iアプリとは
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iアプリ起動時には、Javaのロゴが表示される
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これまでのiモードでは、iモードコンテンツや、iメロディなどのコンテンツを利用することができましたが、503iシリーズからさらに新しい形のコンテンツを利用できるようになりました。それがiアプリです。
簡単に言うと、iアプリはiモード携帯電話用のプログラムです。アプリは、パソコンにソフトウエアをダウンロードして使うように、iモード携帯電話にダウンロードして使います。iモード携帯電話は超小型のインターネット接続のコンピュータとしてiアプリのプログラムを実行します。
■ iアプリの中身はJavaプログラム
iアプリはJavaで書かれています。Javaとは、本連載第14回目の「Javaとは」で述べたように、仮想計算機環境です。iモード対応携帯電話でも、この電話機の中にある「Java仮想計算機(バーチャルマシン)」が、プログラムであるiアプリを実行しています。
javaを利用していることのメリットとしては、iアプリでは「基本的にどのiモード携帯電話でも同じプログラムを使うことができる」ということが挙げられます。携帯電話に内蔵されているマイクロプロセッサや携帯電話のアーキテクチャ(コンピュータの設計)は機種ごとにバラバラです。もし、どんな端末でも同じプログラムを使えるようにしようと思うと、端末全機種のアーキテクチャを同じにしてしまわなければなりません。
Javaプログラムなら、Java仮想計算機環境さえ準備すれば、どんな環境でも同じプログラムを実行することができます。このため、iモード携帯電話では、どの機種でも同じアプリケーションを利用することができるのです(ただし、iモード携帯電話のJava環境の場合、機種ごとに微妙な仕様の違いがあるようで、同じプログラムでも完全に同じ動作になるとは限らないようです)。
なお、Java自体は一度プログラムを書けばどの機械でも使うことができる「Write once, Run anywhere」を特徴としていますが、iアプリは専用の「クラスライブラリ」を使用しているために、このライブラリを搭載している機械でしか使うことができません。今のところ、このようなライブラリを持っているのはiアプリ対応携帯電話とiアプリをパソコン上で利用するための「エミュレータソフト」だけですので、iアプリの実行もこれらの環境だけが実行できる、ということになります。ただし、逆に言えば、Java環境を用意して、iモード携帯電話以外でも、これらのクラスライブラリをサポートすればiアプリは動くことになりますので、将来的にはiアプリが動くPDAやiモード以外の携帯電話なども登場することでしょう。
また、Javaを利用しているため、セキュリティの面でもiアプリにはメリットがあります。
基本的にはiモードのJava環境は、インターネットや画面・サウンドなどへののアクセスを除いて、閉じた環境です。つまり、たとえば、iモード用のJava環境には電話帳などにアクセスする機能や、ショートメールなどを利用する機能は用意されていません。一見、これらは不便に見えますが、たとえば、悪意のあるプログラムを作ろうとしても、iモードの機能を悪用するのは困難である、というメリットがあります。
たとえば、現在パソコンで流行っているような、自分自身でメールをばらまいてインターネット上を増えていく「コンピュータウイルス」を作ろうとしても、ばらまく相手を電話帳から見つけることができないですし、メールを発信することもできないので、作ることができないのです。
過去にはiモードにもいくつかセキュリティホールが見つかっているようですが、基本的にはiアプリはセキュリティに関しては安全であると言っていいでしょう。
■ さまざまな用途があるiアプリ
iアプリは現在、公式サイトでメニューにして、50以上、アプリの本数にして200本以上が利用できます。また、一般のインターネットのサイト(勝手サイトと呼ばれることもあります)には、さらにそれ以上の本数のアプリが利用可能です。公式サイトの場合はiモード携帯電話の「iメニュー」→「メニューリスト」→「iアプリメニュー」から利用することができます。
また、一般のサイトの場合は、インターネットの上のさまざまなWebサイトに存在しますが、たとえばスパイシーソフトの「アプリ★ゲット」やギガフロップスの「■ギガアプリ■」などから探すのが簡単でしょう。
現在は、iアプリは、それまでのiモードコンテンツではできなかったものとして、特にアクションゲームなどのゲーム類が種類としては一番多くありますが、その他には、ベンチマークテスト(iモード携帯電話のコンピュータとしての性能を計測するプログラム)、アナログ時計、株価情報、地図表示などの便利なユーティリティが発表されています。
CMなどでも取り上げられていた「めざまし天気」のように、「朝、目覚まし代わりにアラームを鳴らす。その際、携帯電話がインターネット上のデータベースから今日の天気予報に合わせて鳴らすメロディを変える。たとえば雪だったら“ゆきやこんこ”が鳴る」などということもできます。iアプリは簡単に言えば「(セキュリティやスピード、容量の問題などさえ除けば)インターネットに接続したコンピュータでできることはほとんどができる」と言えます。むしろ、機材が携帯電話でパソコンなどより小さい分、さらに用途は広いと言えるかもしれません。
なお、公式iアプリメニューに関してはケータイWatch内にも、iアプリがスタートした2001年1月26日現在のiアプリの内容を紹介した「iアプリ対応サービス一覧」があります。1月26日の時点の公式メニュー内のiアプリを紹介しており、すべてを網羅できているわけではありませんが、それぞれのメニューの内容などに関してはそちらも参照してみてください。
ところで、また、iアプリはJavaでのプログラミングをすることができ、インターネット上にWeb(ホームページ)を持っている人ならば、誰でも自作して日本中のiアプリ対応携帯電話を持っている人に公開することができます。
具体的には、Java2ME CLDC開発環境とiアプリ用ライブラリを用意して、iモード用のJavaプログラムを作ります。最低限の開発環境は無料で手に入れることができますので、プログラミングに興味のある人は一度試してみるといいかもしれません。NTTドコモのWebサイト、「作ろうiモードコンテンツ」には、このiモードでのプログラミングの方法が説明されています。
また、「iモード対応Javaアプリケーション作成ツールおよび関連資料」のページから開発ツール、ユーティリティなども一式無料で手に入れることもできます。
・ iアプリ
http://503i.nttdocomo.co.jp/
・ All About i-mode
http://www.nttdocomo.co.jp/i/java.html
(大和 哲)
2001/03/28 00:00
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