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第8回:Compact HTMLとは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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■ Compact HTMLとは
NTTドコモの、携帯電話でインターネット上の情報を見られる「iモード」というサービスがあります。既にiモード用のホームページを作ったことがある方はご存知かもしれませんが、このiモード用のページでは「iモード用HTML」という言語が使われていて、たとえばホームページ編集ソフトなどでページデータを作ると、このiモード用HTML形式のデータとしてパソコンのハードディスクにページのデータが書かれますね。
この「iモード用HTML」という形式は、「Compact HTML」という形式を元に作られています。というか、ほぼ完全にそっくりと言ってもさしつかえないくらい、そのまま「Compact HTML」の規格が使われています。ですので、厳密には、Compact HTMLはW3Cという世界のインターネットの標準規格を作る組織に(正確にはその会員組織であるACCESSなど6社)により提案された規格そのもの、iモード用HTMLはNTTドコモの規格という違いはあるのですが、おおざっぱには以下のような理解で問題ないでしょう。
「iモード用のページデータがCompact HTML(のそっくりさん)のデータ」
■ そもそもHTMLとは何だ
さて、この「Compact HTML」とは何なのか、なのですが、それを説明するために、まず、そもそも「HTMLとは何か」という説明しましょう。
インターネットはいろいろな使われ方をしていますが、一番メジャーな使い方は、やはりWWW(ワールドワイドウェブ)です。最近はいわゆる「インターネット」の「ホームページ」と言ってしまったほうが通りがいいかもしれませんが。このWWWの大きな特徴は次の3つを使っていることです。
・URIs(URL・いわゆるアドレス)
・HTTPプロトコル
・HTML
たとえば、読者の方は、このページをブラウザで見られていると思いますが、このブラウザを思い浮かべてください。インターネット上には、サーバー(サービスを提供するコンピュータ)が非常にたくさんあります。そのたくさんあるうちのどのサーバーのどこからサービスを受けるのかを決めます。たとえばインプレスのケータイwatchサーバーからサービスを受けたいときには「http://k-tai.impress.co.jp/」と書きます。これがURIです(一般にはURLやアドレス、と言ったほうが通りがいいですね)。
それから、HTTPというのは、簡単にいうと、サーバーからあなたの使っているPCまでのデータを運ぶ方法です。そして、HTMLというのはホームページを作る、データの形式のことです。
ほとんどすべてのホームページデータは、この「HTML」という形式でかかれています。このケータイwatchにしてもそうです。InternetExplorerをお使いの方であれば「表示」-「ソース」メニューを選ぶと、新しく開いたウィンドウに以下のようなテキストが表示されるはずです。
<HTML>
<HEAD><TITLE>ケータイWatch ケータイ用語の基礎知識</TITLE>
<META content="text/html; charset=Shift_JIS" http-equiv=Content-Type>
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これがケータイWatchの記事を作っているHTMLデータなのです。
さて、このHTMLがWWWに使われるのには理由があります。それは、WWWというのは、ワールドワイドウェブ、つまり世界中をくもの巣のようにいろいろなページとページがつながっていて、そこをクリックひとつで次のページに飛ぶことができるようになっているわけですが、この「ハイパーリンク」という仕組みを簡単に作ることができるように作られたデータ形式がこの「HTML」だからなのです。
■ Compact HTMLの特徴
Compact HTMLの特徴は、簡単に言うならば、「小型情報機器用に非常に小さくまとめられたHTML」です。
「URI」、「HTTP」、「HTML」の3つの仕組みを使えるようにすればWWW(ホームページ)を見られる機械が作れるわけですが、この仕組みをパソコンのような大きくて能力の大きな機械で作るのは比較的簡単にできても、携帯電話のように小さな機械ではやっかいな問題いくつかあります。特に問題となるのは「HTML」の部分です。というのも、現在よく使われているHTMLは主にパソコン上のブラウザで表示させたときに綺麗になるように様々な要素が設定されてしまっているので、そのまま画面の小さく、マウスもない携帯電話ではとてもみずらく、操作しづらいページになってしまうからなのです。そこで、提案されたのが、画面の小さい、また操作系もパソコンとは違う携帯端末に合わせてHTMLのいくつかの部分を抜粋して作られた「Compact HTML」なのです。
