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第17回:位置情報サービスとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


位置情報サービスとは

 最近、携帯電話やPHSで「位置情報サービス」が行なわれています。これは、PHSや携帯電話を持った人のいる場所に応じた情報を提供するサービスです。具体的には、J-フォンの「Jスカイステーション」、auの「EZナビゲーション」、H"の「H" LINK・コンテンツサービス」、NTTドコモの「いまどこサービス」などが、位置情報を使ったサービスです。

 たとえば、J-フォンの「Jスカイステーション」対応端末では、「ステーション」という基地局の受け持ち範囲(セル)単位で情報を配信するサービスが受けられます。これは最も短い間隔では6時間単位で、端末のある場所の天気予報やイベント案内などを配信するサービスです。また、Jスカイステーションサービスの掲示板機能で位置情報設定をオンにすると、ユーザーの位置情報が掲示板上に常に表示されるようになり、特定のメンバーと掲示板上でお互いの位置情報を知ることができるようになります。待ち合わせ時などの位置確認として便利な機能です。


位置情報を使うと、端末のある場所によって違う情報を受け取るようなサービスを提供できる

 あるいは、EZナビゲーション・H"LINKの「駅すぱあと」では、パソコンソフトなどの駅すぱあとなどにある「どこかからどこかの駅へ行くには何線を使ってどこで乗り換えれば最短か」を調べる機能に加えて、「もよりの駅から目的地までのルート」を検索する機能があります。この、もより駅を検索するのに位置情報を利用しています。


H"LINKやEZナビゲーションの「駅すぱあと」には最寄駅の検索機能がある。端末からある範囲内にある駅をいくつかピックアップしてくれる便利な機能だ

 また、携帯端末上で受けるサービスだけでなく、ほかから端末のある場所に応じたサービスを受けるものもあります。NTTドコモPHSの「いまどこサービス」がそうで、これを使うと、端末のおよその位置を自宅のFAXなどから、周辺地図と一緒に受け取ることができます。


どうして位置がわかるのか?

 このようにいろいろな形で利用されている位置情報を使ったサービスですが、どうして携帯電話の居場所がわかるのでしょうか。端末の位置を知る方法にはいくつかあるのですが、携帯電話、PHSを使った位置情報の場合は、位置登録の仕組みを利用するのが一番基本的なものになっています。

 携帯電話・PHSに電話がかかってくるときのことを考えてみてください。基地局は「着信制御チャネル」という無線のチャネルで「今、何番の番号を呼び出しているよ」という情報を流します。各携帯電話はこのチャネルをいつも見ていて、たとえば、このチャネル上に「090-2xxx-xxxx」という情報が流れていたら、「090-2xx-xxxx」という番号の電話がそれをキャッチして、着信するわけです。が、携帯電話は日本全国、いろいろな場所へ移動します。たとえば、ある携帯電話は東京都新宿区にいるかもしれませんし、北海道の札幌にいるかもしれません。1台1台の携帯電話を呼び出すのに、いちいち「090-2xxx-xxxxはいませんか?」と日本全国の基地局の着信チャネル上に着信番号の情報を流すと大変ですし、また、あっというまにどの基地局も着信情報であふれてしまいますね。

 そんなことがないように、携帯電話機はあらかじめ基地局に「自分はここにいるよ」と自分の居場所を携帯電話の交換機に自分の位置を知らせるようにしています。これが「位置情報を登録する」ということなのです。実際には、着信制御チャネルに、着信情報のほかに、この基地局がどこにあるのかを示す情報が流れます。その後、以前使用した基地局と違っていたり、あるいはさきほどより明らかに信号が弱くなった(つまり、遠くなった)りしていた場合、自分が新しい場所にいると判断して、「090-2xxx-xxxxはここにいる」と基地局に伝えます。それが、携帯電話の交換機のデータベースに登録されて、携帯電話の呼び出しの際に使われるわけですね。

 つまり、携帯電話の電源が入っている、ということはほぼ、自分がどこにいるかを基地局に知らせている、というのと同じで、携帯電話事業者にはその端末がどこにいるのかは基地局のエリア単位でほぼわかっている、ということでもあります。


携帯電話は常に自分の居場所を基地局を通じて登録している。これにより、端末がどこにいるのかが交換機などには常にわかるようになっている

 ちなみに、この単位は都会ほど面積的に小さく、郊外にいくほど大きくなる傾向があるようです。また、PHSは携帯電話よりも基地局が細かく設置されていますので、端末の位置を高精度で検出できる傾向にあります。

 また、実際の位置情報サービスでは、この「基地局のエリア」を利用するだけではなく、さらに別の方法で電話機の位置をさらに詳細に調べている場合もあります。たとえば、PHSやCDMA方式の携帯電話では、対象端末周辺の複数の基地局からの電波の強さなどの情報を使ってさらに細かく端末の位置を特定することができる場合もあります。

 ちなみに、DDIポケットのPHSでは、複数の基地局を端末が使うことができる場合、平均誤差68mという精度で位置を知ることができるそうです。


さらに高度な位置情報、もっと便利な使い方へ

 また、携帯電話・PHS単体ではなく、もっと高度な位置情報の検出方法や、利用法の実験や位置情報の規格統一に向けて作業も進められています。

 たとえば、NTTドコモが中心となって100以上の会社が参加する「DLPコンソーシアム」では、携帯端末での位置情報の統一プラットフォームが作られつつあります。この方式では、GPS端末を使って数メートルの誤差で位置を認識し、携帯電話などを使ってパーソナルナビゲーションなどのより便利なサービスを受けられるようになる予定です。

 GPSとは、高度約2万kmの上空に配置された複数の人工衛星から送られてくる電波で軌道と時刻の情報を取り出し、これらのずれから、現在の正確な位置を割り出すシステムです。

 このDLPサービスに関しては、たとえば、2000年11月からセイコーエプソンが長野県松本市と長崎県長崎市でモニターを募って、実験的なサービスが行われる予定ですので、興味のあるひとはモニターに申し込みしてみるといいでしょう。また、DLPの商用でのサービス開始は2001年4月から予定されています。




URL
  旅行者向け位置情報提供サービス実験の実施について
  http://www.i-point.ne.jp/pc/travel/
  モバイルGPS位置通知システム(仮称)」の公開実験の実施について
  http://www.nttdocomo-h.co.jp/news/newss2/mb_gps.html


(大和 哲)
2000/10/24 00:00

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