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第36回:輻輳(ふくそう)とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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■ 輻輳とは
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輻輳は電話やインターネットに起こる「通信網の渋滞」。限界以上のにアクセスが集中してしまい、経路で処理がしきれなくなってしまう。携帯電話ではイベントや災害などの場合に起こることがある
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「輻輳」とは、通信などでアクセスが集中して起こってしまうために起こる現象で、主に電話やインターネットなどの通信関連の用語として使われます。
普通、電話やインターネットなどの通信では、端末と端末の間には、たとえば電話回線、その幹線、交換機(インターネットの場合には、ルーターやサーバー)などの経路があります。が、交換機やルーターなどには性能に限界がありますから、ある限界以上のにアクセスが集中してしまうと、処理しきれなくなってしまいます。これが輻輳です。電話やインターネットに起こる「通信網の渋滞」で流れが極端に悪くなっているところを想像するといいでしょう。
電話やインターネットの場合は、輻輳が起きると、交換機が回線の接続をさばききれなくなったり、インターネットを使うデータの送受信が遅れてしまったり、送受信中のデータが失われることもあります。つまり、電話の場合は電話をかけたくてもかけたり受けたりすることができなくなってしまったり、最悪の場合は最悪の場合はある地域の電話すべてがかかりにくくなってしまったり、などということも起こりうるわけです。
ただし一般的には、輻輳が起きても大きな障害にならないように、電話会社が状況に応じて発信を制限するなどしているのが普通です。たとえば、一般の加入電話の場合、ある特定の番号にアクセスが集中すると、そのかけた先の交換機にはそのすべてが負荷となってかかります。そのことを全国の全国の交換機に通知して、かける先の交換機ではなく、途中の経路でその番号へのアクセスを制限するなどして、ひとつの交換機が完全に破綻するのを防ぐなどの方法が取られるようです。
なお、この「交換機」の話は、一般的には携帯電話や海外からの経路にもあてはまります。このため、よくある話では、たとえばコンサートチケットの申し込みなどである番号への発呼が殺到してしまい、接続制限されているなどの場合も、一般の加入電話だけでなく、携帯電話からの接続なども制限されてかかりにくくされるのが普通です。
■ ケータイと輻輳
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輻輳時には携帯電話に、基地局から通話規制がかけられることがある。端末には「しばらくお待ちください」などの表示が出て電話がかけられなくなる
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携帯電話での輻輳、といえば、イベントや人込みなどでたくさんの人が一度に携帯電話を利用する場合などに起こりがちです。また、災害などの場合も一度に同じ地域で発信、着信が集中するために、やはり起こりやすいとされています。
携帯電話の場合も、特に通話が増える場所には移動中継車を出すなどしての回線を増やす対応が取られます。また、容量を越える通話が集中して交換機がダウンした場合、復旧まで長時間かかる可能性もあるため、あらかじめ携帯電話からの通話を抑える発信規制などの措置が取られることがあります。
最近の話では、2000年の大晦日午後11時30分過ぎから元旦午前0時過ぎにかけて、東京(年越しイベントで人出が多いエリア)などを中心に、いくつかの携帯電話事業者で発信着信の規制を行なったようです。このような場合、規制エリアにいる人たちの携帯電話は「しばらくお待ちください」の表示が出て電話がかけられないことがあります。
また、輻輳による問題は通話だけでなく、データ通信にも影響を及ぼします。
たとえば、パケット通信・データ通信サービスや携帯電話のインターネット接続サービスでつながりにくい、あるいはメールが読めない、メールの遅延が発生する、などの現象の原因が輻輳であった、という事例もあります。
■ 輻輳を防ぐには
一般的には、輻輳は電話の発信、着信、あるいはデータ通信などのアクセスの集中で、途中経路にデータ量(よく「トラフィック」などといいます)が、ある箇所の流れられる限界を超えて届いてしまうことによって起こります。ですので、根本的には、解決策は事業者が設備を増強すること、ということになります。
ただ、イベントのときなどに電話がかからない、と言っても事業者がすぐに設備を増強できるわけではありません。そんなときに輻輳から早く通信網が立ち直るためにユーザーができることもあります。それは「かからないからといって何度も電話をかけなおさない」ことです。
よくやってしまいがちですが、輻輳は、電話がつながらないために相手につながるまで繰り返し電話をかけ直す、というようなことをユーザーがやってしまうと、輻輳している回線へのアクセスがどんどん増えてしまうため、かえって輻輳が増大してしまうのです。
辛抱のいることではありますが、輻輳が予想される場合は、すぐにではなく、しばらくたってからかけなおす、あるいは時間をずらして電話をかける(あるいはメールする、インターネットにアクセスする)ように心がけるべきでしょう。
(大和 哲)
2001/03/13 00:00
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