■ 携帯電話、ノートパソコン、携帯音楽プレーヤーなどに搭載
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W42SAの数字キー部分には、静電パッド(スムースタッチ)が備わっている
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静電パッドとは、タッチパッド、タッチセンサの一種です。
タッチパッドとは、板状の形をしており、指やペンが板の上のどの位置にあるかなどの情報を知ることができるデバイスです。ノートパソコンや携帯情報機器などではポインティングデバイスとして内蔵するものもあります。
これらの機械のマイクロコンピュータなどが、タッチパッドに触れている指の位置を逐次確認して、指の動きをチェックすることで、その移動量や、ジェスチャーをチェックしています。たとえば同じような位置で、トントンと2回触れると、「ノックをするような動作をした」と検知して、それをユーザーインターフェイスにフィードバックするために使われているわけです。
静電パッドは、パッドに指などが触れたかどうかを、キャパシタンス、つまり、どのくらい電荷が蓄えられたかによって検知するタイプのタッチパッドです。このキャパシタンスのことを「静電容量」とも言うため、静電パッドという名前がついています。
ポインティングデバイスには、光センサーを使ってデバイス自体の移動量を調べる光学マウスや、スイッチを使ってごく小さなスティックがどの程度倒されているかによってユーザーの行動を検知するトラックポイントなどもパソコンでは使われています。
静電パッドは、これらに比べると、構成部品も少ないため小型化でき、薄く作れるというメリットがあります。また、故障を減らし信頼性を高めることができるのも特長の1つです。そのため、ノートパソコンや、携帯電話、最近では、携帯型音楽プレーヤーの操作用デバイスとしてもよく利用されています。
最近発表された携帯電話の中では、auの新機種「W42SA」で静電パッドが利用されています。W42SAでは、“スムースタッチ”という名前が付けられ、電話機の数字キーが大型のフラットタイルキーとなっており、この上で指を滑らせるように動かすことで、文字の手書き入力を行なったり、図形やジェスチャーで示すことでオートロックの解除を行なったりできるようになっています。
これは、数字キーの部分が静電パッドになっており、指がどの位置に触れたかを携帯電話が知り、入力した図形の形などを見ることができるようになっているのです。
■ 静電パッドの仕組み
静電パッドの仕組みですが、構造的には、平面上にX方向、Y方向のそれぞれに絶縁体をはさんで電極が線上に走っているような造りになっています。つまり、非常に多くのコンデンサが、格子状に並んでいるようなつくりになっています。
2つの電極はいずれも一定容量のコンデンサの役割を果たしているわけです。コンデンサは直流電気が流れると電気を貯めるようになっており、電極に指が近づくと、導体である指に影響されて電界の一部が指のほうに捻じ曲げられます。これによって、静電パッド内に作られているコンデンサでは、ほんのわずかですが、容量が変化します。どの程度の変化かと言えば、数pF(ピコファラド)です。ちなみに、1pFは、1ボルトかかっていたときの1アンペアの“10の12乗分の1”という電荷です。
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導体である指が電極に近づくと、その電極との間で静電誘導が発生し、静電容量が変化する
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この変化が格子状に配置されたどこで起こったか、X方向、Y方向それぞれに走っている電極間での電位から調べることで、指が触れているか触れていないか、あるいは、指がパッド上のどの位置を触っているのかを知ることができるのです。
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静電パッドは、内部にX方向、Y方向に導線が走り、コンデンサが格子状に並んでいるような構造になっている。この上に指が載るとコンデンサの容量に変化が生じるため、その変化量を調べることで、パッドのどこに指が触れているかを知ることができる
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(大和 哲)
2006/09/05 11:45
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