このCompact HTMLの特徴はいくつかあります。まず、このCompact HTMLが「HTMLそのものである」ということです。これはEZWebなどで採用されているWAP規格が「HDML」というHTMLとは根本的に違う言語を採用したり、あるいはH"の「オープンネットコンテンツ」が基本的にテキストのみであったりするのとは、大きく違います。
このCompact HTMLは(策定当時に現役の規格だった)HTML規格のHTML2.0、HTML3.2、HTML4.0から基本的な文法はそのままで、タグなどに携帯機器に使いやすそうな部分を抜粋して抜き出して作られました。そのため、基本的な文法はほぼHTMLそのものになっています。
iモードでは、iモード対応のソフト、たとえば、ホームページ作成ソフトなどがすぐ、数多く発売されるようになりましたが、それも、iモード用HTMLの元となったCompact HTMLの文法などがHTMLそのものですので、ソフトハウスも新たに作り直さなくてはならない部分が小さかった、などの利点が作用したのでしょう。
また、もうひとつの特徴は「CompactHTMLは携帯機器で便利に使えるように配慮されている」ということです。
たとえば、HTML4.0からCompact HTMLに受け継がれた機能に「アクセスキー」というものがあります(実際には、このアクセスキーはCompact HTMLでは仕様の述べた文書の中では「そのように実装するといいでしょう」とされているだけなのですが、iモード用HTMLで使うことができます)。
これはどのように使えるかというと、たとえば、ホームページでいくつも張られたリンクの中から、そのうちひとつを選ばなければならないような状況を考えてください。PCにはマウスがありますので、たくさんあるもののなかからひとつを指して選ぶということが簡単にできますが、携帯電話にはそのようなものはありませんので操作が面倒です。そこで、あるハイパーリンクに「1」というキーを割り当てておいて、このリンクを含むページデータをブラウザが表示しているときに「1」のキーが押されたら、そのリンクに飛ぶようにできると便利ですね。これを実現するのが「アクセスキー」なのです。ちなみに、HTML4.0に対応しているはずのPC用ブラウザでも、まだこの機能が使えないブラウザも数多く見受けられます。
また、あるいは「リンク」のとび先をURLだけでなく、「電話番号」を指定して、リンクを選ぶと自動的に電話をかける、などということもiモードではできるようになっています。
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Webページ編集ソフトには、iモード用HTMLも編集できるものがいくつかある。このようなソフトが存在することも、iモード用HTMLが従来のHTMLと基本構造が変わっていない、ということが大きい。(画面はデービーソフト「iホタル・パーソナル」)
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■ Compact HTMLはどのように使われているか
最初に述べたように、iモードで採用されているiモード用HTMLはほぼCompact HTMLに完全互換です。iモードというサービスは携帯電話でインターネット上のいろいろな情報をアクセスできるサービスですが、WWWの仕組みをそのまま使える「Compact HTML」と「HTTP」「URL」という仕組みは都合がよかったのでしょう。
iモード電話機以外では、たとえば、ツーカーセルラー東京のメール端末 「Cara」もCompact HTML対応ブラウザを搭載しています。つまり、このCaraでもiモード用ページを見ることができるわけです。ちなみに、このCaraで使われているのはアクセスという会社の開発した「CompactNetFront」が採用されています。iモード携帯電話の電話機組み込みブラウザにもNetFrontを元にしたブラウザが多く採用されているそうです。
■ 次回予告
本連載では、毎週ひとつずつ、移動体通信に関する用語を解説していきます。次週お送りする第9回では「WAP」を解説します。
■ URL
ホタルパーソナルシリーズ製品情報
http://www.db-soft.co.jp/products/hot_per/index.htm
iホタル2001製品情報
http://www.db-soft.co.jp/products/i_h2001/index.htm
Compact HTML仕様(W3C)
http://www.w3.org/TR/1998/NOTE-compactHTML-19980209
(大和 哲)
2000/08/09 00:00
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