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第24回:CF(コンパクトフラッシュ)カードとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


CF(コンパクトフラッシュ)カード

シグマリオンの側面。CFカードスロット(Type II対応)を1基装備し、CFメモリカードやP-in Comp@ctなどが利用できる
 デジタルカメラのIXY Digitalや、あるいはPDAではシャープのザウルス、NTTドコモのシグマリオンやGFORTなどには「CFカードスロット」というスロットがあり、ここに「CFカード」というタイプのメモリカードなどを挿入して使うことができます。このCFカードは、大きさが43×36mm、厚みがType Iというものの場合で3.3mmと、パソコン用のPCカードなどと比べて一回り小さいカード状の周辺機器です。

 このCFカードスロットは主に、その名前の通り「コンパクトフラッシュメモリ」が組みこまれた記録メディアの挿入口として使われますが、機種によっては、他にもP-in Comp@ctのようなPHSカード、あるいはネットワークカードやモデムカードなどの周辺機器も使うことができ便利です。


コンパクトフラッシュメモリとは

CFカードの例。左は64MB容量のコンパクトフラッシュメモリカード。右はCFサイズの56kbps対応アナログモデムカードだ
 CF(コンパクトフラッシュ)メモリカードとは、その名前のとおり、フラッシュメモリが内蔵されたCFカードのことです。

 フラッシュメモリとはROMと呼ばれる読み出し用メモリの一種で、電気的にデータの消去や書き込みができるタイプのものです。電源が供給されていなくても記録が消されることがないので、このコンパクトフラッシュに書きこんでおけば、PDAやデジタルカメラなどで記録したデータを取り外したり、他に持っていくこともできるわけです。そのため、PDAやデジタルカメラのデータストレージとしてよく使われています。

 フラッシュメモリは、その性質上、消去や書き込み回数に制限がありますが、ハードディスクなどに比べて振動にも強く、保存性に優れているのが特長です。コンパクトフラッシュだけでなく、モバイル機器としては、携帯電話やPHSのプログラム記憶用などにも使われているメモリでもあります。

 また、フラッシュメモリは他の、たとえばEEPROMなどと比較すると、セル (メモリ機能を持つ最小単位)の構造がEEPROMよりも単純で、したがって集積度を高め、記憶容量を大きくしやすいという利点があります。NAND型セル・フラッシュメモリ(大容量で消費電力が小さい。一括ブロック単位で処理するので、大きなファイルでのアクセスで比較的アクセスが高速になる)、AND型セル・フラッシュメモリ(アクセス速度が速い。特にランダムアクセスに強く、比較的小さい容量のファイルでアクセスが高速)、NOR型セル・フラッシュメモリ(フラッシュメモリとしては一般的なタイプ。ランダムブロック処理のためランダムアクセスに強い。比較的小さなファイルのアクセスが高速)などいくつかのタイプがあり、どのタイプのフラッシュメモリを利用しているかによって、コンパクトフラッシュのひとつひとつの製品の性質も違ってきます。

 デジタルカメラなどで使うと、たとえば、書きこみ速度が速いほうが、次の撮影までの待たされないなどの効果があるわけです(ただし、カメラにバッファメモリ搭載することで、フラッシュメモリに書き込み中でもユーザーを待たせないようにしているデジカメも多くあります)。また、消費電力の少ないタイプのフラッシュメモリを採用したCFメモリカードのを使うほうが、当然、デジカメやPDAの電池の持ちがよくなります。

 メーカーによっては、スペックにこのセルタイプが書かれている場合もありますし、あるいはたとえば、いくつかのセルタイプのコンパクトフラッシュをそろえているメーカーもあります。気になる場合は、スペック表などでセルタイプを確認してから買ってみるようにするといいでしょう。

 ちなみに、CFメモリカードの同様の用途によく使われるメモリカードに「スマートメディア」というものがありますが、こちらで利用されているフラッシュメモリカードは全てがNAND型のフラッシュメモリを採用しています。


