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第27回:SDメモリーカードとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


SDメモリーカードとは

SDメモリーカードスロットを装備したDDIポケットのfeel H"端末「KX-HS100(九州松下製)」。SDカードスロット装備で、ICレコーダーとしても実用になるのがビジネスマンには魅力
 12月26日に発売された九州松下電器製のfeel H"端末「KX-HS100」で使われているメモリカードが、このSDメモリーカードです。このSDメモリーカードを携帯電話の中に入れると、メールやダウンロードしたメロディ、画像などをSDカードもしくはマルチメディアカードに保存することができたり、また電話についているICレコーダー機能で約1時間の音声を録音(16MBのSDカードの場合)できるようになっています。また、PDAではカシオのCASSIOPEIA E-500にもこのSDカードスロットがあります。

 このSDメモリーカードは松下電器産業株式会社と、米SanDisk、株式会社東芝の3社が共同開発した、セキュア機能を持つ小型のメモリカード規格です。昨年(2000年)に販売がスタートしました。

 このカードは、他のメモリカードに比べてとても小さく24×32×2.1mm(縦×横×厚さ)しかありません。ほぼ切手大の大きさ、メモリースティックの小型版であるメモリースティックDUOとほぼ同じ程度。そして、SDが発売される前に、既に世に出ていたSanDisk開発のMMC(MultiMediaCard)と同じ縦横のサイズになっています。

 このカードは強力な著作権保護機能を装備していることから、携帯オーディプレーヤーや音楽機能を搭載した携帯電話など、小型で、音楽コンテンツを利用する、著作権保護が必要な機器に使われるカードです。もちろん、これを読み書きするPCやPC用アダプタ、家電製品なども存在します。





セキュア(安全)なメモリカード

パナソニックブランドのSDメモリーカード。標準価格は32MBが1万3500円、64MBが2万2000円
 さて、SDメモリーカードは「セキュア」という名前がついているように、MMCをよりセキュアなものにするために、特に著作権保護を考えた仕組みを備えさせたカードです。データの著作権保護を目的とする暗号方式セキュリティ機能がカードに組み込まれています。

 このSDメモリーカードはこのセキュア機能でMGメモリースティックなどと同様、音楽配信システムで要求されるセキュリティレベルであるSDMI準拠を達成しています。セキュア機構には、IBM、Intel、松下、東芝の4社(4CエンティティLLC)が提唱するCPRM(Content Protection for Recordable Media)を採用しています。

 たとえば、音楽データをダウンロードするととしましょう。まず、その経路上で、その経路毎に別の暗号がかけられます。それからさらにSDメモリーカードに記録される時にSDメモリーカードの暗号(CPRM)がかけられます。

 このようにしてメモリカードに記録された著作権データを不正にコピーしたり利用したりされないようにしているのです。

 またこのカードは、安全性という意味では、静電気対策も大幅に強化されたとても丈夫なカードでもあります。インターフェイスのピンの部分では接触放電が±10KV、その他の部分では空気中の放電が±15KVまで耐えられる規格となっています。





SDメモリーカードのしくみ

 このSDメモリーカードはメモリースティックなどと同様、機器とメモリカード間のデータ転送にシリアルインターフェイスを使用しています。当然、SDメモリーカード内部にも端子からメモリへのデータの橋渡しをするコントローラーが存在し、これがカード内のフラッシュメモリの読み書きを制御しています。

 また、データ転送は最大2MB/秒の速度で行なうことができるようになっています。なお、これに関しては将来、10MB/秒への引き上げが予定されています。

 現在、32MBと64MB容量のSDメモリーカードが発売されていますが、フラッシュメモリの高密度化とダイサイズの精密化により、2001年には128MBと256MBが発売される予定になっています。

 またSDメモリーカードは、メモリカード以外の用途にも使えるように、インターフェイスの拡張フォーマットが策定されています。実際にはまだメモリーカード製品しか発売されていませんが、SD I/O Cardとして、インターフェイスカードや通信カードなどへの応用も予定されています。実際にはたとえば、東芝のホームページを見ると「BlueTooth対応SDメモリーカード」から「SDカード歩数計」のような楽しい製品までいろいろ企画されているようです。





MMCと互換性のあるSDメモリーカード

 実は、このSDメモリーカードは、MMCとの互換性を持ったカードです。

 SDメモリーカード裏面には9つの端子があるのですが、このうち7つはMMCの端子と位置、大きさ、電気信号とも同じになっていて、SDメモリーカードが読み書きできるカードリーダー・ライターはMMCの読み書きも同じようにできます。

 ただし、MMCのセキュリティ機能を強化したセキュアMMC(同じくFeel H"端末の三洋電機製RZ-90に使われている)とセキュリティ機能の互換性はありません。そのため、「KX-HS100」と「RZ-90」は同じfeel H"端末ですが、「KX-HS100」の方は、今のところセキュアMMCにしか対応していないコンテンツダウンロードサービス「Sound Market」には対応していません。


 MMCとSDメモリーカードには互換性があり、SDメモリーカードリーダーではMMCとSDメモリーカードのどちらも読み書きできる。ただし、セキュリティの問題があるので使えない用途も存在するので注意。たとえば、セキュリティ機能付きMMCを使っているケータイdeミュージックカードに入ったコンテンツをSDメモリーカードスロットのある機械に挿入しても音楽を聴くことはできない。なお、SDメモリーカードは厚みがあるのでMMCのリーダーライダーには入らない




URL
  SD Card Association(英文)
  http://www.sdcard.org/
  東芝の「TOSHIBA Media Card」ページ
  http://www.toshiba.co.jp/mediacd/
  松下のSDカード情報ページ
  http://www.panasonic.co.jp/sd/


(大和 哲)
2001/01/10 00:00

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