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第34回:SMAF
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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■ SMAF(Synthetic music Mobile Application Format)とは
SMAFは、ヤマハが提唱している、携帯端末(携帯電話)用のマルチメディアコンテンツのデータフォーマットです。音楽演奏用のデータフォーマットや画面表示用のデータフォーマットがあります。
特にこのSMAFは音楽データ、それも携帯電話の着信メロディデータのフォーマットとして一般には知られています。たとえば、16和音のメロディ再生に対応した最新のJ-スカイ端末やEZweb端末で採用されている着信メロディのフォーマットにこのSMAFに準拠したものがあります。
パソコンのデータにした場合の拡張子は「mmf」となるのが普通で、ここからSMAF準拠データのことを「mmfデータ」と呼ぶこともあります。なお、同じヤマハの提唱していたデータフォーマットにMMF(Mobile Multimedia Format)がありますが、SMAFはこれを引き継いだ形になっています。
■ SMAFの特徴
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J-フォンの「J-SH05」。J-フォンでは昨年9月以後発売された16和音着メロ端末では、ヤマハの音源を統一して採用。いずれもSMAFに対応する
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SMAFフォーマットデータは、スタンダードMIDIファイル(SMF)などと同様に、音の高低や長さ、どんな画面を表示するのかが決められたデータです。ひとつひとつの「トラック」と呼ばれる音色や音の長さ、高さなどが書かれたデジタル的な楽譜(サウンドトラック・PCM オーディオトラック)に、いつどんな画像や文字を出すかを指定したコンテのようなものが入っていると思えば、だいたいあっているでしょう。この点で、既に演奏された音を単純にデジタルデータ化されたPCMデータなどとは少し異なります。ただし、PCMデータに関しては楽譜の一部として、「PCM オーディオ トラック」として、楽譜に、音のデータを持つこと自体はSMAFデータでも可能になっています。
このSMAFはスタンダードMIDIファイルなどと構造的には似ていますが。目的が携帯電話向けであるため、他の音楽データファイルと比較して、データを小さくなるような工夫がされています。たとえば、コマンド長さはスタンダードMIDIの場合3バイトですが、SMAFでは2バイトで表現できるようになっています。このような工夫のおかげでデータサイズ的には、通常のMIDIファイル(SMF)の半分から2/3程度のサイズに容量が抑えられているのです。
現在のSMAFに対応データでは、音楽データだけではなく画像や文字の表示などもすることも可能です。たとえば、J-PHONEのインターネット情報サービス「J-スカイ」で提供されている「ヤマハ ララカラ」というサービスでは、16音同時発音と同時に歌詞などのテキストやカラー画像も表示する“カラオケ対応”着信メロディが配信されています。また、同じくJ-PHONEで今後発売される予定のJavaプラットフォーム『JBlend』搭載次世代携帯端末では、「JBlend Music SDK」を利用して、このSMAF形式データをJavaアプリケーションから、ネットワーク経由でコンテンツをやりとりできるようになる予定とされています。
なお、SMAFは現在、提唱者であるヤマハ製音源LSIを搭載した携帯電話でしか使われていませんが、それ自体はオープンな規格です。発想的にはスタンダードMIDIファイルに近く、たとえば、今後他の音源などがsmafに対応した場合、その機種限定の機能を使いたいとき場合はエクスクルーシブでそれを利用できるような仕様になっています。
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フォーマットデータ(mmfファイル)のイメージはSMF(スタンダードMIDIファイル)などと同様、電子的な楽譜だ。smafではさらにマスターサウンドトラックの進行に合わせて画像や文字などの表示もできる
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■ SMAFデータの作り方、使い方
このSMAFデータの作り方ですが、現在、一般に公開されているSMAFの仕様は着信メロディなどで使われている「SMAF演奏系」のみになっている(SMAF表示系については近日公開予定)ために、ユーザーが実際に作ることのできるSMAFデータは音楽(ADPCM再生も含む)データのみ、ということになっています。
実際に、SMAFに対応した着信メロディデータを作るには、ヤマハが公開している制作ツールなどのソフトを利用するのが簡単でしょう。SMAF Office のサイトでは、4音、16和音の携帯電話着信メロディをパソコン上で作成可能な制作ツール(コンバータアプリケーション)を公開してされていますし、また、既にヤマハ以外からリリースされているソフトでもこのSMAF形式のデータを作ることのできるツール、MIDIやwav形式ファイルなどからSMAFに変換するソフトも存在しています。自分でツールから作りたい場合は、SMAF演奏系の仕様がPDF形式でSMAF Officeサイトからダウンロードできますので、これに沿ったデータを作るツールを作成します。
ヤマハがウェブサイトで提供しているコンバータアプリケーションでは、Webサイト上に掲載したり、メールに添付したりすることで、このSMAF形式のデータに対応している携帯電話に取り込むことができるようになっています。
SMAF準拠の16音着信メロディデータは、J-SKY端末のJ-D03 J-PE03 J-SH04 J-SH05 J-N03などで聴くことができます。
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ヤマハが提供しているコンバーターアプリケーション。SMF(スタンダードMIDI)から16和音SMAFへのファイル変換ができる
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※筆者注:なお、コンピュータ関係の用語には、同じスペルでサービス管理アクセス機能を意味するSMAF(service management access function)という言葉もあります。
■ URL
SMAF Officialサイト
http://smaf.yamaha.co.jp/
(大和 哲)
2001/02/27 00:00
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