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ワンセグのデータ放送画面はBMLで記述されている
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「BML」とは、放送用マークアップ言語を意味する“Broadcast Markup Language”の略です。1999年に社団法人電波産業会(ARIB:Association of Radio Industries and Businesses)によって策定されました。
BMLは、デジタル放送のデータを記述するために使われる言語で、携帯電話でも受信できる「ワンセグ」のデータ放送用データは、この形式で書かれて放送局から送信されています。また、地上デジタル放送、CS110度衛星放送、BSデジタル放送にも使われ、2006年秋にサービス開始予定の地上デジタルラジオのデータ放送用データでも、やはり、このBMLが採用されることになっています。
データ放送とは、テレビやテレビ放送が受信できる機器において、インターネットのWebページのように、文字ベースでさまざまな情報を表示できる技術です。ワンセグ対応携帯電話には、このBMLブラウザが搭載されており、受信したBMLデータを表示できるようになっています。
ワンセグでは、BMLで記述されたデータが、周期的に繰り返し流されていて、携帯電話側では、このデータを内部のメモリに蓄えます。そして、実行に必要なデータが一式揃うと、画面を上下2分割するなどして、放送画面と、文字を中心としたデータ放送を同時に閲覧できるようになっているのです。
■ 仕様はXHTMLのサブセット、CSS、ECMAScript
BMLで書かれたデジタル放送データは、たとえば、このような形で配信されます。
<?xml version="1.0" encoding="Shift_JIS" ?>
<?bml bml-version="1.0" ?>
<bml>
<head>
<title>BMLデモ</title>
<style>
<![CDATA[ body{ resolution:320x240; used-key-list:basic data-button; } ]]>
</style>
<script>
<![CDATA[ ]]>
</script>
</head>
<body>
<p id="content" style="top:0px;left:0px;width:320px;height:180px;text-align:center;color-index:7;font-size:20px;">Hello World!</p>
</body>
</bml>
見ただけでわかる方もいるでしょうが、データはXML、それもその特性からWebページのデータを記述するために使われるXHTMLと似た作りになっています。
BMLの仕様は、XHTMLの仕様の一部を抜き取ったサブセットに、ページのレイアウトのためにCSSを、動きをつけたりユーザーの入力に応答したりといった簡易プログラム機能のためにECMAScriptが採用されています。
CSS(カスケーディングスタイルシート)は、HTMLやXMLの標準を定めているW3Cで標準化された、ページのレイアウトなどを決めることができるデータ記述方法で、パソコンのWebブラウザなどでもサポートされているものと同じです。
ECMAScriptは、ヨーロッパ・コンピュータ製造業者協会のECMAによって標準化されたスクリプト言語で、やはりこれもパソコン向けのWebページ記述に使われるJavaScriptとほぼ同様の内容となっています。
また、ECMAScriptで記述されたプログラムからBML文書の呼び出しに使用するインターフェイスには,DOM(Document Object Model)が採用されており、これも標準的な技術です。
基本的にBMLは、コンピュータの世界、特にWebの世界で標準とされている技術を素直に放送向けに取り入れたものだと考えるといいでしょう。ただし、データ放送では、文字コードが一般にインターネットに使われているコードとは違うので、BMLブラウザを使ってそのままインターネットのホームページを閲覧することはできません。
BMLは、XHTMLなどとは違い、放送用に作られた言語であり、そのため、放送の特性に合わせて拡張や機能制限が行なわれており、使用できるタグは、現在のところ15個に限定されています。その代わり、HTMLではパソコンと携帯電話では見え方が違いますが、BMLではどの機械を使っても見え方が異なることはないようになっています。
なお、地上デジタルテレビ放送では、携帯電話で使われるワンセグ以外にも、家庭に置かれる据え置き型のテレビや、車載機器など、さまざまな機械で受信されることになります。そのため、それぞれのサービス形態に対応したプロファイルとして現在、以下の3つが定められます。
- Aプロファイル:テレビ放送の固定受信機(家庭用テレビなど)用プロファイル。
- Bプロファイル:移動可能な受信機(カーナビなど)用プロファイル。ただし、現在規格化はされていない。
- Cプロファイル:携帯受信機(携帯電話機など)用プロファイル。ワンセグが使用している。
■ URL
ARIB 標準規格概要(放送分野)
http://www.arib.or.jp/tyosakenkyu/kikaku_hoso/hoso_std-b024.html
(大和 哲)
2006/08/08 11:04
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