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第263回:FMC とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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「FMC」は、“固定通信と携帯電話の融合”を意味する「Fixed-Mobile Convergence」の略で、その名前の通り、IP電話やブロードバンドインターネットといった固定電話回線を使った通信と携帯電話を融合させたサービスということになります。
家庭の固定電話は固定電話、携帯電話は携帯電話と住み分けていたこれまでの電話のありかたを変える可能性があるため、固定電話事業者を中心に、携帯電話事業者に、メーカー、サービスプロバイダなども注目している概念・サービスです。
このような概念が語られるようになった背景には、世界の固定電話会社が示している携帯電話事業への積極的な進出姿勢が挙げられるでしょう。世界的に、固定電話を契約せず携帯電話のみを連絡手段に使うという「固定電話離れ」が起きつつあります。Skypeなどに代表される「IP電話」のために、固定電話の減収も進みつつあります。固定電話をメインにしていたこれまでの電話事業者にとって、こういった現象は死活問題で、新たな収益源の確保が必要となってきたのです。
■ FMCで提供されるサービス
FMCという用語自体に厳密な定義があるわけではないので、人や事業者により、そのサービスに対するイメージはさまざまです。多くの人に共通してイメージされているのは、
・固定電話と携帯電話、インターネットの料金を一まとめにする
・1つの端末で固定電話回線と携帯電話回線の両方を利用できる
・1つの固定電話番号で、家庭でも、屋外でも電話を受けられる
・家庭内でも携帯電話のサービスが利用できる といったあたりでしょうか。
事業者サイドの発表などによると、FMCにあたるサービスが提供されるようになると、ユーザーが使う電話機は、携帯電話やスマートフォン1台に統一してしまい、自宅の電話が使っている固定回線(電話回線やブロードバンドインターネット回線)を携帯電話でも使える経路と位置づけ、料金の収受などのサービスを電話事業者が一括して受け持つ、というようなことが行なわれるようです。
現在、たとえば日本でも光ケーブル(FTTH)を契約するとIP電話サービスを利用し、料金はまとめてプロバイダから、という例が増えてきていますが、さらに携帯電話も含めて統合されるようなサービスが考えられているようです。
現在の携帯電話では、通話だけでなく、メール(写真付きメール)、テレビ電話、Webブラウジングなどが可能となっていますが、家庭内で同様のことをする場合は、光ケーブルやADSLといった固定回線のブロードバンドでできるように、とする事業者もあります。
ユーザーにとっては、携帯電話と自宅の電話で違いがなくなり、自宅にいる間は、これまでの固定電話と同じ料金感覚で、携帯電話のサービス、機能が使えるというイメージでよさそうです。
■ 外国では既にサービス開始の国も

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RAZR V3(UMA対応版)と、BT Hub
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実際のサービスとしては、現在、英国内で、British Telecommunications(BT)により「BT Fusion」という名前で開始されており、他国でも徐々に提供が開始されようとしています。
BT Fusionは、開始前には「Project Bluephone」と呼ばれていたプロジェクトです。ハードウェアとして、近距離無線通信のBluetoothに対応したGSM方式の携帯電話と、家庭の電話線に繋ぐBluetoothアクセスポイント内蔵ブロードバンドモデム「BT Hub」を使ったものです。
このサービスを利用すると、電話機内蔵のソフトウェアが、どの回線につなぐことができるかを判断し、自動的に最適な無線回線を使って通話を行なうことができます。つまり、ユーザーは意識せずに、「家の中ではBT Hubを経由してIP電話回線」「屋外では(固定IP電話が故障などで不通になった場合も)携帯電話回線を利用して、通話やSMSといった携帯電話のサービス」を利用できるわけです。ちなみに、屋外での回線は英ボーダフォンの回線が利用されており、BTはMVNOという扱いになります。
以前、日本にもあった、家庭用ワイヤレス子機として使えるPHSにも似ていますが、BT Fusionでは、電話をかける側からすると、固定電話の番号にかけると、相手が家の中にいても、屋外にいても呼び出せる、という特徴があります。
料金も、同じ請求書で請求され、一括で支払えます。従来は、BTのサービスとして、固定電話、携帯電話(BT Mobile)の両方を利用していても、基本的に別々に、異なった料金を支払わなくてはなりませんでしたが、BT Fusionでは同サービス専用料金パッケージが用意されています。ブロードバンドのインターネット回線、IP電話、それに携帯電話がセットになった料金プランとなっており、別々に契約するよりも料金が安く済むようになるという形で提供されているようです。
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(大和 哲)
2006/02/22 12:33
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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