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第256回:Flash Lite とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


Flash Liteは、携帯電話専用Flashプロファイル

アドビでは、Flash Liteの機能を紹介する携帯サイトも用意している
 Flashは、アニメーションやインタラクティブな要素を設定できるマルチメディアテクノロジーです。インターネット上での手軽なアニメーションツールとして知られており、Internet Explorerなどのブラウザ向けに再生用プラグインが提供され、ブラウザ上でそのままアニメーションを見ることができます。元々は、米FutureWave Softwareという会社の「FutureSplash Animator」というソフトウェアとして登場しました。ベクタータイプのグラフィックをベースにしたデータを使っているため、比較的少ない容量のデータで、アニメーションやインタラクティブなインタフェースを作れるという特徴があります。

 「Flash Lite」は、そのFlashを元にして、携帯電話専用に開発されたものです。パソコンで使われているFlashの機能を全てサポートするには、携帯電話のCPUパワーやメモリなどのリソースは十分ではないこと、携帯電話にしかない機能をサポートすることなどを考慮して開発されました。

 日本では、Flash Lite 1.0がNTTドコモの505iシリーズで初めて採用されました。その後、同社の506iシリーズとFOMAの900iシリーズにも搭載されました。現時点での最新バージョン「Flash Lite 1.1」が2004年6月に発表されると、auのW32SやW33SA、G'zOne TYPE-Rなどのほか、ドコモのFOMA 901iシリーズなどに採用されました。au端末では、W31SAなどから「着Flash」というサービスも取り入れられています。

 NTTドコモの「iチャネル」や、auの「着Flash」もFlash Liteの機能を使ったサービスです。

 iチャネルは、ニュースや天気予報などのコンテンツをFlashで描き、さらにコンテンツの見出しを携帯電話が自動的に一定間隔で取り込むという、擬似的なプッシュ配信サービスです。Flash Liteの関連技術であるFlashCastの技術が利用されています。

 また、着Flashは、着信時にFlashによるサウンドとアニメーションを再生できるようにしたauのサービスで、電池残量や電波状況といった条件によって、再生されるアニメーションを変えたりすることができるなど、多彩なアニメを楽しめます。


Flash Liteは組込用Flashのコアテクノロジー

7月に催された説明会では、次期Flash Lite(Deuce)についても触れられた
 最新バージョンであるFlash Lite 1.1では、それまでのバージョン1.0と比較すると「ActionScriptの拡張」「ネットワークへのアクセスと接続性の拡張」「音声サポートの強化」「SVG-Tの再生」「イベント音とストリーミング音声対応の拡充」といった機能が拡張されています。最初は「Flashのサブセット(縮小版)」と言えるFlash Liteでしたが、バージョンアップを経て、「携帯電話特有の機能を利用できるFlash」という性格を強めました。

 たとえば、着Flashの「相手によって再生メッセージを変える」「電池残量が少ない場合、そのメッセージを出す」という機能は、Flashコンテンツがハードウエアの状態にアクセスできるからこそ、実現できた機能です。また、他にもFlash Lite 1.1では、SMSメッセージの送信や電話番号のダイヤルといった機能も、ActionScriptから直接操作できます。

 当初はコンテンツを楽しむために登場したFlash Liteでしたが、現在では多くの機種で、Flashで構成されたメニュー画面が採用されています。

 ちなみに、Flash Lite 1.1用コンテンツは、パソコン上でFLASH MX 2004 Professionalを利用して作成することができます。ただし、キャリアや端末メーカーによって、Flash Liteの機能がどこまでサポートされているか、異なるケースがあります。国内と海外のキャリアで、全く同じFlashファイルが再生できるとは限りませんし、たとえば、EZweb向けFlash Liteでは、「SVG-Tの再生」という機能は利用できません。

 アドビシステムズ(旧マクロメディア)では、今後もFlash Liteの新バージョンをリリースする意向を明らかにしており、今年10月に米国で開催されたイベント「Macromedia MAX 2005」では、“Flash Lite 2.0”を冠したセミナーも開催されました。今後、携帯電話向けにどのような進化を遂げていくのか、注目の技術と言えるでしょう。



URL
  Flash Lite概要(アドビ)
  http://www.macromedia.com/jp/software/flashlite/

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(大和 哲)
2005/12/27 14:06

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