線交換方式などがそれにあたります。回線交換方式では、1回線は1ユーザーしか一度に使うことができないようになっています。つまり、回線が接続されている以上、帯域は必ず1ユーザーが1回線分を使える、つまり帯域が保証されたサービスである、というわけです。


ベストエフォートでよい場面

ドコモの「N902iX HIGH-SPEED」。HSDPA(FOMAハイスピード)もベストエフォートだ
 なお、一般的な傾向として、ベストエフォート型のサービスには、品質保証がされない代わりにコストが安く済み、逆にギャランティー型のサービスは品質保証する分コストがかさむ傾向があります。

 先述した例では、回線の占有について紹介しましたが、ある一定以上のユーザーが常に回線にアクセスしていることを前提とすると、パケット通信では1つの回線を多くのユーザーが同時使えますので、回線の利用効率は上がります。結果として1ユーザーあたりのコスト負担は小さくなるわけです。

 逆にギャランティー方式では、ベストエフォートと同程度の効率の良さを実現するのは難しいところです。1人だけでコストを負担する形になり、通信を行なっていない時間も回線を維持するコストは必要となりますので、さらにコストがかさんでしまうわけです。

 それでもギャランティー型のサービスが必要となる理由は、コストがあがっても必要、という利用シーンが存在するためです。たとえば、データ通信を使うサービスとして、WebブラウジングとVoIPを比べてみましょう。

 Webブラウジングでは、データ転送が速いほど、ページも速く表示できて快適ですが、多少表示が遅くなっても、ユーザーが待ってくれるので単純なベストエフォート型の通信を利用しても、大きな問題にはなりません。

 しかし、VoIPによる音声サービスであれば、通話中はある程度の回線速度が保たれなければ音声がプツリプツリと途切れてしまうことになります。そのため、音声をやり取りするために、十分な帯域がなければ、VoIPをサービスとして成り立たせるのは難しいということになるわけです。

 携帯電話のパケット通信サービスはベストエフォートであり、回線速度で表現する場合、NTTドコモのFOMAやボーダフォンの3Gは下り最大384kbpsとされています。また、auのCDMA 1X WINは下り最大2.4Mbpsです。

 ドコモのHSDPA(FOMAハイスピード)は、8月末に開始されたばかりのサービスで、下り最大3.6Mbpsとされていますが、本誌が行なったテストでは、通信速度は理論値よりも低い数値となりました。これは、基地局との距離によって通信速度が変わるなど、“ベストエフォートな通信方式だから”と言えるでしょう。



(大和 哲)
2006/09/12 12:10

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