■ コアモジュール、W-SIM、WILLCOM SIM STYLEの関係
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中央がW-SIM(通信モジュール)、左がデータ通信「DD」、右が音声端末「TT」
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PHSを使った通信事業者であるウィルコムは、「WILLCOM コアモジュール」と「WILLCOM SIM STYLE」というコンセプトを提唱しています。
WILLCOM コアモジュールとは、PHSの無線通信部分を独立させた規格です。これは、アンテナや無線通信部、メモリなど、PHSとしての通話や通信に必要な部分を分離し、小型サイズの筐体にしておき、電話端末やスマートフォンなど通信や通話が必要な機会に装着して、家電、ホームセキュリティ、倉庫管理などさまざまな場面で共通の通信モジュールを使うことを目指しています。
WILLCOM コアモジュール戦略に基づいた製品としては、W-SIM(ウィルコムシム)やCSCエンジンがあります。
W-SIMは、11月に発売されたネットインデックス(旧本多エレクトロン)製のPHSコアモジュールです。128kbps対応のPHSの無線通信部分をモジュール化した端末で、単体では販売されていませんが、一般ユーザーに使われることを想定した製品です。
大きさは25.6×42.0×4.0mm、重さ約8g。回線交換による通信のほか、4x/1xパケット通信、フレックスチェンジなどの通信方式に対応し、最大128kbpsのパケット通信が可能です。また、約600KBのメモリを搭載し、電話帳700件程度の情報が登録可能なほか、台湾およびタイでの国際ローミングに対応しています。
CSCエンジンは、CSCが提供する機器組込用サービス「MyAccess サービス」向けのコアモジュールです。こちらはウィルコムの32kbpsパケット通信網に対応しており、アンテナや無線通信機能のほかに、組込制御用のI/O、MyAccess端末の動作制御機能など組込向けに構成されています。
組込用途の通信モジュールは、通信キャリア各社から提供されていますが、携帯電話事業に参入予定のイー・モバイルでは、W-SIMと同様のコンセプトを持つ、コアモジュールのモックアップを展示会などで披露しています。
■ WILLCOM SIM STYLE製品は現在3種類
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PDA型のW-ZERO3
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WILLCOM SIM STYLEとは、WILLCOMコアモジュールの中でも、W-SIMに対応した製品群を指します。
WILLCOMコアモジュールだけでは、電源などがないため、そのままでは通話などはできません。そのため、ユーザーはWILLCOMコアモジュールに対応した端末を利用することになります。
現在、WILLCOM SIM STYLE機器としては「TT(WS001IN)」、「DD(WS002IN)」、「W-ZERO3(WS003SH)が販売されています。TTは、音声通話タイプのWILLCOM SIM STYLE対応端末で、簡単に言えば、一般的な携帯電話のように通話とライトメールが利用できます。かつて展示会などでは、「ジャケットフォン」という名前で紹介されており、W-SIMを挿入する携帯電話型のボディとなっています。
DDは、パソコンなどの通信モデムとして使うための端末で、USBポートを備えています。また、W-ZERO3は、Windows Mobile 5.0搭載のPDA型スマートフォンです。
WILLCOM SIM STYLEに関しては、ウィルコムのほか、京セラ、シャープおよびマイクロソフトの4社が発起人となった「WILLCOM コアモジュールフォーラム」が2005年12月21日に創立されました。同フォーラムは、WILLCOM SIM STYLEの振興を図るために設立され、参加企業・団体を通じて、端末ラインナップの更なる多様化、多目的化を目指す、とされています。参加企業の詳細はまだ公表されていませんが、既にアルプス電気がW-SIM対応製品に必要なコネクタの量産開始を発表するなど、いくつかの動きも見られます。
いずれは、同フォーラムに参加する企業から、WILLCOM SIM STYLE対応の製品群の発売が期待できるでしょう。
■ URL
WILLCOM コアモジュール戦略について
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2005/07/07/
(大和 哲)
2005/12/21 14:09
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