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第261回:PSK とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


位相でデータを表現する

 PSKとは、“位相偏移変調”を意味する英語「Phase Shift Keying」の略で、単一搬送波デジタル変調方式の1つです。

 そもそも「変調」とは、情報を電波や光といった波に載せるための操作のことです。たとえば、ラジオでは音を電波に乗せて放送をしていますが、そのためにAMやFMといった変調方式を利用しています。AMは、振幅変調を意味するAmplitude Modulation、FMは周波数変調を意味するFrequency Modulationの略です。

 現在使われている携帯電話やデジタル放送の場合には、音を一度デジタル信号化してやり取りしていますので、「0」と「1」で構成されているデジタルデータを波に載せるためのデジタルデータのための変調が使われています。ちなみに、アナログ変調ではModulation、デジタル変調ではKeyingという単語が使われていますが、どちらも「変調」という意味で使われています。

 データを載せる波のことを「搬送波」と言います。単一搬送波とは、1つの搬送波を使っている変調方式であることを意味しています。

 位相偏移変調の「位相」とは、ある周期運動の中での山や谷の位置をいいます。PSKとは、電波や光を使って、その山がずれているかいないかで、データの「0」「1」を表現する変調方式である、ということになります。

 たとえば、0のデータを表現するには「sin(t)」、1のデータを表現するには「-sin(t)」や「cos(t)」と決めておき、一定の間隔でその位相を持つ波を送ってデータをやり取りするわけです。


PSKとは、電波や光といった波の位相、つまり山の位置のずれでデータの0、1を表現する変調方式だ

ノイズに強いBPSK、情報量の多い8PSK

 波の重ね合わせの原理、つまり、さまざまな周期関数は、三角関数のsin、cosの重ね合わせで作ることできる、という原理があります。PSKのような変調方式では、この位相のずれを何パターンも用意すれば、波でデータを何通りも送ることができることになります。


PSKでは、波の重ね合わせの原理を使って、波を合成することで、一度の変調で多くのデジタルパターンを表現でき、その分多くの情報を送ることができる。ただし、あまり複雑にパターンを作ると、実際の通信ではノイズなどでそれぞれのパターンの見分けがつきにくくなるため実用にはできなくなる

 実際に、デジタル通信、放送などでは、
・BPSK
・QPSK
・8PSK
といった変調方式が使われています。

 「BPSK」は、バイナリ位相偏移変調を意味する「Binary Phase Shift Keying」のことで、1回の変調で「0」「1」の2パターンの情報を伝送します。

 2つの波を掛け合わせて、「00」「01」「10」「11」と4パターンの情報を伝送できるようにした変調方式が「QPSK」です。QPSKは「Quadrature Phase Shift Keying」の略です

 「8 Phase Shift Keying」、つまり8PSKでは、同様に1回の変調で「000」「001」「010」「011」「100」「101」「110」「111」と8パターンの情報を伝送できます。

 そして、原理的には、16PSK、32PSK……と1回の変調で送る情報を増やすことが可能です。

 パターンが増えていくのは良いことのように思えますが、1つ問題があります。それは、あまり信号を合成しすぎると、それぞれのパターンの見分けがつきにくくなる、ということです。実際の通信では、さまざまなノイズが混じるため、情報量をあまり増やしすぎるのは実用的ではありません。

 実際の通信での使われ方としては、先日発表されたウィルコムの高度化PHS規格「W-OAM」では、BPSK、QPSK、8PSKを切り替えて利用する、とされています。電波状態が良いときには8PSK、ある程度劣化する環境では従来のPHSでも使われているQPSK、そして従来のPHSでは通信が不可能なほど電波状況が悪い場所ではBPSKに切り替えます。

 このように、状況にあわせて変調方式を使い分けることで、より良い環境では高速通信を、電波環境が悪い場所ではスピードを落としても確実な通信を行なえるようにしているわけです。


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(大和 哲)
2006/02/07 13:13

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