■ コンピュータの機能を併せ持った携帯電話

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「Nokia 6630」は、国内で入手できるスマートフォンだ
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「スマートフォン」とは、通話機能だけではなく、コンピュータとしての機能を持つ携帯電話のことです。
以前は、インターネット接続ができたり、メールやマルチメディアコンテンツを表示できるもの、あるいはプログラムが実行できるなどの特徴を備えた携帯電話を指した言葉とされており、たとえば、国内で販売されているブラウザフォン、Javaプログラムが実行可能な携帯電話もその範疇に含めることがありました。
最近では、狭義のものとして、
・アプリケーションを追加して、機能強化やカスタマイズができる
・ハードウェアに依存するネイティブアプリケーションも利用できる
・結果として、電話の機能と一体化したような拡張が可能
といった機能を備えているものに限定して言うケースが多くなっています。
狭義の「スマートフォン」という言葉が使われるようになったのは、欧州を初めとする海外での流行があります。このような国や地域では、狭義のスマートフォンを「Smart Phone(スマートフォン)」、それ以外の、広義のスマートフォンを「Browser Phone(ブラウザフォン)」と呼んで区別しているのが一般的であるため、国内でもこのような言葉の使われ方がされるようになったようです。
なお、海外でのスマートフォンの代表的なものとしては、ノキアの「Nokia 7650」や「Nokia 6630」「Nokia 6680」などのSeries 60対応機、Carrier Devices製「i-mate」やモトローラの「MPx220」、米国で人気のあるPalm OS搭載の「Treo」シリーズなどがあります。
国内で入手できる製品としては、「Nokia 6630」などが存在します。
■ PDAのOSや環境を取り込んで、より自由な操作性を

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スマートフォンで使えるアプリケーションの例。Agile Messengerは携帯電話上でMSN Messenger、ICQなどが利用できるSeries 60対応のメッセンジャーソフト。待受画面でもメッセージの受け取りを知ることができるなど、携帯電話ならではの便利さも実感できるだろう
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「スマートフォン」が海外で流行した理由としては、これらが、携帯電話としての便利さを保ちながらも、ハードウェアに依存したアプリケーションを組み込みつつ、パソコンやPDAのような機能も搭載した、より便利な携帯電話として使える点にあります。
たとえば、PDAには、メールクライアントやメッセンジャーソフトなど通信を利用したアプリケーションソフトがありますが、同様のアプリケーションがスマートフォン用にも開発され、一般に提供されています。このようなソフトは、PDAやパソコンで利用するのと同様に、携帯電話へインストールして利用することができます。
さらに言えば、スマートフォンの場合は、携帯電話のハードウェア機能を追加アプリケーションが使えるようになっていることもあります。たとえば、メッセンジャーソフトを裏で動かして、携帯電話を待受画面にしておきつつ、メッセージが入ったらバイブレーションして画面上に表示する、という動作も可能となっています。これは携帯電話ならではの便利な機能と言えるでしょう。
このような自由度の高いアプリケーションが利用できるのは、「スマートフォン」の多くが、PDAで使われているOSや仕組みをそのまま踏襲し、加えて携帯電話ならではの機能もアプリケーションに開放しているためです。
「Nokia 6630」の場合、Series 60プラットフォーム 2ndエディションという環境を搭載していますが、これはSymbian OS 7.0sというOSと、ドライバ類、標準搭載アプリケーションや汎用エンジン、これらを公開するAPIなどから成っています。
Symbian OSは、「PSION」や「REVO」などで使われたOS「EPOC」を源流としており、基本的な仕組みや概念、開発環境などが引き継がれています。
Series 60のほかにも、UIQプラットフォームやWindows Mobile、Palm OSなどを搭載している機種が存在しています。このうち、UIQプラットフォームは、UIQ Technologyが提供しているアプリケーションプラットフォームで、やはりSymbian OSをベースとしたものです。ソニー・エリクソンのGSM端末に多く用いられています。
■ URL
Series 60案内サイト(英文)
http://www.series60.com/
(大和 哲)
2005/03/23 12:56
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