CFカードの特長

 このCFカードは、もともとはアメリカのSanDisk Corporation,という会社が1994年に開発したものです。現在では、SanDisk、Apple、Hewlett-Packard、NECなどの業界各社が参加する「CompactFlash Association」という標準化団体が設立されていて、そこで規格が決められています。

 このカードの特長は仕組み的にとてもATAフラッシュカードと似ている、ということです。そのため、多くのCFカードでは、簡単な(基本的にはCFカードのコネクタとPCカードのコネクタの配線をそれぞれの正しい位置に配線しなおしてあるだけで回路などは特にない)変換アダプタを使用することでPCカードスロットをもったノートPCなどでもそのまま読み書きすることができるのです。

 仕組み的には、カードバスはATAインターフェイスになっていて、メモリカード内にコントローラがあり、このコントローラがカード内のメモリのデータ書きこみなどの作業を行なっています。この点ではスマートメディアが基本的に、カードリーダーライター側にフラッシュメモリを操作するためのにコントローラーを搭載しているのとは少し異なります。

 そのため、CFカードはスマートメディアと違って厚みがあり、また、カードの価格にコントローラの値段も含まなくてはならないため、コスト的には高くつきがちです(ただし、最近のスマートメディアでは大量のメモリを利用するためのコントローラがカード内に入っているものもありますし、また大容量のものの市価はコンパクトフラッシュの方が安いこともあります)。

 その半面、カード内にコントローラがあり、厚みもあることは、CFカードのメリットにもなっています。

 たとえば、CFカードでは、カード内の面積さえ許せば複数のメモリチップを載せることも難しくありませんから、容量を大きくしやすい、というメリットがあります。

 あるいは、カード内にコントローラがあるということは、そこでデータを変換して他の装置を動かしたりそこに記録することも容易になります。つまり、CFカードバス上にI/O用としてデータを出して、あとはカード側のコントローラにその信号を解釈させて、PHSへの信号やイーサーネットへの接続やハードディスクの制御をさせれば、フラッシュメモリだけではなく、他のI/Oカードを作ることもできる、というわけです。

 CFカードでは、1998年に作られた「CF+」というリビジョンの規格で、180MBまでのフラッシュメモリだけではなく、ハードディスクや、イーサネット、シリアル、FAXモデム、ポケベル、バーコードリーダーといった入出力インタフェース(I/O)が使えるようになりました。そして、CFカードには先に挙げたようなPHSカードやあるいはLANカードというようなものも登場してきている、というわけです。


 CFメモリカードでは、カード側にフラッシュメモリコントローラが搭載されており、カードバスのメモリ命令を受け取ってフラッシュメモリの読み書きを行なう。モデムなどのインタフェースカードの場合は、I/O命令を受けたカード上のコントローラが他の機器などにデータを転送している

CFカードの厚みに注意

 このCFカードとスロットには「CF Type I」と呼ばれるものと、「CF Type II」と呼ばれるものがあります。この二つはカードの厚みが違い、Type Iは3.3mmですが、Type IIは5mmとType Iと比較して少し厚くなっています。

 実際の製品では、たとえばP-in comp@ctなどは厚いほうのTypeIIのカードです。

 当然ですが、Type IIのカードはType Iのスロットに入れることはできませんので注意してください。あるいはCFカードの中に超小型のハードディスクを内蔵した、IBMのマイクロドライブなどはI/Oを使いますので、CF + Type IIカードということになります。

 なお、逆にCF + Type IIのスロットはType Iのカードとの互換があり、Type I、Type IIどちらのCFカードも使うことができます(ただし、実際に使用する際には電力などの関係もあるので、必ず、使用したいカードが使用したい機械に対応しているかどうか調べてから購入・使用するようにしたほうがいいでしょう)。




URL
  CompactFlash Association(英文)
  http://www.compactflash.org/


(大和 哲)
2000/12/12 00:00

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